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78 アクセ作りは順調である

 あれから四日が経った。


 残りはあと十八枚ほどなのであと一回潜れば集まるだろう。

 なので今日はちょっと一日お休みをもらったのだ。

 休みなしでずっと狩りもよくないしな。


 休みをもらった最大の理由はウードのところへ行くためだ。

 一応あれからもちょこっと様子見にいったりはして、あれこれ注文をつけたりはしたのだ。

 ウードは見た目がゴツゴツしているがとても繊細で手先が器用なので、細かい作業が得意だったりする。


「おはようございます。父さんいますか?」

「ああ、坊ちゃんか。親方は中にいるぜ。はいっていいぞ」

「ありがとうございます」


 俺とウードが似てないことにとても驚いた兄さんが対応してくれた。

 礼を言って俺は鍛冶場に入っていくが、後方からは兄さんの『よく親方からあんな綺麗な顔した子供が生まれるもんだ……』という呟きが聞こえてくる。

 あの兄さんはマリーを見たことがないようだ。


 鍛冶場ではウード以外にも三人の職人さんがいる。

 ペコリと頭を下げつつウードの近くにいく。


「父さん、おはよう」

「ああ、ルカか。おはよう。あれなら出来てるぞ」


 そう言ってウードは奥の棚から小さな木箱を持ってやってきた。

 木箱を受け取った俺は中身をのぞいてみる。


 布の上に青緑色に不思議に輝くミスリルの雫型の石が四つと、丸い形の少し大きめのミスリル石、それとミハエルの分のミスリルの余りだ。


「うん、完璧だね。さすが父さんだ、ありがとう」


 ウードは俺の言葉に実に嬉しそうな顔をしている。

 でもお世辞でもなんでもなく、本当に見事な雫型に作ってくれたのだ。


 俺はウードに再度お礼を言ってから次は銀細工師さんのところへと向かった。


「おはようございます」

「ああ、君か。出来たのかい?」

「はい。持ってきました」


 そうして俺は木箱の中身を見せた。


「この雫型の四つがピアスとイヤリング用で、この丸いのはネックレスにしてほしいんです」

「ほお。こりゃ見事な……なるほど。ルカ君、少々時間がかかりそうだ。ネックレスの方は既存の技術で問題はないんだが、雫型はちょっと色々試さないといかんようだ」

「そうですか、どのくらいかかりそうですか? できれば宝寿祭に間に合うといいんですが」

「ああ、なるほど。そこまではかからないよ。ただ一週間はほしいな」


 宝寿祭まではまだ三週間はあるので問題はないな。


「それなら問題ありません。あの、ピアスとイヤリングは少し可愛い系でお願いできますか?」

「ん? ああ、なるほどなるほど。はは、ルカ君も隅に置けないね」

「いや、そういうわけじゃ……」

「――ネックレスもかい?」

「あ、いえ、それは母に」

「となると、ネックレスは既存の技術で問題ないだろうから、ネックレスは銀貨五枚、ピアスとイヤリングは材料の値段だけでいいよ」

「え」

「はは。新しい技術を開発できそうだからね。そのお礼だよ」

「いいんですか?」

「かまわないよ。その代わりと言ってはなんだが、この雫型を作った鍛冶師さんを紹介してもらえないかい?」

「それはかまいませんが」

「なに、いい商売ができそうだからね」


 そう言ってニコリと笑う銀細工師さんに俺は少し苦笑して言った。


「そうですか」


 ウードのことを伝えた俺は銀細工師さんの店をあとにした。


 店を出た俺は一つ息を吐いた。

 まだ少し頬が熱い。

 銀細工師さん、完全に彼女へのプレゼントだと思っていそうだ……。


「さて、どうするかな? 久しぶりに実家へ行こうかな」


 気分を切り替え、久しぶりに俺は実家へいくことにした。


「ただいま」

「久しぶりね、ルカ。おかえり」

「にー」

「兄ちゃんおかえり」


 トテトテと歩いてくる天使なリリーを抱き上げ、カールの頭を撫でる。


「ただいま」

「今日はフィーネ姉ちゃんきてないの?」

「今日は俺だけだよ」

「そっか」

「いーね。にー、いーね」

「ごめんね、リリー。今日はフィーネはきてないんだよー」

「やー! いーね!」

「お兄ちゃんじゃいやかー?」

「ごめん、兄ちゃん。僕のせいだ」

「いや、かまわないさ」


 俺は笑ってカールの頭を撫で、リリーの気を紛らわせるために、こっそりと買取してた星の涙をとりだした。

 まぁ、本当はフィーネにいつかプレゼントしようと思っていたのだが。


「ほーら、リリー。キラキラな石だよー」

「きえー!」


 リリーは星の涙を見て目をキラキラさせている。

 やはりリリーも女の子だな。


「わー、綺麗な石だね!」

「ああ、綺麗だろー? 星の涙って名前があるんだぞー」

「へー! すごく綺麗だなぁ。石の中に星空が閉じ込められてるみたいだね!」

「うん、お兄ちゃんも初めて見たとき驚いたよ」


 星の涙についてはリリーが気に入ってしまって握りしめて離さないので、マリーにリリーが寝たら回収するようにお願いした。

 別にあげてもかまわないのだが、あれは大銀貨一枚する高価な宝石なので、もしリリーが外にいくときにもっていると何があるかわからないのだ。


 もちろん致死ダメージ軽減魔法をかけてはいるので万が一はなくても、誘拐だってあるかもしれないし、それがなくても盗まれてそれでリリーの心が傷つくかもしれない。

 そんなのは絶対だめなのだ。

 ただでさえ可愛くて天使で女の子で心配だというのに!


 それについてはカールもそうなので、実はカールには攻撃魔法とシールド魔法を付与した指輪を渡してある。

 ちょっとおませさんに見えるかもしれないが、カールには説明したうえで、はずさないようにしてもらっている。

 カールだって可愛くて天使なので、よからぬ嗜好の変態さんがいるかもしれないからな!


「母さんお昼まだ作ってないよね?」

「ええ、これからだったけど、ルカが作ってくれるの?」

「うん、久々に作るよ」

「まぁ、嬉しいわ。楽しみにしてるわね」

「やったー! 兄ちゃんのごはーん!」


 カールがくるくると回りながら喜びを表してる。

 可愛い!

 心がほっこりしたところで、俺は調理の準備をはじめた。


 今日のお昼ご飯はポークチャップだ!

 子供は大体好きだろう。俺も大好きだ。

 俺とマリーとカールの分は少しだけ厚めの豚肉で、リリーの分は薄切りの豚肉だ。


 テキパキと用意しつつ豚肉を炒めつつ、薄切りの玉葱も一緒に炒める。

 まぁ本当は豚肉を漬け込む方がおいしいのだが、今回は漬け込まずに塩コショウをふって小麦粉をまぶしただけだ。


「兄ちゃん、何作るのー?」

「今日は、ポークチャップだぞー」

「ポークチャップ?」

「そう。ちょっと甘くしたケチャップソースをオーク肉にからめるんだ」

「わぁ、おいしそうだね!」

「お兄ちゃんも好きなんだ。楽しみにしてていいぞー」

「はーい!」


 カールは楽しそうな足取りでリリーのもとへいった。

 実に可愛い!


 豚肉に火が通ったところで豚肉だけ一旦取り出し、ケチャップと少量の醤油、コンソメ、砂糖をいれて温める。

 温まったところで豚肉をもどして絡める。

 マリーが俺のそばで作り方をじっと見ている。

 きっと夜にウードにも少し作ってあげるのだろう。


 少し煮詰めてトロリとしたところで火から離す。

 俺のアイテムボックスには以前作ったサラダもいれっぱなしなので、それをとりだして盛り付け、そこにポークチャップをのせていく。


 ポークチャップを作りながら、別で作っていたミルクコンソメスープも完成だ。

 それぞれ皿やスープカップによそって配膳する。


「カール、リリー、できたよー。食べよう」

「はぁい!」

「あいー」


 こうして俺の手作り昼ご飯を一緒に食べた。

 実にいい出来だ!

 マリーもカールもリリーもニコニコして食べてくれていたので満足である。

 スープはまだ少しあるのでこれも夜に温めなおせばウードが飲めるだろう。


 そうして夕方近くまで実家でカールとリリーと遊びつつもコッソリ写真をとりまくり、俺は実家を出た。

 実に充実した一日となったといえよう。


 結局あのあとお昼寝したリリーから星の涙を回収できた、でも起きてなくなってたらきっと悲しむと思い、具現化魔法で星空の絵を作ったのだ。

 あれなら大きいから外には持っていけないし、でも家では楽しめる。

 絵といっても、キラキラするスパンコールがついてるのでリリーはとっても喜んでいた。


 やはり女の子というのは小さくてもキラキラしたものが好きなようだ。

 実に可愛らしかった!


 こうして俺の休日は終わりを迎えた。

 あとは一週間後に銀細工師さんのところへいくだけだ。

 ミハエルにも伝えておこう。

 いや、むしろ次に銀細工師さんのとこへ行くときはミハエルも連れていこう。

 ミハエルも現物見ておかないとな!

お読みいただきありがとうございます。

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闇の世界の住人達

前作になります。まだ連載中ですが、すでに最後まで書き終えています。

もし良かったら↑のリンクから見てみて下さい。

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