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58 覚悟も考えも足りなかった

ブクマが700件、評価数が60となりました。

皆さま本当にありがとうございます。最高のクリスマスプレゼントとなりました!

活動報告でお礼も致しましたが、レビューも頂けましたし、本当に重ねてお礼申し上げます!

皆さまに楽しんで頂けるようこれからも頑張ります!

「そうか。なら俺は坊主どもを護ってやるよ」


 俺はそんなギルドマスターの言葉に首を傾げた。

 なぜギルドマスターが俺たちを守ると言うのかが分からなかったからだ。


「どういうことですか?」


 俺の言葉にギルドマスターは苦笑している。


「分かっていないのか。おい、坊主。お前の覚悟はいいが、伝えんといずれこの坊主と仲違いするぞ」

「……それでも、かまいません」


 俺が意味がわからなくて困惑していると、ギルドマスターが上半身を起こして座っているミハエルに言った。


「坊主、一人覚悟をするのはいいがな、お前の仲間だろ。それに、一回だけ護ってあとはどうする?この坊主に教えてやらんと、また同じことをするぞ?」


 ギルドマスターの言葉にミハエルはハッとした顔をした。


「話していいな?」

「……はい」


 俺が話しが見えずに混乱していると、ギルドマスターが俺に話しかけてきた。


「よし。坊主、いや、もう名前で呼ぶべきだな。ルカ、これから俺が言うことをよく聞いておけ」

「はい」

「お前が優しいのはいいことだ。おかげで俺は助かったしな。でもな、もし俺が国に報告したらどうする?」

「……」

「仕方ないと思うのか? 自分ならどうにかなるって思うのか?」

「……」

「国がそんなに甘いと思うのか? お前だけを狙うと? お前という宝を手に入れるためになんだってするぞ? 考えてみろ、お前という貴重な宝を手に入れるために国はどうする」


 俺はそこまで言われてやっと気づいた。


「家族を、俺の大切な家族や友人を狙います」

「そうだ。確実に狙うだろう。お前はそれを踏まえて、もう一度考えろ。俺が国に報告すると知って、お前はどうする?」


 俺はギルドマスターの言葉に何も言えず、俯くしかなかった。

 家族に危険が及ぶのに、どうすればいいのか分からない。


「わか……りません……」

「そうだろうな、お前はまだ覚悟が出来ていない。ミハエルは覚悟していたぞ。お前の代わりに、俺を殺す覚悟をな」


 俺はその言葉に驚き、バッと顔をあげるとミハエルの方を見た。

 座り込んでいたミハエルはバツの悪そうな顔をしている。


「ミハエル……本当か……?」

「……ああ。お前を気絶させたあとにギルドマスターを殺して、そんでお前を起こして、ギルドマスターが急に俺たちを殺そうとしてきてなんとか倒したとかなんとか言い訳するつもりだった」

「――なんで!」

「このおっさんが、ルカのこと話さないとはかぎらねぇだろ。もし話せばその辺のやつらとは違うんだ。絶対に国が来るじゃねぇか。そしたらお前の大事な者が傷ついて、お前が悲しむだろ。お前は優しいから、そのままでいてほしいから、だから汚れ役は俺がする」


 俺はミハエルの言葉を聞いて愕然としてしまった。

 そして自身を情けなく思った。

 そこでやっとミハエルの言った『まもる』は俺の考えていた守るではないことが分かったのだ。

 彼はそこまで覚悟していたのだ。なぜ。そんな思いが胸を占める。


「なんでそこまで……」

「――ルカはさ、自覚ねぇかもしれねぇけど、俺、お前に本当に救われたんだ。お前があの時、一緒に冒険者になろうって、そう言ってくれてさ。あ、別の道もあるんだって、あの時気づけた。それに、もしお前がいなきゃ、俺はもう死んでたかもしんねぇ。だから、俺の命はお前を護るためにあるんだよ」

「――そんな! そんなわけないだろ! ミハエルの命はミハエルのものだ! それに、あれは俺も経験があったから! だから!」


 俺は涙がボロボロと流れて止まらなかった。

 俺は友人がそんな覚悟をしていることも知らず、家族が狙われるかもしれない危険すら気付かず、話されても仕方ないかなんて、そんな軽い考えでいたのだ。


「ごめ、ん……」


 俺はその言葉を振り絞るだけで精一杯だった。


 俺とミハエルのやり取りを聞いていたギルドマスターが黙り込んだ俺たちに再び話かけてきた。


「ルカは覚悟と考えが足りてないし、ミハエルは一人で抱え込みすぎだ。お前ら二人共ダメなんだよ」


 ギルドマスターの言葉に、俺もミハエルも何も返せない。


「いいか、ルカは自覚しろ。お前の魔法はお前の大切なものを奪う諸刃だ。俺にしたように簡単に使うな。時には見捨てる覚悟も、殺す覚悟もしろ。ミハエル、お前は一人で抱え込むな。ルカはお前のパーティメンバーで仲間だろうが。覚悟は立派だが一人で完結してどうする。一回限りの護りじゃ意味がないんだ」

「「……はい」」


 俺たちはそう言う以外に何も言えなかった。


「……だがまぁ、お前らはまだ若い、それも仕方ないところはある。だから、俺が護れるとこは護ってやる。ギルドマスターって立場は伊達じゃないんだぞ? まぁ限度はあるがな」


 そう言ってからミハエルを見て笑って言った。


「だからミハエル、俺を殺すなよ」


 そんなギルドマスターの言葉にミハエルは苦笑した。


「……いまさら殺しませんよ。それに、知られてしまったらそう簡単にやれませんから」

「はっはっ! 簡単じゃなくても殺せる気でいるってことか。お前は」

「死に物狂いでやりますよ」

「おっそろしい坊主だな!」


 そうして少しの間、笑い合った。





「さて、とりあえず外に出るか。だがこいつをどうするかな」


 そう言ってギルドマスターは氷漬けになっているシュタルクドラッヘを見ていた。


「ルカ、この氷はどのくらいで溶けるんだ?」

「一時間――二刻ほどで溶けます」

「そんなに長いこと凍らせておけるのか。それじゃあその間にヴェルクフェの討伐証明部位の採取と素材の採集をしておくか。あ、そうだお前ら、討伐証明部位の採集せずにずっと来ていただろう。あれマイナスだからな」

「えっ」


 思わず俺は声をあげてしまった。


「素材はまだしも、討伐証明部位なんぞ切り取るだけだろうが。手際よくやれてこそ冒険者だぞ?」


 ミハエルも俺もその言葉にガックリしてしまった。

 まさかこれで試験に落ちるなんてことにはならないだろうか。


「はっはっ! 安心しろ。Sランクをやったんだぞ、合格に決まってるだろうが」


 思わずほっと息を吐いてしまう。


「しかし問題はそのSランクを倒したことだな。俺と一緒とはいえ、普通なら俺たちはここで死んでるはずだからな……」


 そこから俺たち、というかギルドマスターの説明を受けて、俺たちはSランクモンスターを倒したことを黙っている方向で決まった。


「こいつの皮なんか、最高に高く売れるからもったいないんだがなぁ……」


 そんな風にギルドマスターが残念がっていたので、俺はアイテムボックスへの収納を提案してみた。

 当然ながら物凄く驚かれたが、アイテムボックスにいれておけばいつまでも保存しておけるのだ。

 他に何があるのかと聞かれたので色々と教えたところでギルドマスターが驚きながら声を出した。


「なに! そんな魔法もあるのか! あー。もう、全部話せ。俺も把握しといた方がやりやすい」


 ギルドマスターの言葉にミハエルも賛成したので、俺は魔法を創造できることも話すことになった。

 俺の話を聞いたギルドマスターは呆れた顔になっていた。


「なにか、ということはお前はなんでも魔法を作れるということか」

「はい、そうなります」

「カー! 凄いことを聞いちまったな。だがまぁ、悪くない」


 そう言ってギルドマスターはニヤリと笑う。

 なんだか悪い顔だ。


「ルカ、お前魔法作れるなら記憶を操作できる魔法作っておけ」

「記憶ですか?」

「そうだ。そうすれば今回みたいに人助けしても記憶を消すなりすればお前の魔法がばれずにすむだろ? そうすれば、お前の家族も護れるし、ミハエルの覚悟も報われるだろ」


 その言葉に俺はハッとした。

 なぜこれを思いつかなかったのか。

 俺はギルドマスターに深く頭を下げて感謝した。

 これでミハエルが俺のために人を殺さずにすむ。


「ありがとうございます」


 俺の感謝の言葉にギルドマスターは豪快に笑うと俺の髪をクシャクシャと撫でまわした。



 その後、俺たちはヴェルクフェの討伐証明部位集めと素材集めをすることになった。

 俺が解体魔法があると言ったら、ギルドマスターに禁止されてしまった。

 解体くらい慣れろとのお言葉をもらい、俺は物凄く頑張った。


 涙目になりながら解体してるとミハエルには苦笑されるし、ギルドマスターには慣れろ慣れろと笑われるしと、苦行を味わうことになった。

 それでもすべてを終える頃にはさすがの俺もだいぶ慣れ、手早く解体と採集ができるようになった。


「よし、これで全部終わりだな」

「はい」

「さて、それじゃあ今日は野宿だな。鉱山前の町跡地で野営をするか」


 時刻はすでに夕方近くだ。

 準備自体は薪を適当に拾って火をつけるだけで食事や水なんかは各自用意してるので手間はかからない。

 それでも薪を集める時間がいるので多少急がなければならない。


 町跡地についた俺たちは手分けして薪を集めた。

 すぐに、一晩過ごす程度の薪は集まったので火をつけ、今は食事をとっている。


「しっかしまぁお前の魔法は便利だな。普通は交代で見張りをしなきゃいけないのに、それをしなくていいって言うのはかなりでかいな」


 ギルドマスターが言っているのは俺の進化した探索魔法のことだ。

 ダンジョンに潜りはじめてからいずれはセーフゾーンで寝ることもあるだろうと思い、俺は改良をくわえてあったのだ。

 マップ共有はどうしてもできなかったのだが、アラートの共有はできたのだ。

 アラートは指定した範囲内に一定の大きさの生物が侵入したら音が鳴るというものだ。

 まぁさすがに動物に関しては肉食や猪などの危険な動物にしか反応しないけども。


「はい。かなり楽にはなります。まぁそれでも一応最低限の警戒はしますが」

「それは当然だな。アラートにだけ頼るって言ったらぶん殴るとこだったな!」


 そんないい笑顔でぶん殴るとかやめてください。


 こうして俺たちは特に何か起こることもなく夜を過ごし、翌朝村へと向かった。


お読みいただきありがとうございます。

評価ブクマをして頂けますと喜びます。


メリークリスマスのメリーってなんだろうと思って調べたんですが、陽気な、楽しいって意味なんですね。

今まで気にした事もありませんでした。


修正

・アラートは周囲五十メートル以内に

→アラートは指定した範囲内に

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闇の世界の住人達

前作になります。まだ連載中ですが、すでに最後まで書き終えています。

もし良かったら↑のリンクから見てみて下さい。

小説家になろう 勝手にランキング
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