13 魔法の実験
本日2話更新してます。12もありますのでご注意下さい。
さぁ朝がやって参りましたよ!
今日は実に三年ぶりの外出である。
若干ドキドキしつつ、俺はマリーに声をかけてから外へ行く事にした。
「ママ、お外行ってくる」
「いってらっしゃい、ルカ。気を付けてね、お昼には帰ってくるのよ。あんまり遠くに行っちゃだめだからね」
「うん」
マリーの心配性すぎる言葉に少し苦笑しつつ、俺は意気揚々と扉を開けて外に出た。
まぁ、なんだかんだ言って俺はまだ四歳なのだから普通は一人で外に遊びに行くものでもないんだけどな。
今日ばっかりは一人で外に行くのを許可してもらったのだ。
そんな俺の目の前に広がるのは三年間求めに求めた光景だった。
家の前を歩く様々な人、荷車を引く足が六本もあって顔がバクの変な生き物。
そしてエルフさんに獣人さん! 興味はあまりないがドワーフさん!
エルフさんはちっぱいさんばかりだが、皆美人さんだ。綺麗な金髪に、緑の目、スレンダーな体型。
得意な得物はやはり弓らしい。
でも、魔法も得意らしく、これまた予想通り風や木の魔法が得意なようだ。
――王道エルフだよな!
獣人さんは巨乳さんが多く、種族によるが、獣系はふさふさの耳にふさふさの尻尾がある。
ゾウの獣人や、トカゲ系、鳥系獣人もいるが、基本的には皆人型で、トカゲ系獣人は体に鱗があったり、爬虫類尻尾が生えてたり、鳥獣人は背中に羽があったりするようだ。
とはいえ、獣系以外の獣人はそう多くはないようであまり見かけはしない。
お! 珍しい獣人さん発見! コウモリ系の獣人さんだ。
なぜかコウモリ系の獣人さんは皆エロイ気がするな。
俺がじっと見てるのに気づいたコウモリ系のお姉さんが俺に笑いかけて小さく手を振ってくれた。
俺も満面の笑顔で手を振り返す。
そして、ドワーフさん!
男は皆ヒゲをもさもさと生やしており、ずんぐりした背の低い人ばかりだ。
そして女性もずんぐりしててコロコロした感じの女性が多い。
残念ながら俺のストライクゾーンには入っていなかったのであまり興味はない。
ただ、ドワーフさんといえば俺は鍛冶系だと思っていたが、どうやらこの世界ではドワーフと言えば商人らしい。
しかも中々に計算高く狡猾で、商談する時はとても注意が必要らしい。
ドワーフ怖いな!
俺は通りを歩く人をじっと観察していた。
三年の間俺は家の中からこうして外にいる人を眺め、聞き耳魔法で情報集めをしてきたのだ。
もちろん興味のある事だけなので、エルフさんと獣人さん、ついでにドワーフさんの事ばかりではあるが。
一頻り人間観察を終えた俺は大きな通りを離れ裏通りへと入る。
少し奥まで入った所で俺は魔法を使い自分の姿を消した。
その状態で自身に飛行魔法をかけ、少し操作練習をする。
動かし方は体内で操ってた魔法と同じなのでさして苦労はしなかった。
俺はそのまま街の上空まで飛び上がる。
高所恐怖症ではないが、ここまで高く何も支えがないとなるとちょっとちびりそうになる。
ちょっとだけちびったかもしれないが、とりあえず俺は街の外を目指した。
外壁を飛び越え、そのまま少し離れた場所にある林っぽいとこへ向かう。
ここで俺の探索魔法発動!! さて、生き物はいるかな?
空中からキョロキョロと辺りを見回した。
いた! あちこちに青い光があるが、ほとんど小動物っぽい感じがする。
あ、あれは何だろう、子供か?
数人の子供のような姿が林の奥に見える。
まさか集団で迷子とかか? 一応確認にいっておくか。
俺は飛行魔法を操り子供の集団のもとへ飛んでいった。
暫くして辿り着いた俺はちょっとちびりそうになっていた。
だってさ? 子供だと思って近寄ったら緑色の肌で、グギャグギャ言ってるんだもん……。
これ多分ゴブリンってやつだよな? 超怖いんですけど?
俺はすぐに飛行魔法でその場を離れた。
いやいやいや、え? ゴブリンってあんな怖いの? ゲームだと超雑魚なのに。
……あれだ、もうちょっとハードルの低いモンスターいない……?
さすがに人型だし、怖いし、無理。
スライムとか、虫とか、いないかな……
俺は再び空中に上がり辺りを見回した。
近くの草原に丸っこい物がいる、あとは小さな動物かな?
あの丸っこいのはもしやスライムさんではなかろうか!
丸っこい物の近くに行くと、それはいた。
まさにスライム!
ぷるぷるとしたゼリーのような半透明の丸いものが草の上をずるずる歩いている。
ゼリー内部には青色の丸い玉が入っている。
これがスライム核ってやつかな?
でもちょうどいい、まずはスライムさんで実験だ。
手始めに闇魔法をかけてみよう。
でもスライムって脳みそないけど混乱とか恐怖、支配って出来るのかなぁ……。
――まぁとりあえず混乱魔法をかけてみよう。
………………
…………
……
変化がない。無理があったかな。
よし、じゃあ恐怖はどうだ! そーれ!
………………
…………
……
逃げてる、ような気がする? わからん。
うん、気を取り直して支配だ。
魔法をかけてからスライムに頭の中で命令する。
『止まれ』すると、ずるずる動いてたスライムがぴたりと止まった。
『跳ねろ』スライムはぽよんぽよんと跳ね始めた。
おお! 効果あるじゃん!
そして俺は禁断の言葉を言ってみる。
『自滅しろ』
――途端スライムは体内から核を吐き出してぐずぐずと崩れ始めた。
俺はそれをじっと見つめてから、スライムに蘇生魔法をかけた。
まるで逆再生をしているようにスライムの形が戻り、吐き出した核も元通りにスライムの体内に戻った。
暫くそのスライムを見ていたが、特に何か問題があったようにも思えない。
しかしたとえゼリー状の生物だとしても、殺すっていうのはちょっと胸が痛むな。
それでもスライムは目も鼻も口もないからだろうか、そこまで殺す事に忌避感はない。
どちらかというと初めて魚を絞めた時と似てるかもしれないな。
自分の手で命を奪ったというあの感覚、ちょっとだけ胸が痛むのだ。
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