12 そんな理由があったなんて
少しストックが溜まり過ぎたのでちょっとの間2話更新をします。
ウードが語り始め、俺は不機嫌だった一週間の行動を少しだけ反省をする事になる。
この世界での魔法というのは本当に簡単な魔法くらいしかないのだ。
――以前ギルド奥で見た魔法だな――
炎の玉を撃つ、氷の粒を飛ばす、強い風を起こす、水の玉を飛ばす、そして簡単な癒し魔法。
こんな感じで本当に簡単な魔法しかないそうだ。
そして、それすらも使える者と使えない者がいる。
もちろん、戦争では役立つので炎を扱える者は国にスカウトされるのではあるが、あまり給料はよくないらしい。
なので多くの者が冒険者になるそうだ。
そりゃそうだよな。給料よくないうえに規則まであるとか面倒この上ない。
ちなみに、マリーとウードは魔法はまったく使えないそうだ。
癒し魔法なんてのはそれなりにレアらしく、使える者はとても優遇されるのだとか。
だからあの少女はとても優秀だったのだろう。
とはいえ、回復魔法も軽い切り傷を治す程度が大体で、深い傷を治療できるような者は国管理下の治療院で働いたり、冒険者であればかなりの引っ張りだこになるようだ。
そして、この世界では稀に強力な魔法を使える者が生まれる。
大体は幼い頃に魔素が暴走して爆死してしまうそうだ。やっぱりか! 危なかったな俺!
魔素が暴走せずに成長出来た子供は、ほとんどは国が召し抱え、一生を国に仕え、城で暮らすので家には帰れないらしい。
まじかよ!嫌すぎるな!
だから、ウードとマリーは俺と離れて暮らすのを嫌がり、俺の魔法を封じたわけだ。
そして、魔封じの腕輪があるせいで、外へ出してあげる事も出来なかったと。
幼い子供が魔封じの腕輪をつけているのは大体魔素暴走を防ぐためで、それはその子供が強力な魔法を使える可能性があるという事なのだ。
それがばれると、国から偉い人が来て、俺を連れ去って行く事になる。
だから、マリーもウードも俺を隠していた、というわけである。
「俺達が、ルカと離れたくなくて、お前には不自由な思いをさせた」
ウードはそう言うと、俺に頭を下げた。
俺はさすがにそれには慌てた。――だって、それは愛ゆえの行動だ。
俺だってそれを知っていればきっと魔法を使わなかっただろう。
俺は頭を下げるウードに声をかけた。
「パパ。話してくれてありがとう。頭をあげて。お――僕こそごめんね。ずっと嫌な態度とってて……」
俺の言葉にウードは涙を流した。
「すまん、ルカ……すまん……」
俺は椅子からよじ下りるとウードの側へ行った。
そしていつもの抱っこしての手を上げて言った。
「パパ好き」
ウードは涙を流しながら俺を抱き上げ、抱きしめた。
ちょっと苦しいけど、これはウードの愛だ。
そして俺はウードに抱かれたまま、マリーを見る。
「ママ、好き」
俺の言葉にマリーは顔を手で覆い泣いてしまった。
泣かせるつもりはなかったのに。
そして俺も泣いてしまう。
二人はこんなにも俺を愛してくれているという事に心底嬉しくなったから。
一頻り泣いた所で今度は俺から話しを始めた。
魔封じの腕輪が初期不良なのか分からないが壊れている事。
それはつけられた後すぐから壊れており、ただ自分で魔法を使わないようにしていただけである事。
とはいえ、さすがに魔法を開発している事は伏せた。
ウードは俺の腕輪が壊れていると聞いて物凄く驚いていたが、理由を聞いてもそんな事もあるんだろうとしか言わなかった。
そして話し合った結果、俺は街中では絶対魔法を使わない、そして人に絶対見られないようにするという約束の元、魔封じの腕輪をはずして外で遊んでもいい事になった。
俺はもうワックワクが止まらない!これで魔法の実験が出来るという事だ!
暇な間に開発した魔法が大活躍しそうである。
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