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112 皮職人を求めて

「こんにちは」

「お! ルカ坊じゃないか! 親方! ルカ坊が来ましたぜ!」


 俺に気づいた職人さんがバルドゥルさんに大声で呼びかけた。

 相変わらず元気な人だ。


 少ししたら奥からバルドゥルさんがやってきた。


「おー、ルカ! 久しぶりだな。元気にしてたか?」

「はい。ご無沙汰してます」

「おうおう、で、今日はなんだ? なんか商品化したいもんでもあるのか?」


 俺はバルドゥルさんの言葉に苦笑する。


「いえ、今日は少しお聞きしたいことがあって来ました」

「なんだ、商売の話じゃねぇのか。まぁいい。なんだ? 答えられることなら答えるぞ」

「ええ、実は今Aランク相当の皮を加工できる職人さんを探していまし――」

「――Aランク!? お前そんなもん倒してるのか! まだ数ヶ月だってのになぁ! すげぇもんだ!」


 バルドゥルさんは笑みを浮かべ、食い気味にそう言うと俺の頭をワシャワシャとかき回した。

 ウードもそうだけど、どうしてみんなこう髪の毛をかき回すのだろうか。

 俺は手櫛で整えつつ再度聞き直す。


「それで、皮の加工を出来る人を探しているのですが、心当たりはありませんか?」

「ふむ」


 バルドゥルさんはアゴに手を当てて考え込みはじめた。

 少しして、申し訳なさそうな顔になる。


「悪いなルカ、俺の知ってる限りじゃAランクの皮を加工できる職人はいねぇな。多分シュルプにはいないと思うぞ」

「そうですか。教えて頂いてありがとうございました。ギルドマスターにも聞いてみます」

「ああ、それがいいかもしれんな。あの人なら知ってるかもしれん」

「はい」

「まぁ、それよりも、なんか商売を思いついたりしてほしいことがあったら言えよ」

「はい。いつか何かお願いするかもしれません」

「おう、任せとけ。できることはなんでもしてやるよ」

「はい、ありがとうございます」


 豪快に笑うバルドゥルさんに俺は笑みを浮かべて礼を言った。


「それじゃあな!」

「はい、また」


 俺はバルドゥルさんに別れを告げると、冒険者ギルドへ向けて歩き始めた。

 しかしシュルプでは加工できる職人がいないか。

 ギルドマスターが知っていればいいんだが。

 そんなことを考えつつ、移動する。


 冒険者ギルドにつき、俺は受付嬢さんに声をかけた。


「すみません、ギルドマスターに少々用があるのですが」

「はい。イストワールのルカさんですね?」


 俺の名前を言い当てられ少し驚くが、まぁ知っていてもおかしくはないか。


「はい」

「少々お待ちください」


 受付嬢さんがそう言って奥の部屋へと移動していった。

 近くにいた冒険者の会話が耳にはいってくる。


「あれ、もしかしてイストワールか? 最速でBランクになったやつらだろ」

「ああ、あれが? 子供じゃねぇか。本当かよ?」

「間違いねぇよ。俺ギルマスが宣言した時見たからな」

「へぇ。ならつえーんだろうな。お前絡むなよ。勝てるわけねーんだから」

「絡まねぇよ。勝てない喧嘩はしねぇっつの」


「お、あれイストワールだろ」

「へぇ? あれが? あんなほそっこいのになぁ。すげぇもんだ」

「だよな。ガキだがBランクなんだ、対応には気をつけねぇとな」

「だな」


 なるほど。目立つのは嫌だが、こういう効果もあるわけか。

 余程のバカでもない限り絡まれないのなら助かるな。

 そんなことを思っていると受付嬢さんが戻ってきた。


「お待たせしました。ギルドマスターがお会いできるそうですので、お部屋までどうぞ」

「ありがとうございます」


 礼を言って俺は奥へと進む。

 奥へ入ると階段前にいた職員さんが階段に向けてどうぞと手を差し出した。

 どうやら案内なしで勝手に行ってもいいらしい。

 俺はペコリと頭を下げ階段を上がっていった。


 ギルドマスターの部屋へつきノックする。

 中から入室許可の声が聞こえたので扉をあけた。


「失礼します」


 俺の声に書類の向こう側から声がかかった。


「おう、ちょっと待ってろ」

「はい」


 皮職人について聞きたいだけだが、ギルドマスターは仕事中なので俺はソファーに座り待つことにした。

 そういえばギルドマスターも苦い紅茶を好んでいたな。

 コーヒーを気に入るかもしれない。


 俺は喫茶店で出てくるようなコーヒーセットを出し、机の上に配置した。

 配置してすぐギルドマスターがやってきた。


「お? 今回は随分真っ黒い飲み物だな」

「ええ、コーヒーっていう飲み物で――」


 以前フィーネにもしたようにギルドマスターにもコーヒーについて説明する。


「ほー。んじゃちょっと飲んでみるか」


 そう言ってギルドマスターはコーヒーをそのままストレートで口につけた。


「おお、こりゃいい。この苦味がいいな。だが苦味だけじゃなく香りも実にいい」

「気に入ってもらえましたか?」

「ああ」

「でしたらこれをどうぞ」


 俺は瓶に入ったインスタントコーヒーを取り出した。

 ギルドマスターにはすでにもう前世についても話をしてあるのでこうして気軽に出しているのだ。

 ――もちろん誓約魔法はかかっている。


「なんだこれ?」

「これを適量カップにいれてお湯で溶かせばいつでもコーヒーが飲めますよ」

「ほお。いいのか?」

「はい、どうぞ」

「悪いな」


 ギルドマスターは嬉しそうに瓶を受け取った。

 それをアイテムボックスにしまいつつ、ギルドマスターが声をだす。


「それで、今日はなんだ? まさかこれを渡すためじゃないだろ?」

「はい、それは今思いついて出しただけです。実は六十三階と六十四階でヒュドラに会いまして」

「は? お前らもうそんな階層にいってるのか……」


 ギルドマスターがかなり驚いていたが苦笑しつつ頷く。


「ええ、それでそのヒュドラから皮がでたので……」

「ああ、そいつを加工できる職人を探してるわけか」

「そうなんです。父さんや知り合いの職人さんに聞いてはみたんですがシュルプにはいないんじゃないかと言われまして」

「そうだな、シュルプじゃいないと思うぞ。鍛冶師は腕のいい職人が多いがなぁ、皮となると、素材ダンジョンのある街にならいるだろうな。さすがに俺が知ってる皮職人はもうおっちんでるはずだしな」

「そうですか、どこの街ならいそうですか?」

「まぁ紹介書いてやるよ。以前俺の冒険者時代の仲間が別の街でギルド職員になったって話をしたろ?」

「はい、弓使いの人ですよね」

「そうだ。ハインっつってな、クレンペルの街でギルドマスターやってるはずだ」

「すごいですね」


 俺の言葉にギルドマスターは苦笑しつつ話す。


「あいつはギルドマスター嫌がってたみたいだがな、まぁBランクが若いうちに引退してギルド職員になるとな、よっぽどのアホでもない限りはいずれギルドマスターにされんだよ」

「へぇ、それはまたなんでですか?」

「そりゃお前、試験の審査員やることもあるからに決まってんだろ」

「ああ、なるほど」

「ま、滅多にやらないがな。たまにこうしてお前らみたいな飛びぬけたやつらがいるからな。そういうのはどうしても途中でバカやったりすることがある。そういうのを導いてやるのも俺らの仕事だ」


 なるほど、やっぱりギルドマスターってすごいんだな。


「ま、それは置いといてだ。あいつがギルドマスターしてる街は確か素材ダンジョンがあってな。あそこを常駐にしてるAランクがいた気がするから、もしかしたらAランクの皮を加工できる職人もいるかもしれん」

「なるほど。ところでそのクレンペルという街はどこですか?」

「あー、ちょっと待ってろ」


 そう言うとギルドマスターは立ち上がり、部屋に置いてある棚を漁りはじめた。

 少しして埃を被った巻物を持って戻ってきた。


「これだこれ」


 巻物を広げつつ、ギルドマスターが指をさす。

 巻物はどうやらこの国の地図らしい。


 ギルドマスターが指す場所は、シュルプの街から離れた場所だった。

 首都とは反対側で、首都へ行くよりも少し遠い場所にある。

 距離的には片道で三週間か一ヶ月くらいだろうか。


「結構遠いですね」

「そうだな。だがまぁ、一番近いのがここだぞ。あとは首都の更に奥のここだな」


 そう言って指した場所は、首都から北東にかなり離れた場所にあった。

 この距離だと二ヶ月は最低かかりそうだ。


「そこはさすがに遠いですね」

「だろ? 一番近いのがこのクレンベルの街なんだよ」

「わかりました。行ってみますので紹介状を書いてもらってもいいですか?」

「おう、ちょっと待ってろ。正式なやつ書いてやるから」


 そう言うと席を立ち机の方へ向かった。

 暫くして、封蝋で封をされた手紙を持ってきて、俺に手渡した。


「これだ。これをあっちの受付に渡してお前の冒険者タグを見せれば、すぐにあいつに届くはずだ」

「ありがとうございます。準備が出来次第行ってみます」

「おう」


 俺はギルドマスターに礼を告げてギルドをあとにした。

 ギルドを出た俺は、まだ時間があったので久々に実家へと顔を出すことにした。

 夕食は宿屋でとるので、それまで少し遊ぶとしよう。


 久々に愛しい弟と妹と戯れるのだ!

お読みいただきありがとうございます。

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闇の世界の住人達

前作になります。まだ連載中ですが、すでに最後まで書き終えています。

もし良かったら↑のリンクから見てみて下さい。

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