11 不機嫌が爆発中
魔法の開発をしてから早一年。俺は四歳になった。
ここ一週間の俺は不機嫌爆発状態である。
ウードが話しかけても、マリーが話しかけても俺は黙ってぶすっとしている。
分かっちゃいるんだよ? なんか事情があんだろうなとは思うよ。
魔封じの腕輪をして隠さないと離れて暮らす事になるって言ってたしさ。
だけど、もう三年も俺は家から出てないわけ。
かと言って、地球みたいにゲームがあるわけでもなく、あるとすれば積木とかなわけ。
魔法も後はもうほとんど実際試しみるしか改良のしようもねぇし。
一応あの後も何個か魔法は作ったんだよ?
シールドとかさ、防御系の結界魔法とかさ、後はあまりにも暇すぎてこっそり使っちゃったけど、聞き耳魔法とかさ……。
だって外の様子知りたかったんだよ……。
結局我慢出来なくて探索魔法も使って改良までしちゃった……。
他にも色々開発したけど……。
もう飽きた。全部飽きた。外行きたい。お外に行きたい!!
三年間も外に行かずに我慢した俺を俺は褒めたい。
ウードとマリーの事はちゃんと好きだし、悲しませたくはないとある程度我慢もしてる。
けどもうまじで限界。もう無理。今日こそ理由を聞く。そして俺は外に行く。
今日はウードも休みで家にいるからな!――ちゃんと聞かせてもらうぜパパよ!
俺はスクっと立ち上がるとしょんぼりして食卓に座っているウードのもとへ行った。
ウードは俺が近づいてきた事で喜んだが、俺の顔が相変わらずムッスリしているのを見てまたしょんぼりになった。
だが、俺はそんなのはもう気にしない! パパよ! 話があるのだ!
俺は一週間ぶりにに口を開いた。
「――パパ、話がある」
俺の声を久々に聞けて嬉しいけど、ものすごく不機嫌な声に悲しむという複雑な顔をしたウードが俺を見た。
「ママ、ママもそこ座って」
俺の様子を見ていたマリーにも指示をする。
二人が大人しく座った所で、俺は向かい側の椅子によじ登り座った。
机の上には首から上しか出ないが会話は出来るので問題ない。
二人を見てから、俺は話し始めた。
「ちゃんと、正直に話して。どうして魔封じの腕輪をつけたの? どうして外に出たらいけないの?」
二人は俺の言葉に俯いて目をさまよわせた。
「パパ、ママ、ちゃんと話して。でないと魔法使うからね」
俺の言葉にウードもマリーも驚いた顔をしていた。
「お前、魔法に気づいていたのか……?」
ウードの言葉に俺は頷いた。
それを見てウードは一度目を瞑ると考え込んだ。
数分程して何かを諦めたような、決意したような顔でマリーを見た。
「マリー、ルカは賢い子だ。ちゃんと話そう」
マリーはその言葉に驚いていたが、頷いた。
「そう、ね……。ずっとお外に行きたいって言わずに我慢してくれていたもの……」
――そう、俺はこの三年の間、たったの一度しか外へ行きたいと言っていないのだ。
外へ行きたいと言った時のマリーの悲しそうな顔を見てからは言わなくなったのだ。
そして、ウードが話し始めた。
――どうして俺に魔封じの腕輪をしたのか、どうして外に出てはいけないのか。
それはただただ、俺を愛しているがゆえの行動だった。
そしてこの世界が魔法あり剣ありのファンタジー世界だと思っていたが、意外と使える魔法ってしょぼいという事実を知った。
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