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異世界で魔王になったけど、観光したい。  作者: かしあ あお
一章
1/54

…………思考放棄しよう。

かつて魔族達によって最も栄え、そして今は滅亡した都市、『ヴァルド』。

 都市の中心にある、古びた城は、長い年月が経っているにも関わらず城としての形を保っている。


 そんな古びた城の最奥、玉座の間に3人の魔族がいた。


「血飲みの者はどうしたのだ?」

「さあのぉ。いつもの事じゃろう?」

「それより緊急招集とはどういうことだ?まさか神託でも下ったのか?」

「その通りだ、竜狩りの者。魔王様が現れた」

「……そうか、そうか。神はまだ我々を見捨てていなかったのか!」

「強欲の者。お前なら探せるのだろう?探し出せ」

「年寄りの扱いが荒いのう……」


 かつて魔族の英雄と呼ばれていた竜狩りの者。

 かつての魔王の右腕だった強欲の者。

 魔族の信仰する闇の神、アリアの神託を受ける神託の者。

 この3人と、血飲みの者と呼ばれた4人は、魔族最後の生き残りだった。


「俺は何をしていればいい?」

「竜を狩っていればよかろう。我々が動き出す時が来たのだ。姿を隠す必要は無い」

「儂の力はだいぶ落ちておる。暇なら力を貸してくれんかのぅ?」

「私が力を貸そう。各自行動に移れ」

「了解。竜狩りも久しぶりだな……」

「神託の者、さっそく儂を部屋まで送ってくれんかのぅ……」

「……少しは体を動かせ、老人」

「厳しい助っ人じゃのう」




 ★




「……ここは?」


 木で造られている天井、前後左右の壁は全てふすまで、床は畳。和室だ。

 とりあえず起き上がる。何も敷かないで畳の上に寝転がっていたが、体は痛くない。ここに来てそれほど時間が経っていないという事か?

 起き上がって、丁度正面にある襖が開く。


「おはよう。さっそく、話いい?」


 ……日本人形のような少女が入ってきた。


「君は誰……?というか、ここはどこ?」

「ここは、私の世界。私は、闇の神アリア」

「…………ああ、そういう子か。じゃあ、ここは何県?」

「県なんて無い。それより、話聞いて」


 なんなんだ、この厨二病日本人形少女は……。


「あなたに世界を変えて欲しい。水無瀬みなせ 空太そらた、あなたに魔王をやって欲しい」


 痛い子がいる……痛々しすぎて直視出来ないくらい痛い子だ……。

 とりあえず、この建物を出るか。気づいたらここにいたんだし、誘拐されたのかもしれない。俺なんか誘拐する意味が分からないが。


「どこへ行くの?」

「帰る。靴ってどこにあるんだ?」

「靴?」

「……もういい。じゃあな」


 彼女が来た襖とは別の襖、右側にあった襖を開ける。

 ーー開けた先に見えたのは、自分の背中と少女だった。まるで、合わせ鏡を見ているようだ。だが、合わせ鏡だと自分の姿が幾つも見えるはずだが、それが無い。どういう事だ?


「今、この部屋から出ることは出来ない。この部屋の全ての出入り口はこの部屋に繋がってる」

「……いやいや、え?意味わからないんだけど?」


 襖の先に進むと、出たはずの部屋に着く。別の襖を開けても、必ずこの部屋に戻ってくる。ああ、少女が言っていたのはこういう事かと、理解出来た。


「これ、ありえないよな。夢なのか?いや、夢にしては感覚がリアル過ぎる。じゃあなんだ?…………」

「ここは神域。私という神の世界。この世界の森羅万象も概念も全て私の思うままの世界」

「……それ、嘘だよな?厨二病なんだよな?」

「違う。沢山説明する事あるから、聞いて」


 …………思考放棄、しよう。



「あなたが今までいた世界とは違う世界、つまり異世界で魔王になって適度に暴れて欲しい。これがあなたに望むこと」


 めんどくさそうだな……。


「行ってほしい異世界はあなたの世界でも有名。その世界に行った人が小説を書いていたから」

「へぇ、なんて本?」

「『異世界に転移したら』という本」

「超有名ラノベかよ」


 デスゲームと化したVRMMOの小説と比肩するくらい売れてるラノベだ。

 剣と魔法の世界を主人公が戦って強くなりながら観光するという、王道的なラノベだ。本当にあのラノベの世界に行けるなら行きたい。大ファンだし。


「行ってくれる?」

「本当にあのラノベの世界なら行ってもいい」

「ありがとう。じゃあ、これ持って」


 厨二病日本人形少女は……厨二少女は俺にスマホを手渡してくる。どこから出したんだ?浴衣姿だからポケットとか無いよな……。そもそもどこかから出したというより、手を開いたらそこにスマホが現れたような感じだった。ただの厨二病では無いのか……?


「なんでスマホなんだ?これ、俺のじゃないぞ?」

「それは、スマホみたいな物。色々な機能があるから異世界についたら開いて。指紋認証で開くから」

「スマホみたいな物……まぁ、分かった。そういえば異世界のどこに行くんだ?」

「アルティアダンジョンの入り口付近の草原」

「おお!アルティアダンジョンって本当にあるのか!」


 アルティアダンジョン。異世転(異世界に転移したら)に出てくるダンジョンの1つだ。ちなみにここで主人公は愛剣の焔の剣(ファイアブレイズ)を手に入れていた。うん、楽しみだ。


「あの小説に出てきた場所は全部ある。魔王の仕事をしてくれれば自由に行って構わない」

「よっしゃ!……本当に異世界、あるんだよな?」

「見ればわかる。行ってらっしゃい」



 突然意識が暗転する。俺は今、何をされたんだ……?

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