その4
昼下がりの公園。アルバイトで読者モデルをやっているりあは、今日も撮影に参加しています。
「はーい、笑ってー」
(にこっ)
「いいねいいね、もっと柔らかい感じで行ってみよう」
(えへっ)
「グッド! じゃあ次は──」
*
(るんるん、買い出しおーしまーい……あれ? あの人って……)
「──はい、お疲れ様! それじゃあ今日の撮影はこれで終わりね」
「お疲れ様でしたー。お先に失礼します」
「お疲れ様です、りあさん!」
「わっ! え、どうしたの恋詠ちゃん」
「買い出し帰りでりあさん見つけたので見てました!」
「み、見てたんだ……どこから?」
「えへっ、とか、きらっ、とか」
「はっず……わ、忘れて」
「恥ずかしくないです、めっちゃかっこよ可愛かったです!」
「はは、それはありがとう。荷物、片方持つよ」
「大丈夫です! 力持ち~」
「おっとと、ほら落とすから! ……ったく、主役に買い出しさせるかね。まあ手伝えてないやつが言うことじゃないけど」
「いえいえ、わたしがやりたかったので! お陰でかっこよ可愛いりあさん見れたし」
「あーはは、あんま言いふらすなよ? 雑誌でならいいけど、撮られてるとこ見られるのはちょっと」
「了解です、では今度はみなさん連れて見学に行きます!」
「しばくぞ」
「ぴぇっ、ごめんなひゃいー!」
「あーもうそこまで怯えなくても……冗談だから冗談」
「じょ、冗談……冗談半分でしばかれる……」
「お、おい、落とす落とす! しばかないから!」