その1
高校進学に合わせ、シェアハウスへと引っ越してきた恋詠。今日は幼なじみの礼理と一緒に、荷物の片付けをしているようです。
「えーっと、冬服は押入れで、上着はハンガーにかけて……っと」
「ぬいぐるみはベッドに置いとくよー」
「あーダメだよ礼ちゃん、ぽんぽん投げちゃ! かわいそう!」
「二、四、六……どれだけ持ってきてるの、これ。ベッド半分くらい埋まるんだけど」
「にゃんちゃんに埋もれて寝ると幸せ~になるんだよ?」
「だよ? って。……てか、三日経ってるのにダンボール一個も片付いてないじゃん」
「忙しかったんだもん、挨拶とかー、探検とかー、お買い物とか!」
「うん、しっかり遊んでるね」
「息抜きも大事! ……あ、見て見て、この礼ちゃんかわいい~。かけっこで一等取った時のだよ」
「片付けをしなさい。てかなんでアルバムとか持ってきてるの」
「だって時々見たくなるじゃん。ほら、わたしが学芸会で木の役やってる写真もあるよ」
「はいはい没収。……どれどれ、『わたしは大きくなったらお星さまになりたいです。お星さまはよるもがんばって世界を明るくしてるからです。太ようさんはあついので、はんたいがわのお星さまがいいです』」
「ぎゃーーやーめーてー! 礼ちゃんのいじわるー!」
「お星さまは光らないよ」
「光ってるもん! ほら片付け片付け!」