その5
一日目の夜。お引っ越しも一段落して、恋詠は自分の部屋でくつろいでいます。
「ぷはー」
(お風呂上がりはやっぱり牛乳!)
(……それにしても、シェアハウスかあ。もう、お母さん肝心なこと言い忘れるんだから)
(雪ちゃんさん……雪ちゃんと、大家さんに、さっき帰ってきたOLさんの霧島さんと……)
(知らない人と過ごすって、なんか不思議な気分。……いっぱいいろんなこと教えてもらいたいし、わたしもちゃんとお手伝いできるように頑張らなきゃ!)
『プルルルル』
(あれ、誰だろう)
「もしもし?」
『恋詠? 引っ越しは終わった?』
「礼ちゃん! 懐かしいよう~」
『いやいや、今朝会ったばっかでしょ。まあ、元気そうでなにより』
「あのねあのね、すごいんだよ礼ちゃん。あのね、アパートじゃなかったの!」
『……契約できてなくてダンボール暮らし?』
「違うよ! えーと、なんだっけ……なんとかハウスって言うんだって!」
『いや分かるか』
「知らない人と一緒に生活するの。ス……シェ……」
『シェアハウス?』
「それそれ!」
『へー。事前に知らなかったの?』
「だってお母さんが教えてくれなかったんだもん」
『ったく、親子揃ってだなあ。まあ嫌そうじゃないし、楽しいならよかったんじゃない』
「うん! まだ分からないことばっかだけど、すごく楽しそう! 礼ちゃんも遊びに来てね」
『はいはい、そのうちね。……っと。それじゃそろそろ、おやすみ』
「うん、おやすみー」
(……ふう。礼ちゃんおもてなしできるように、明日は頑張って荷物片付けなきゃ)
(……んー……でも今日は、寝ちゃっていいよね。ふああ……)
(お片付けに、入学式の準備に……みんなともっとお話もしたいし、礼ちゃんとも遊んで……やることいっぱいだ)
(……それじゃあ、おやすみなさい……)
「たーだいまー新人ー! お、やっぱり君か! 朝はごめんな、急いでて──」
「ぴゃあっ!? ごめんなさい、悪いことしないから食べないでくださいー!!」
「食わねぇよ!」




