その4
大きな樹の家に入ると、中には一軒家のようなリビングが広がっていました。スイートツリーホームの共用ラウンジで、恋詠は先輩同居人の雪から共同生活の説明を受けています。
「……と、いうわけで。ここが今日から恋詠ちゃんのお家、スイートツリーホームよ」
「しぇあはうす? ……って、なんですか?」
「あれ、もしかして知らなかったの? シェアハウスっていうのは、みんなで一緒に暮らす共同住宅のことよ」
「みんなで暮らすんですか!? 一人暮らしだと思ってた……」
(あらら、楽しみにしてたのかしら)
「……よかったー! 一人で生きていけるか不安だったので!」
「あはは、それなら良かったわ。私も恋詠ちゃんみたいな子が来てくれて嬉しいもの。でも、身の回りのことは自分でやらなきゃね?」
「ご、ご飯とかも自分で作るんでしょうか……?」
「お夕飯は当番制で作ってるの。心配しなくても、料理のことなら私が教えてあげる」
「ほんとですか、やったー! なにとぞよろしくお願いします、頑張ります!」
「こちらこそ。改めて、三森雪です。気軽に雪ちゃんって呼んでね」
「はい、雪ちゃん先輩! 一ノ瀬恋詠です、よろしくお願いします!」
「もう、先輩は禁止。年も一つしか違わないんだから」
「わ、分かりました……雪、ちゃん?」
(か、可愛い……!!)
「あの、ええと……やっぱり雪ちゃんさんで!」
「もう、さん付けも禁止ー!」