その6
一方その頃。料理班の恋詠と雪は、炊事場でバーベキューの準備をしています。
「はい恋詠ちゃん、人参おねがい。包丁で剥ける?」
「えーと、りんごっぽく剥けばできますかね……くるくる……あ、切れちゃった」
「人参なら剥き残しがあっても平気だから、気にしないでいいわよ」
「いやこれは、縦一列に刃を当てて、一周で皮を剥ききることができるのでは! ていっ……あ、人参が三角に……」
「もう、料理のこととなるとすぐアイデアちゃんになるわよね。でも恋詠ちゃんの創作料理、美味しいし見た目も楽しいし、私好きよ」
「雪先輩はどういう料理を作るのが好きなんですか?」
「うーん……一番好きなのは、みんなに振る舞う料理、かしら」
「家庭料理?」
「そうね。ほら、りあちゃんも他のみんなも、栄養バランスとか無頓着そうでしょ? だからみんなの健康を私が作る! みたいな」
「すごーい! わたしも精進します……」
「あら、恋詠ちゃんは全然いいのよ、料理のことも勉強熱心だし。今までみーんな料理したがらなかったから、恋詠ちゃんが来てくれて嬉しいの」
「もっともっと料理教えてください、師匠!」
「じゃあ、今度はネギをおねがいね?」
「かしこまりました、店長! ネギを洗ってー、テープを取ってー。……あれ、ネギってどうやって皮剥くんだっけ」
「ネギの皮は剥かなくていいです!」