その3
キャンプ当日。五月に入り、雲一つない空には力強く太陽が輝いています。待ち合わせのバス停で礼理が待っていると、茉子が慌てた様子でやってきました。
「遅刻してすみませんりあ様!」
「残念ながらツリーホーム組はまだ来てません」
「そ、そうなの。よかった」
「よくないよ。早く冷房の効いたバスに入りたい」
「確かに、ここのところ一気に暑くなったかも」
「今更ながら、なんで私はこんな暑い日にキャンプとかいうアウトドアの真骨頂みたいなマネをしているんだろうと思いました」
「いっつもそんなこと言いながら、よくあのアホと付き合ってられるわね。そういえば聞いてなかったけど、二人はいつからの付き合いなの?」
「小学校からだね。まあ、あいつは昔からあんなだったけど」
「それはすごく想像できるわ。むしろ今でもあんなままって言ったほうが正しそう」
「まあ眺めてる分には飽きないし、なんだかんだの付き合いだなあ」
「なんだかんだの付き合いってどんなのよ。……いいなあ、あたしもりあ先輩と幼なじみならなあ」
「噂をすればりあ先輩が」
「りあ様!? あれ、どこに!?」
「早く来ないかなあ」
「なっ、人の期待を弄んだわね! ……あ、あそこに恋詠が!」
「いや、恋詠なら茉子の後ろにいるよ」
「おはよう茉子ちゃん!」
「ぎゃーーっ!! 出たーー!」
「なんで!?」