その4
河原でボールを投げ合う恋詠と礼理の元へ、ジャージ姿の茉子がやってきました。
「あ、茉子ちゃんだ! 何してるのー?」
「え、恋詠に礼理!? なにって、そっちこそ何してるのよ」
「ドッジの練習―」
「ドッジの……ああそういうこと。あたしはりあ先輩に呼ばれて来たんだけど、先輩はいないの?」
「りあちゃん? 来るとは聞いてないけど……」
【ガラガラ】
「おーまたせー! おっ、恋詠たちもここだったか! 茉子も準備万端だな!」
「りあ様! ……その大きな荷物は?」
「《これ》がないとバスケにならないだろ? すぐ組み立てるから、体ほぐしといてー」
「バスケの練習?」
「ええ、りあ先輩に『バスケの練習しないか』って誘われて。でもこんな河原でバスケの練習なんてどうやって……って、なにこれ!?」
【ガチャン】
「はい、設営完了!」
「すごーい、バスケットゴールだー」
「マイバスケットゴール!?」
「中学の時よくここで練習しててさー。懐かしくて持ってきた」
「持ってきたって、持ってるのがそもそもおかし……ゴホン、すごいですよ!」
「これシェアハウスに置いてたんですか?」
「ん、実家だよ。一応ここ地元だから」
「りあさ……先輩、ジモティ……地元……の人だったんですか!?」
「茉子、日本語おかしくなってるから」




