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その1
日曜日の朝。大きな樹の家のリビングで、恋詠は雪たちと朝ごはんを食べています。
「あら恋詠ちゃん、今日はおでかけ?」
「出掛けるのにジャージって。もうちょい女の子らしい格好したらいいのに」
「はずれー! おでかけじゃなくて、練習です! 今週球技大会があるので」
「あー、そういえばそんな時期か。練習って、バレーとか?」
「ドッジです!」
「ドッジに練習も何も……」
「全然運動してないから、とりあえず優勝できるくらいには体を整えとこうと思って」
「体ほぐしただけで優勝できるか!」
「あらあら、元気があっていいことよ。礼理ちゃんと茉子ちゃんも一緒?」
「礼理ちゃんとわたしはドッジで、茉子ちゃんはバスケットみたいです」
「まあそうだろうな。……うーん、あたしもたまには体動かさないとなー」
「そういえば恋詠ちゃん、ボールはどうするの?」
「ボール? ……持ってない!」
「考えてなかっただろ」
「りあちゃんバスケットボール貸してください!」
「いいよ、ドッジに使って骨折れても知らんけど」
「やっぱり学校で借りてきます!」