プロローグ
ある春の夜。恋詠と礼理は電話をしています。
「球技大会?」
『そうそう、面倒だよねって話』
「そうなんだー、大変だねー礼ちゃん」
『あなたも出るんだって』
「え!? なにそれ、いつのやつ?」
『今週』
「えー知らなかったー! なんでやるの?」
『なんでって……そりゃこっちが聞きたいけど。まあクラスの交流のためとか、そんなんじゃない』
「なるほどー。球技大会って、具体的になにやるの?」
『私たちはドッジだよ。茉子はバスケ出るって』
「あれ? なんかそんな話したっけ」
『話し合いの時寝てたから私が入れといた』
「起こしてよー!」
『どうせ他の競技できないでしょ』
「それはそうだけどさー。……うーん、でもどうせやるんだったら、やっぱり優勝したくない?」
『またそういうことを……ご自由にどうぞ』
「違うよ礼ちゃん! スポーツは情熱だよ! 練習の成果が結果につながるんだよ!」
『今までろくに体動かしてこなかった女子高生がそう言う?』
「女子とか高生とか関係ないよ、情熱なんだよスポーツは!」
『私はパース、なんなら当日もパス』
「ちっちっちっ。礼ちゃん、このまま灰色の青春を過ごすつもりかい? たまには色鮮やかな日なたへと踏み出してみないかい?」
『灰色でいいです……』
「今日は土曜日、明日は日曜日! この意味は分かるね!?」
『言わなきゃよかった……』
「練習するよ、礼ちゃん!!」
第四話『がんばれ球技大会!』 はじまります