その１０
帰り道。高校生活一日目も終わろうとしています。
「あーるーきーつーかーれーたー」
「探険したいって言い出したのは恋詠だよ」
「恋詠ちゃんたちとすれ違いにならなくてよかったわ～」
「すれ違うのはあたしの足でだけどな」
「茉子もりあ先輩に会えてよかったです！」
「……へへ」
「何笑ってるのよ、恋詠」
「うんー、茉子ちゃんとお友達になれてよかったなーって」
「べ、別にまだ友達になったわけじゃないわよ！」
「えー、じゃあお友達じゃない？」
「……別に、友達でもいいけど」
「やったー」
「ふふ、茉子ちゃんも可愛いわね～。私のことも好きなだけ頼ってね」
「人の背中で運ばれといて、頼れるやつに見えるか？」
「よろしくお願いします、三森先輩。……ところで、りあ先輩はバスケ辞めて何をされてるんですか？」
「今は読者モデル。まあまだただのバイトだけどね」
「読モされてたんですか！？ どうりで、りあ様っぽい方を見かけた覚えが！ ランランですよね！？」
「おお、よく分かったね。あと様はいらないからね」
「でしたら茉子も読モやりたいです！ ……あ、でもりあ先輩と違ってスタイル良くないし……」
「大丈夫だよ茉子ちゃん、茉子ちゃんくらいなら中学生向けのファッションモデルとかいけるよ！」
「ちょっとバカにしてるでしょあんた！」
「はは。まあでも、そういうのになっても嫌じゃないなら、茉子も全然できると思うよ」
「ほんとですか？ りあ様がそう言うなら喜んで！」
「あれ、なんでりあちゃんの言うことはＯＫなの！？」
（またややこしい知り合いが増えてしまった……）
「よかったら今度事務所に紹介しようか？ ……ただ、他の人の前ではりあ様なんて呼び方しないでよ？」
「分かりました、りあ様！ 二人きりの時だけの呼び名ということですね！」
「そういう意味じゃない！」
笑い合いながら、帰り道を歩いていく恋詠たち。明日から続く高校生活も、賑やかな毎日となりそうです。
第四話につづく。
