その9
雪をおぶったりあと共に、保健室へ向かう一行。茉子はぽーっとりあを見つめています。
「……もう大丈夫、心配かけてごめんね」
「よかったー、雪ちゃん倒れちゃったのかと心配でした」
「ちょっと転んで足ひねっちゃっただけなのに、りあちゃんったら、悪くしたらいけないからおんぶするーって言い出して」
「家に帰れって言っても聞かなかったからだよ。美化委員の仕事があるって言ったって、その足じゃろくに掃除もできないだろうに」
「あら、美化委員の用事ならさっき終わったって連絡きたわ。それより、恋詠ちゃんたちの晴れ姿が見たくて」
「終わってんのかい! 晴れ姿ったって、制服ならいつでも見れるでしょ」
「もう、今日は記念すべき高校生活最初の日なのよ? ちゃんとお祝いしたいじゃない」
「わざわざありがとうございます、りあ先輩もお疲れ様です」
「ほんと疲れた。帰りは自分で歩け」
「見捨てないでりあちゃん~」
「……ええと、五月さん、だっけ? バスケのことはその、なんかごめんな」
「……いえ! 茉子が勝手に憧れてただけなので。それより四堂先輩が楽しそうでよかったです!」
「いや、今の状況は特に楽しくないけど……。ああ、四堂じゃなくてりあでいいよ。とりあえずよろしくね、茉子」
「ままま茉子!?!? わ、よ、よろしくお願いします、りあ様!!」
「あー、様はなしの方向で……」




