その2
町の外れには、寂れた駅が佇んでいます。プシュー、と古ぼけた電車の扉が開き、元気よく桃髪の女の子が飛び出してきました。あとに続いて、疲れた様子の銀髪少女も姿を見せます。
「うぇ~ん、礼ちゃん~寂しいよう~」
「今生の別れじゃないんだから」
「高校始まるまでたくさん遊びに行こうね!」
「面倒だから家でいい?」
「えー、せっかくお引越ししたんだから探検しよーよー」
「探険ったって、見た感じ何もない町だけど」
「そんなことないよ、ほらあっち! あっちにも! お山がたくさんあるよ!」
「野生児か」
「でもお家にも行ってみたいね、わくわく」
「荷物片付いたらね。ほら、バス来てるよ」
「元気でね~」
「はいはい元気元気」
「ねえねえ、やっぱり一緒に住んじゃだめかな? わたしアパートの人とうまくやれるかな?」
「恋詠は強い子だよ、何とかなるよほらバス」
「礼ちゃんは寂しくない? 一人で頑張れる?」
「バ」
「いつでも遊びに来ていいからね? むしろ一緒に住んじゃう?」
「バ……バカー! バス行っちゃったじゃないもー!」
「やった~、あと十分一緒にいれるね」
「着くまで寝てたくせにこいつは……」