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その4
競うように住宅街を駆け抜ける恋詠と茉子。何かに気づいた恋詠はふと足を止めます。
「はぁっ、どうしたのよ、急に止まって」
「ここ、友だちの家だ」
「それがどうかしたの? 友達はとっくに登校してるでしょ?」
「ううん、そうじゃなくて、うちの方がここより学校に近いはずなんだけど」
「……って、それ迷子じゃない!!」
「途中から走るのが楽しくなっちゃって、てへ」
「てへ、じゃないわよ! ああもう、どっちが高校?」
「あっち……かあっち」
「真逆を指差さないでくれるかしら」
「茉子ちゃん教えて~」
「しょうがないわね……ええと。太陽があっちだからこの向きで……」
「……地図?」
「悪い? グールルマップとかいう使いづらい機械より、地図の方が便利でしょ。一ノ瀬さんの友人の家はどこ?」
「茉子ちゃん、一ノ瀬さんじゃなくて、恋詠でいいよ」
「今その話いる?? ……え、きゃっ!? なに!?」
「あっ、カラスさんが! 茉子ちゃんの地図!」
「なんなのよもう! 待ちなさい~~!!」
忘れてました!




