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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

萃真夢

作者: もきち

はじめまして

もきちと申します

今回ひょんなことから小説を投稿してみたいと思い投稿しました

初投稿ですので優しい目で見ていただければ幸いです

面白いと思っていただければさらにうれしいです

至らぬ点も多いですが楽しんでくだされば


時は遠い昔のとある里

その近くの山で出会った鬼と人の運命やいかに

それでは物語の幕開けです

昔、とても大きな山のふもとに、小さな里がありました。

その差とは決して裕福ではありませんでしたが、山からとれる自然の恵みのおかげで、

里の人全員が幸せに暮らしていました。


しかし、その里には一つの掟がありました。それは「山の奥へと入るべからず」というもので

守らなければ「妖怪にさらわれてしまう」と言われていました。


ある日、一人の青年が山の中を歩いていました。

その青年は里で酒造をしているもので、名を「(まこと)」と言いました。

真は酒造りで使う水や、食料の山菜を集めるために、山へと来ていました。


暫く山菜の収穫をした後、真はいつも水を汲んでいる泉へとたどり着くと少し休憩をしていました。

その時、泉の奥に小さな人影が現れ、すぐに泉の奥へ消えていきました。


真はこれはまずいと思いすぐにその人影を追いかけました。

なぜならその人影は明らかに幼子のもので、消えていった方向は、山の奥だからです。


人影を追ってしばらく山の奥へと歩いていくと、少し開けた場所に、先ほどの人影がありました。

真がその人影に向かって声をかけようとしたときでした。

とても強い風が突然真を襲いました。

その風は人が耐えられるようなものではなく、

真は吹き飛ばされ、木に叩きつけられてしましました。

そのまま倒れこんだ真の前に現れたのは、翼をもった男性でした。

「ひとがどうしてここにいる。ここは天狗の領域だ。」


天狗ーそれはこの山を支配する妖怪のひとつで、人をさらい、嵐を巻き起こす妖怪です。


真は突然のことで訳が分からず呆然としていました。

「ここに足を踏み入れたものは始末する。」

天狗は真へと近づきます。

妖怪にかかれば人と殺すことなど簡単なことです、その手にかかればなす術もありません。

真は近づく天狗を見て、ようやく自分の状況に気づき、覚悟を決めました。

しかし、天狗がまことに触れる前に、二人の間に一人の少女が割り込んできました。


その少女は腕におもりが付いた枷をつけ、腰には瓢箪を下げていました。

しかし、真の視線はそのどちらでもなく、少女の頭上に釘付けになっていました。

そこには、少女の体とはあまりにも不釣り合いな二本の角が生えていました。


「消えな」

少女がそういうと、天狗は赤い顔を真っ青にしながらその場から逃げるように飛び立っていきました。

真はまたも状況が呑み込めずに混乱していましたが、少女がこちらを振り向いた時、理解することができました。

自分は妖怪の、鬼の少女に助けられたのだ。と。


「すまない、助かった」

真は何とか立ち上がりながら彼女へお礼を言いました。

「あれ、意外とタフだね」

彼女は驚きながらも真を助け起こしました。

「ありがとう。ところで君は」

そう聞くと彼女は突然笑い出しました

「あはは、面白いこと言うね、聞かなくても知ってるんだろ?

ただ、まぁいいか、その度胸に免じて、教えてあげるよ

私の名前は伊吹萃香、見ての通りの鬼で、人間からは四天王だとか、酒呑童子だとか言われてるよ」


鬼ーそれはこの山を支配する妖怪をまとめ上げる者たちで、四天王とはその鬼をまとめ上げている鬼の総称です


「萃香か、いい名前だ。俺の名前は真と言う、先ほどは本当に助かった。」

しかし、真は全く動じることなく自己紹介をし、改めてお礼を言いました。

「本当に驚かないね、真は」

「まぁ、ついさっき死ぬ寸前だったからな、助けてもらった相手の素性を知って驚くこともないだろ」

「ははは、それもそうだ、真は正直者だね、気に入ったよ」

萃香はまたも笑いながら真の手を放しました

「それじゃあね、真、もう山の奥には入ってきちゃだめだよ」

そういって去ろうとした萃香を、真は呼び止めました

「助けてくれたお礼がしたい」


二人は山を下り、里のはずれにある真の家にいました

「待たせた、これが俺が作った酒だ、口に合うといいが。」

そういって真は一本の瓶を萃香へと渡しました

「へぇこれが、銘はあるのかい?」

萃香は瓶の中の液体を揺らしながら訪ねてきました

「いや、まだ決めてない」

「そうなの、じゃあいただくよ」

「な、おい」

それだけ聞くと萃香はおもむろにふたを開け、中の酒を一気に飲み始めました。

「うん、いい酒じゃないか」

「そうか」

萃香の感想を聞き慌てていた真も少しうれしそうに微笑みます

「なぁ、真」

「ん?」

真が安心していると突然萃香が少し顔を赤らめながら問いかけてきました。

「また、来てもいいか?」

萃香のその問いに真はとても驚きました、しかしすぐに穏やかな表情で

「あぁ、ただ、人に見つかるなよ」

「ああ!」


それからというもの、萃香は何かあるたびに真の家へ訪れました。

それがだんだんとどまる時間が長くなり、次第に二人で出かけたりするようになりました。

そうしているうちに二人は恋に落ちていました。

「なぁ、真」

「どうした萃香」

切り出したのは萃香でした

「私たちもそろそろ長いこと付き合い始めたよな」

「あぁ、そうだな」

「それで、だな」

「どうした?歯切れが悪いぞ?」

萃香のいつもと違う話し方に真は少し違和感を感じ、聞いてみると、萃香は何かを決心したように真を見つめ言いました。

「私と、『約束』を交わしてくれないか」

「約束?」

「あぁ、その、『約束』っていうのは、鬼の中だと、その、とても信頼のできる相手とかわすものっていう風習がだな」

しゃべりながらどんどん赤くなるなる萃香を見て真は気づきました、約束とは、そういった契約なのだと

「萃香、本当にいいのか?」

「そっちこそ、鬼なんかで」

萃香が言い終わる前に真は萃香の手を握り

「いいに決まってるだろ!!」

そう強く声に出していました

「へへへ、そうか、それじゃあ、お互い相手に守ってほしいことを伝え合うんだ、それで『約束』のできあがりだ」

萃香からそういわれた真は暫く考えた後もう一度萃香を見つめました

「よし、決まったぞ」

「わかった、じゃあ私から言うぞ?」

「あぁ」

萃香は一度深呼吸をしてから、真の目を見つめ『約束』を告げました

「どんなことがあっても私に嘘はつくな」

「嘘をつくな?」

「あぁ、鬼は嘘が大嫌いで嘘つきも大嫌いだ、だから絶対に嘘をつくな」

「あぁ、わかった、約束しよう」

真は萃香のまっすぐな瞳を見つめ返しながらうなずきました

「じゃあ今度は俺だな」

「あぁ」

「決して涙を見せないでくれ、鬼の泣き顔は見たくないからな」

その約束を聞いた萃香は少し驚きました

「な、なんだよそれ、私が泣く分けないだろ?」

ただし真はそれでも真剣に見つめ続け、ただ小さく「ああ」とうなづくだけでした

「わかった、私は何があっても泣きはしない、絶対だ」

「だから」

「「これからもずっと一緒だ」」

そうしてその日二人は、鬼と人間から、夫婦へと変わったのでした。


それから何年かの月日が経ちました

二人は相変わらず仲睦まじく、同居はしていないものの、とても幸せに暮らしていました。

そしていつもと変わらず、二人で散歩をしているとき、真は萃香を呼び止めました

「なぁ、萃香、明日は何の日かわかるか?」

「なんだよ突然、私と真の『約束』の日だろ?」

そう、それは二人が結ばれた日でした

「よかった、ちゃんと覚えていてくれたか」

「それがどうしたんだよ」

萃香は不思議なことを聞いてくる真に問い返すと

「あの酒の銘を決めようと思うんだ」

それは二人を結んだお酒、いまだに銘のないお酒でした

「おお!?本当か!?それはいいな!!」

萃香はとても喜んでいました

「それでな、萃香、その銘なんだが、二人で考えないか?」

「二人で?」

それを聞いた時、萃香の顔はとても赤くなっていました

「おいおい、萃香、喜んでくれるのはいいが泣くなよ?」

「な、泣いてない!!そんなことより名前だな!!いいぞ!!」

萃香は頭をぶんぶんとふって否定しながら真へと返事をしました

「よし、それじゃあ、明日はこの場所で銘を考えよう」

「あぁ!わかった!」

二人はそのまま別れそれぞれの家路へとつきました

「やっぱりあいつ」

「あぁ、すぐにみんなに報告して...」

そばにいた者たちに気づかないまま


次の日の朝、萃香はいつもの時間にいつもの泉へときました

「真と名前を、楽しみだなぁ」

そうして期待に胸を膨らませ待っていましたが、いつも同じ時間にやってくるはずの真は一向に来ませんでした。

しかし、萃香は真を信じて待ち続けました。

その時でした

「あれは?」

突然山のふもとのほうから黒い煙が上がり始めました

「あそこって真の、まさか!!」

萃香はとても嫌な予感を感じ取り、すぐさまふもとの真の家へと向かいました。


「そ、そんな」

そうして真の家に着いた萃香を迎えたのは、いつもの真の家ではなく

炎に包まれ燃え盛る真の家でした

「な、なんだよこれ...!?どうなってるんだ!!」

しかし誰も答える者はいません

「くそ!?真は!?」

萃香は前坂る真の家へと飛び込み真を探しました

そして、それはあまりにもあっけなく、二人の幸せの終わりを突き付けました

「あ、あぁ...」

萃香が飛びこみ、玄関を抜けた先では、一人の青年が眠っていました

「そ、そんな、嘘だろ...?」

その青年の顔は萃香がよく知っている顔よりも白く冷ややかでした

「なぁ、『約束』したよな...?嘘はつかないって...」

萃香はその青年のそばに駆け寄り、肩をゆすりますが、一向に目覚めません

「今日はあのお酒に名前を付けるんだろ...?ほら、早くしろよ...」

萃香は必死で青年へと呼びかけます、その時、彼の腹部から血が出ていることに気が付きました

「ずっと一緒だって、言ってたじゃないか...私たちの『約束』はどうなるんだよ...」

何も言わない青年の顔を見て、ついに萃香はそのことを受け入れてしまいました

「...っ!!嘘つき!!裏切者!!!約束なんて...っ何も守れてないじゃないか!!!!」

咆哮、そう呼ぶにはあまりに悲しみに満ちた、慟哭そう呼ぶにはあまりにも怒りに満ちた声が焼けた家が崩れ落ちる音へとかき消されていきました


「うぅ...うぅ...」

その場に残っていたのは、目を赤く染めた一人の少女と一つの遺体でした

愛したものを失った彼女は、焼け落ちた家の跡で数日間泣き、怒り、叫びました

しかし、次第に何もかもが抜け落ちたかのようになっていき、ついには涙すらも出なくなっていました

「...」

何もかもをなくした少女は、無表情のままその遺体を抱え上げ、立ち上がりました

その時、遺体の手から、一本のカギが滑り落ちました

「...これ」

それは遠い昔、少女が酒造の酒のありかを聞いた時に彼が話していたことでした

『もしもの時のために保管用の倉は地下室になってるんだよ』

その時に彼はこの鍵を見せてくれたのでした

「...」

少女は無表情のままそのカギを拾い上げ、そして、焼け落ちた家の台所出会った場所へと向かいました


たどり着いた場所はがれきの山でした、しかし彼女は次々にがれきをどかしていき、ついに地面につけられた扉を見つけ出したのです

「ここが」

そう呟くと、彼女は鍵を使い中へと入りました、そこには彼が今まで作ってきた酒たちが眠っていました

「よかった、無事だったよ」

少女はそれだけ言うとすぐに地上に戻ろうとしました、しかし、地下室の扉に一枚の紙が貼ってあるのを見つけました

『わが最愛の鬼 萃香へ』

少女は一瞬驚愕すると彼の遺体をそばに置き、その紙をはがしました

それは一人の人間が一人の鬼にあてた一通の手紙でした

『わが最愛の鬼 萃香へ

この手紙は万が一の時のために書いておく、できればこのまま用済みであればいいんだが。

里の人間はおそらく俺たちの関係に気づいている

それでも何もしてこないのは、おそらく俺を使って鬼の弱点を見つけるためだろう

もちろん俺はそんなことに協力したりはしないが、断った場合はおそらく殺される

だが彼らを恨まないでくれ、彼らは何も悪くない、悪いのは掟を破った俺なんだから』

「ほんと、お人よしだね」

少女はその手紙を読みながら自分の愛した人間の人の好さに呆れていました

そして、その先へと読み進めたとき、そこから先は最近書かれたものであることに気づきました

『萃香、本当にすまない、俺は君のそばからいなくなるだけじゃなく、昨日の約束すら守れそうにない

だからここに、俺が考えていた名前の候補を挙げておく、最期は君が決めてくれ

こんな方法で約束を守れない軟弱な人間をどうか許してほしい』

そこにはいくつかの名前と、お酒の棚の場所が書かれていました

そしてその名前の中にひときわ少女を引き付けたものがありました

少女は手紙をしまうと再び遺体を抱え上げ棚の場所へとむかいました


いくつものお酒が並ぶ酒倉、その中に一人の少女と一人の青年がいました

少女の名前は伊吹萃香、鬼の四天王でありながら、人を愛した妖怪

青年の名前は真、掟を破りながら妖怪を愛した人間

少女と青年の間には一つの瓶がありました、その中身は一切の曇りがないものでした

『それ』は二人の人と妖怪の出会い

『それ』は二人のしあわせな日々

『それ』は二人の約束の証

『それ』は二人の別れのしるし

その酒の名は

―――「萃真夢」

お楽しみいただけたでしょうか?

正直あとがきまでにプラウザバックする人が何人いるんだろうと考えると怖くてたまりません

さて、このお話ですが、私個人は、いろんな物語を考えるのが好きなのですが、よく音楽を聴いていると、その曲の裏にある背景を想像したりします

この作品もその一つで、私の大好きな同人音楽サークルの「凋叶棕」様のアルバム「綴」に収録されております「嘘と慟哭」がもととなっています

ここの曲はとてもストーリー性が強く、空想好きにとってはとても素晴らしい曲ばかりです

その中でもこの「嘘と慟哭」はVocalの力強い歌声と歌詞の内容から、初めて聞いた時は涙を流していました

そして、ついに我慢できず、自分の中の世界を文字に起こしたまではよかったのですが、見せる相手もおらず、どうせなら投稿してやれと思い今に至ります

このお話はあくまで私個人としての空想であるため、もしかしたら「こここうじゃないだろ」とか「こんなわけないでしょ」といった意見もあると思いますがその点は申し訳ありません

ただこれは作者のほんの出来心ですので

もし、読んでくださって楽しんでいただけたなら幸いです

それでは、またいつか


(まえがきもあとがきも文脈ぐちゃぐちゃなんだよね)

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