82話
――アクオスとフォルトがその敷地に入ってすぐに現れたその青年は水で出来た壁の上に座り、己を警戒している2人を楽しげに見下ろしていた
そのほんの少しピリピリとした空間がしばらく続くかと思われた時、スパーンというとても気持ちのいい音が青年の後頭部から響いた瞬間アクオス達はさっきまであった警戒が抜け落ちたかのように唖然とした表情でその音の元を見上げている
「隊長!! 何若い子を脅してるんですか! ちょっと聞いてるんですか!?」
青年を叩いたらしい誰かはプリプリと怒りながらさっきの音をしたほどではないが、何度も後頭部の同じ場所をぺしぺしと叩いていた
「……あの、その人ずっと悶えてるんですけど……」
「ん? あぁ、大丈夫ですよ。これでも丈夫な人ですから。っと、一応確認しますけど新人さんでいいんですね?」
「あ、はい」
その人はにこりと笑みを浮かべ、その答えに満足したのか、軽い足取りで壁の上から飛び下りてきた
その着地時も軽く、まるで重さを感じないようで……
「さて、案内しますよ。アクオス君とフォルト君」
「え、どうしてぼく達の名前を……」
「後でもう一度聞くことになるでしょうけど私はこの王宮所属の魔法使い隊の副隊長をしてる通称マギキャットと言います。あ、性別は男なので安心してください」
アクオス君は結界張られてないでしょ? と、副隊長を名乗ったその人は軽く言ったが……
「通称……?」
「あぁ、私諸事情で名前隠してるんですよ。で、さっきのが隊長です」
じゃあ私についてきてくださいねー、とやっぱり副隊長は軽く言って歩きだしたがその軽さがとても胡散臭く、アクオス達はなんとも言えない表情のままその後を追っていくのだった
……なお、残された隊長はまだ叩かれていた後頭部を擦っていたとか
その建物の中はとても広く、扉の前を通り過ぎるときにマギキャットと名乗った副隊長はその扉の先に何があるかなどを説明しながら案内を続けて行く
「あ、ここは通称女子部屋と呼ばれている談話室です。アクオス君は注意してくださいね」
「女性が集まるから女子部屋……?」
「はいそうです。まぁ、私達男子はそもそも入室も出来ないんで問題はないと思いますが」
なお、その右隣に男子部屋と呼ばれている談話室もあると説明をつけ足してはいたが。
そしてまた、談話室が基本的に待機部屋になってるという
「私と隊長には私室があるんですけどね。待機部屋の方がいろいろと使い勝手がいいんですよ」
副隊長曰く、飲み物から術式について書かれている書物まであるとか
「とりあえず案内だけしちゃいますね」
そう言って、行われた副隊長の案内が終わったのは日が真上を通り過ぎたくらいの頃だった……
副隊長は女顔タイプ(なお別にオカマとかでもない人)




