74話
――遠出の依頼を受けていたセイルが帰ってきたのはフォルトがシャーレと使う魔法を何度目かの改良を行い、それを始めて実戦で使用した日のことだった
「えーまじかよ。フォルトの新しい魔法見てみたかったなぁー……」
「ぼくの魔法は人に見せるものじゃないからね。やらないよ?」
「ちぇっ、……そいや思ったんだけどさ。アクオスって見た目、成長してないよな」
セイルという男は、いろんな意味で鈍感であり、地雷原を踏みぬいたり、誰も気にしながらも聞かなかったことも平然と聞いたりすることができる存在である。
それ故に彼は聞いただけなんだ……ちょっと気になったことだったから
だからそれを直接聞かれたアクオスはその瞬間きょとんとした表情でほんの少しだけ首を傾げた
「……やっぱり?」
「おう。だって前はオレ達そんなに身長変わらなかっただろ?」
「あー……うん、そういえばそうだ」
アクオスとセイルがそんな会話をのん気にしてるのをフォルトはどこか心配そうな表情でそのまわりをおろおろとしていた
「あ、アクオス君……それって触れてもいい話だったの……?」
「なんとなくそうだとは思ってたんだよね……」
まだ小ささの残る手のひらを見つめてアクオスはそっとその手のひらを握りしめる
何故自分の姿が変わらないのか、その理由をアクオスはまだ知らないから
「何か原因あるのかな……?」
「でもボクの魔法って魔力以外を使ってるとは思えないんだけどなぁ……」
「病院……じゃ多分意味がないだろうし……あ、学校の方で聞いてみる? もしかしたらわかる先生がいるかもしれないし」
「そうだね、明日ちょっと行ってみるよ」
「よーし、話も終わったし今日はオレが飯を作るぞ!」
セイルがそう元気よく宣言した瞬間、フォルトとアクオスはすぐに顔を見合わせて意気揚々と台所に向かおうとする彼を必死に止めることになったのは言うまでもなく……
「オレだって飯ぐらい作れるのにさー」
「セイル君のできるは少し不安なんだよ……あ、アクオス君これ美味しい」
「ホント? よかった。新しいレシピだったんだけど」
結局その日の食事を作ったのはアクオスだったが、セイルはまだ作ることを諦めていないのはいうまでもなく……
その翌日、セイルは隠れて料理を行い2人に怒られるまでの流れはある意味ではいつも通りだったのかもしれない
そして、アクオスは静かに通い慣れた学校の校舎を1人で見上げていた
姿が変わらなかった理由を知ってる人がいる気がしていたから
例えばあの存在とか……
こういうことにあっさりと触れられるのはセイルだろうなということで。
あとアクオスが確信してるのはあの人です。学校で一番偉い人




