63話
――レクルトの話を聞いたアクオスはどこか面倒そうな顔をしていた
「なんとかなるかい? アクオス君」
「……根本的な話ですが、ボクは彼女を調べたくないです」
アクオスは接触しないでも調べることは可能だと前提として告げるが、調べ方によっては余計なことまで知ってしまうからこそやりたくないのだという。
「そうか……そういえば君は女性が苦手だったな……」
「それにローゼルト様はどこか危うく感じましたからおそらく……」
アクオスが全部言わなくともレクルトは気づいていた
自分の妹のローゼルトが王位を狙っているということも、欲したものを何が何でも手に入れようとすることも……
「レクルト様、調べるのは嫌ですがこれを持っていてください」
「これは……リング……?」
アクオスがレクルトに渡したのは小粒の赤い石が埋まっているシルバーのリングだった。
「お守りみたいなものです。きっと、あなたを守ってくれる」
「そっか……ありがとう、アクオス君!」
「いえ……彼女がこの国を治めるようになったらきっと荒れそうなのでそれならあなたの方がいいだけですよ」
そう言ってアクオスはそのまま一礼をしてその食事処から躊躇いも出ていき、残されたのはレクルトと彼の護衛騎士達だけだった
ところでアクオスが残していった赤い石の埋まったシルバーリングは実はレクルトの話を聞きながらその場で彼が作ったもので、その小粒の赤い石はいわゆる魔石と呼ばれるものであり、そこには作成者によってひとつだけ術式を刻まれている。
その刻まれている術式は防御結界で、それはアクオス自身が得意な魔法であり、壊れやすくはあっても1度だけならばほぼ確実に攻撃を阻むことができ、魔石の方がその術式を発動させるとリングは周囲に警戒音を響かせる。
もちろんそれらは1回限りの使い切りだが、普通に考えてもそれだけの機能を持ったものが即席で作られたと考えればそれは相当のものとも言えた
「彼はすごいな……即席でこれだけのものをつくるなんて」
「レクルト様、そろそろお時間です」
「あぁ、わかってるよ」
護衛騎士に促されて立ちあがったレクルトの表情はさっきまでのものとは違い、凛としたどこからどうみても王族とわかるようなもので、アクオスから貰ったばかりのシルバーリングを右の中指にはめると背のマントを揺らしながら護衛騎士達に囲まれながらその食事処をあとにした
――そんなレクルトの姿を建物の影から見ている存在がいることにも気付かずに……
フラグはまだ続くよ!




