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5話

魔法使ったよ!っていう話?

 ――アクオスが書庫で属性の確認を行ってから幾日、彼は庭の片隅などで魔法の練習をするようになっていたが、そのことを家族全員がすでに気付いていることをアクオス自身まだ気付いていなかった。

 そんな中、彼は館の裏庭に1人でいた。


(ここなら大丈夫かな……えっと、まずは……)


 周囲には誰もおらず、周辺に住まう者でもほとんど近寄ることのない場所

少し先には森があるがそこから何かが出てくることもそうそうにないからこそアクオスは1人でいることも出来ていた。


 建物に背を向けて、アクオスは目を閉じながら両手を広げる。

イメージするのは自分が(・・・)淵に座って足が届くくらいの深さ

必要なのは土を操作する力、それから……



「まぁ、アクオスこれはなんと言うものなの?」

「あしゆ、っていうものです、かあさま」

「アシユ……?どういうものなのかしら?」

「あしのためのおふろです」


 そう、アクオスが館の裏庭で作っていたのは“足湯”

 土魔法で地面をへこませてから固定して石で補強をし、その中に水魔法で水を溜め、お湯へと変えた。

ただそれだけが彼の行ったことだった。

だが、本来ならそれだけのことさえ普通ならば出来るはずがなかった……

土と水の属性を扱うことができなければ。


 アクオスがこれを作ったのは前世……茜の時の記憶が元になっている。

というのも、茜が亡くなる数年前までは、事あるごとに家族で近場にある足湯へ行っては家族でその間にあったことを話をして。

 その記憶があったからこそ彼からすれば足湯というのは家族憩いの場というイメージがあったからこそのこの足湯であった。


「すごいわね……あなた1人で作ったのね?」

「はい!」


 この時、アクオスはまだ一番の問題点に気付いていなかった……


「でもアクオス、私には少し低いみたい」

「あ……かあさまちょっとまってて!」


 母、ラティアにその問題点……足湯の深さのことを言われ、アクオスはそこでようやく自分を基準にしていたことを思い出した。

だから彼はふとさほど離れていない例の森を見て、たどたどしい足取りで森へ近づくと……


「【かざきり(・・・・)】!」


 一番手前にあった太すぎず、細すぎずな人1人が座るにはちょうどよさそうな樹に対してアクオスが行ったのは風魔法による切断だった。

 輪切りされたその樹の高さはそれぞれ違い、アクオスはそれを風の力でラティアのいる足湯まで運んでいく


「かあさまこれならどう?」

「まぁ……風属性も使えるのね……」


 ラティアが驚くのも無理がなかった。

この世界において、複数の属性を扱う存在は確かに多かったが、それを全てほぼ同等以上に扱える者はほんの一握りだったから


 ――もっとも、ラティアが認識しているアクオスの扱うことのできている属性は風と土だけだったが。


「……えぇ、ちょうどいい高さよ。ありがとう、アクオス」

「よかった。あつくない?」

「えぇ、気持ちいいわね」


 輪切りにされた幹に座り、アクオス曰く足湯に足を入れているラティアは自分の隣で石部分に直接座って同じように足を入れている自分の息子を見てなんとも言えない不思議な感覚を覚えていた。

でもそれは、嫌なモノではなかったのがせめてもの救いだったのかは彼女自身もわかっていない。


「ねぇ、アクオス?次はお父様とウィントと入りましょうね」

「もちろんですかあさま」


 その為に作ったのだとアクオスは満面の笑みを浮かべてそう言った。


 ……だが、そのアクオスの笑みが家で見れることがなくなってしまう未来がこの先にあることをこのときはまだ誰も知らずにいた……

かざきりの部分はホントはウィンドカッターとかにしようとか思ってたけどまだ滑舌があれだろうからね!きっとホントならかじゃきりとかになってるんだろうけどね!

次にわんわん出せたらいいなぁ……

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