4話
あれ、魔法まだ使ってない
――魔道書で扱うことの属性の確認方法をしっかりと覚えたアクオスは、さっそくその方法を試すことにした。
その方法は本来ならば専用の道具を用いて魔力をその道具に流すことで色によって示されると言うもの。
だが、その道具はこの家にはなく、元々、そういう確認は学園と呼ばれる場所で行う為、それ以外の場所にはほぼない。というのが本当のところだった。
もちろん専用の道具ほど精密ではないが、家庭にあるものを代用品として使う方法もある。
それは、姿が写るもの……鏡や水を溜めたものを使用するもので
その姿を写しているものに触れ、そこに魔力を流して色を確認するという方法だった。
「……これならなんとかできそうかな……?」
とは言え、書庫に水を溜めたものを持ってくることなどメイドの誰かに頼む以前に本があるから不可
ならば鏡しかないわけだけどここにはとても小さな鏡しかなかった。
問題自体はないけど。
「まぁ、いいかな……」
書庫にある鏡は壁にかかっているもので、アクオスが立ってギリギリ手が届くくらいの高さにそれがあった。
だからアクオスは近場にあった椅子を引っ張ってきて、壁にかかっている鏡をゆっくりと外し
それを床に置き、彼自身もその場に座って確認した方法を実行していくことに
鏡を覗き込みながら鏡面に指先で触れ、その指先に向けて魔力を流していけば見えてきた色は……
(えっと……近場から遠くなるほど適してる度合いが薄くなる……か)
鏡面に触れている指先のすぐにあるのが無色、次に茶色と赤が同じくらいの位置に、それから青で緑で黄色という感じだった。
無色とは無属性、茶色は土、赤が火、青が水で緑が風。それから黄色が光で……そこからわかることは、アクオスが扱うことができる属性は全部で6属性。
ただ唯一闇属性だけが扱えないだけであって、つまり彼にはその手の才能があるということだった。
ちなみにで言えば、闇属性に適していた場合の色は紫らしい……
(無属性……どんなのがあるんだろ……?)
二度三度と鏡面に写る色を確認し終えてから指先を離せばそこには何の異変もない普通の鏡だけがあった。
ひとまず鏡を元の位置に戻したアクオスは魔道書の属性ごとに書かれてるパートを目次から見つけ、そのページを開く。
――無属性で有名どころと言えば【身体強化】だろう。
俗に言う、他の6属性が用いられない部分の属性、それが無属性と呼ばれているものだった。
元々、この無属性に関してはいろいろと解明できている部分の方が少ないとも言えた。
例えばさきほど例にあげた【身体強化】という力
その力は基本的に初級というランクに割り当てられているが、その根本にあるのは己が自身への理解と言われている。――
……そのようなことがつらつらと書かれていた。
【身体強化】【結界】【察知】などが無属性属するものだということ
解明できている部分が少ないということからほとんどわかっていない、ということも言えるのだろう。
もちろんそれら全てが必ずしも無属性なのかと問われれば是とも言えないようだった……
(……結界……)
アクオスはその部分が妙に気になっていた。
その理由も、わからないままで……
――【結界】とは
主に身を守る為に張る陣のこと。
視界を遮らない透明な壁が発動者を中心に広がるものである。
ただし、忘れてはならない。
結界もまた特性に関しては未知なるものとも言われていることを……――
アクオスが、初めてその力を発動させるまであと……
ということで属性調査は完了です。
言っちゃえばあれですけど、最後のは必要なセリフだった、と自分では思ってます。