34話
――アクオスがハルカから前世の自分が死んだあとの話を聞いたのは結婚式の翌日のことだった……――
2人が話してるのはいつも家族で使っていたあの館の裏にあり、森の前にある足湯で
そこにはアクオスとハルカ、それからギンとシウがいた。
もっとも、足湯に足をつけてるのは2人だけだが。
「そう、だったんだ……」
「父さんも母さんも驚くだろうね、茜と……こうしてまた会えたんだから」
ハルカが軽くアクオスのその柔らかい頬を撫でればアクオスは少しだけくすぐったそうに身をよじった
もちろんその瞬間もアクオスの周囲にあの結界が張られることもなく
楽しげでその柔らかい雰囲気にシウもまたそちらに対する警戒もいつの間にか完全にといていた。
「ハルカさ……義姉様って呼んだ方がいいのかな……」
「焦らなくていいよ? 茜……じゃなくてアクオス君、そのうち私の両親にも会ってね」
「それはもちろんだよ! 今は学校があるから行けないけど……そのうち、連れてって」
――結局、アクオスが兄ウィント共にハルカの実家へと挨拶に行けたのは、それから数年、アクオスが学校を間もなく卒業するというタイミングだった……――
翌朝、アクオスはまた学校へ向かう為に出発の用意をしていた。
「忘れ物はないかい?」
「はい、大丈夫です」
「いってらっしゃい、アクオス君」
玄関先でアクオスを見送るのはウィントとハルカで、玄関口にはこっそりと覗き込むようにメイラがいたが3人はあえて彼女の存在を気づかないフリをしていた。
そしてまた、ハルカはアクオスにいってらっしゃいを言えたことに満足してるのか、とても嬉しそうにニコニコとしていて、その様子にアクオスもどこか嬉しそうにしている。
「アクオスとハルカが仲良くなったようでよかったよ」
「義姉様なら大丈夫みたいです、次に帰ってきたときには家族が増えてたらいいですね」
そんな会話をしながらアクオスは馬車へと乗り込み、いってきますの挨拶で馬車はゆっくりと進む
ウィントとハルカはその馬車が見えなくなるまでその場から動かずに見送ったのだった。
***
アクオスが学校の敷地に到着した頃は少しだけ雲が広がり、空が陰っていた。
雨のにおいはまだないが、それでもいつ降り出してもおかしくないような暗さで、アクオスはそのことにほんの少しだけ嫌な予感を覚えた
「お、おかえりアクオスー」
「うん、ただいまセイルくん」
「実家の方はどうだったの? アクオス君」
「うん、兄様の結婚相手いい人だったよ」
仲良し3人は揃うと和気あいあいと近況報告をして、それから授業のことを聞いていた。
その日はそれで無事に一日が終わり、そして、アクオスの嫌な予感はやはりというかゆっくりとだが、確実に彼のもとに近づいていたのは言うまでもなく……
ハルカにちょこちょこアクオスを茜呼びさせていたのはまぁ、前世との関係故ということで。
以降に茜呼びはほぼ出ないと思います。
なお、アクオスの嫌な予感は十中八九女性関係




