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2話

生まれて数年後のとある一日的な。

 ――ヒセント家次男、アクオスが生まれて数年……

彼は動き回れるようになった途端、家の中を積極的に探険するようになっていた。


「アクオス様、そちらはダメですよ」

「うー……っ」


 もちろんまだ小さいアクオスを1人きりで居させることなどある訳もなく

手足でよちよちと動き回る少年のすぐ傍には赤紫色をした髪を持つ双子メイドの片割れメイラがいた。

 なお、メイラの片割れであるルウリの髪は青紫色をしていたりする。


 現在のアクオスに許されている行動範囲は館の2階にある自分の部屋に兄・ウィントの部屋。それから同じ階にある書庫くらいだった。


「今日も書庫ですか?アクオス様」

「あう!」

「アクオス様は本当に本がお好きなんですね」


 メイラはそう言いながら目の前にある書庫の扉を開け、アクオスが入室しやすいようにして

その様子にアクオスはまるで礼でもするかのように一度頭をさげてから書庫へと入室していった



***


 ぺらりぺらりとページをめくる音だけが聞こえるはずの書庫の中、その合間に聞こえてくるのは女性の寝息。

 本のページをめくっている少年はそれに気付いていながらも起こすことはなかった。


 だって、彼が今開いている本は小さな子が読むような絵本ではなく、魔道書に類するとても分厚く、文字も細かい本だったから

 むしろ彼はメイドのメイラがうたた寝ていることを好都合と考えていた。



 ――ちなみに、これがルウリだったらばほぼ確実に隠れて難しい本を読んだりすることはできなかっただろう。

彼女はメイラと比べれば真面目な気質だったから



(……魔力とはすなわち物質に宿る力、力を自在に操る人種を魔法使いと呼ぶ……ホントに、ここは魔法がある世界なんだ……)


 書庫の床に座ったまままだ幼いアクオスが手に持って開くには大きすぎる魔道書を1ページずつめくり、文章を指先でなぞるように滑らせて、その指先をたどるように視線を動かしていく

 どうしてそういう読み方をしてるのかと言えば文字がどうしても小さ過ぎてすぐにどこを読んでいたのかわからなくなるから


(……属性は火・水・風・土・光・闇・無……かぁ……ボクも、魔法使えるのかな)


 アクオスは魔法が使えるのかをこの魔法書を読み始めた一週間くらい前から調べたくなっていた。

もっとも、隠れてこの本を読んでいるということとまだ幼すぎるためにその手のことを調べることができずにいたのだが。




 ――窓の外が薄暗くなった頃、書庫の扉を軽いノック音がアクオスの耳にも届く

ちなみにメイラはまだ寝てる。


「アクオス様、夕食のお時間です……」

「あいー」

「……メイラが申し訳ございません……」

「うーう」


 扉の向こうから入ってきたのはメイラの片割れであるルウリだった。

そしてまた、ルウリとアクオスのやりとりはいつものこととも言えた


 ルウリは扉を押さえ、アクオスを先に通してからうたた寝だったはずなのにいつの間にか熟睡しているメイラの襟首を掴んで引きずって書庫から出てきた。

 ……襟首を掴まれて引きずられているのにメイラはまだ起きずにいるのだからどれだけ熟睡しているのやら……



 ヒセント家の食事はいつも全員が揃ってからはじまる。

家族が揃って近況を話したりするために。

まぁ、アクオスはルウリにごはんを食べさせてもらいながら話を聞くことしかできないけど


「そうか、メイラはまたか……」

「アンナ、お仕置きはほどほどにしてあげるのよ?」

「わかりました奥様」


 今の話題はアクオスを見ていなければならなかったはずなのに堂々とうたた寝をしていたメイラのこと

 メイド長であるアンナはルウリとメイラの双子メイドを我が子同然に可愛がっていた為に時折、そのお仕置きは少しやり過ぎてしまうことが多々あった。

もちろんそのお仕置きを受けていたのはほぼメイラであったが。


「それにしてもアクオスは本当に本が好きなのね」

「あうー?」



 ――このなごやかな風景が一時期であっても変わってしまう日がくることをこの時誰も気づいていなかった……

そしてアクオスが魔法使いとしての才能があることも……



(今度初級項目にあった魔力の流れを見るっていうのやってみようかなぁ……)


 こんなことをアクオスが考えていることも。

この時はすでに前世との相違に対しての混乱は落ち着いています。

あとヒセント家のメイドはメイラ・ルウリ・アンナの3人だけです!

ていうか使用人の女性がこの3人だけとも言える。

この3人もまたアクオスは家族と認識してます。(一応大事なこと

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