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1話

実質2話目です!(プロローグ含めた意味で

サブタイトルはどうしようかと思いましたが……とりあえずなしの方向で。

でももしかしたらカッとなってサブタイつけていくかもしれないですよー

 ――雨続きだった領内で久方ぶりの快晴になったその日、領主の館では新しい命が誕生した。

すでにこの領地を継ぐことの決まっている長子の次に生まれたのは男児で、兄となった長子はそのことをとても喜んでいた。


 この時、兄ウィントは12歳。

もう父親に付いて仕事を覚え始めている時だった……――



 ヒセント領にある領主の館、その中の一室には同じオレンジ色の髪をした領主の父と次期領主のウィントが書類に向かっていた。


「父様、アクオスの様子を見に行ってもいいですか?」

「……まぁ、少し休憩するか……その後は剣の稽古だ」

「はい、わかってますよ」



 アクオスと名付けられた次男が生まれて数週間、兄は毎日のように少しでも時間があれば生まれたばかりの弟の顔を見に部屋を訪れていた。

 それこそ朝起きてすぐ、勉学の合間、稽古の合間、食前、食後、寝る前にも彼は必ずと言ってもいいほどに


 もちろんやらなければならないこともその年齢からすれば多すぎるほどにあったが、ウィントはアクオスが生まれる前までならばほとんど表情を変えず、ただ冷めた目で淡々と物事をこなしている感じはあった。

 それだけにここまで弟であるアクオスを可愛がるとは周りの誰もが思っていなかった……


 それが今ではあんなにも生き生きとした表情をしているのだから両親はまぁ、これでもいいかと思うようになっていたのはある意味家族だけの秘密だ。




「母様、アクオスの様子はどうですか?」

「あら、ウィント。勉学の方はもういいのですか?」

「はい、父様から許可をもらってます」


 ウィントの言葉に母親はあらあらと困ったようにも見える笑みを浮かべて

それからすぐに傍らにいる自身と同じ薄茶色の髪をしたアクオスの方を見ながら最初に問われたことを答えていく


「アクオスなら今日もよく眠っているわ」

「そうですか。……アクオスは、あまり泣かないですよね」

「そうね……」


 小さなベビーベッドを覗きこむ兄と母、そうとは知らない弟はスヤスヤと気持ち良さそうに眠り続けていた。



***


 カチコチと時計の音が響く部屋の中、ベビーベッドの中で眠っていたアクオスは一度身じろぎ

うっすらと開いた父親と同じ濃紺色の瞳を動かして辺りを見回して

その視界に、うたた寝をしている母親が入るとどこか安心したかのようにほっと息を吐きだしてからしばし、その母親の姿を静かに見つめていた。



 ――生まれて1年に満たない少年は、ただぼんやりと眠り、糧を得るだけ。

 この時、“記憶”についての自覚があったらきっと、これほどまでにぼんやりと過ごすことはできなかっただろう……と、少年は後に友人にそう語っていたとか




「あら、アクオス。私が何をしてるのか気になるのかしら?」


 アクオスとウィントの母であるラティアが手元の冊子に何かを書いてるのをじっと見つめているアクオスに対してどこか楽しそうにそう問いながらその冊子を撫でながらそれについて教えてあげていた。


「これはね、私の日記よ。日記と言うのね……」


 生まれてまだ1年も経ってない子に対して話すことでもなかったが、それでも母はアクオスが興味を持ったものに対してわかっていようともわかっていなくても説明をしていた

 それがアクオス自身にも身になるだろうという想いから


「ふふ、アクオスって不思議な子ね。時々ホントに私の言ってることがわかってるような表情をするもの」


 そんなはず、ないのにね。とラティアは笑みを浮かべながら興味深々のアクオスの頭を優しく撫でる。

 開け放たれている窓から吹き込む風は優しく、木刀が打ち合う音を室内にも届けていた。


 ……しかしこの時、家族の誰も気づいていない。

 すでにアクオスに魔法の才能があるということも、話しかけられている言葉の意味を理解していたということも……

とりあえず色合い的な説明とかの回のつもり。

視点は第3者視点てことで

次の回から多分主人公が動き回るかと!

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