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9話

兄嫁?あくまで予定です

――兄、ウィントの嫁候補として来た彼女の名前はサティ・ディスタ。

腰まで伸びた長い赤茶色の髪をなびかせ彼女は1人わがもの顔で家の中を歩き回っていた。

辺りを見回しているその視線は誰かを探しているようで、だが、ヒセント家に雇われている人達は誰一人彼女に声をかけることはなかった。



 その頃、アクオスはいつも通り家の裏にある足湯でシウやギンと戯れながら魔法の練習をしていた。


「【シャワー】どう?シウ気持ちいい?」


 手のひらから雨状の水を出すアクオスにシウは気持ち良さそうに目を細めながら満足そうに一鳴きする。

それに釣られるようにギンが自分にもと訴えるようにキャンキャンと鳴いていた。


「あ、ごめんね。はい、ギンにも【シャワー】」


 どう見ても犬としか言えない行動をするギンに笑みを浮かべたアクオスはさっきまで続けていた水属性操作の練習として行っていた【シャワー】の魔法を2匹に交互にかけるようにまた発動させていた。



 しばらくの間同じ魔法を発動させ続け、次に彼が発動させたのは風属性の魔法、その次が土属性の魔法、とひとつひとつの属性を順番に発動させて魔力を使うということにアクオスは少しずつ自身を慣らしていった


「……うん、今日はこのくらいでいいかな……ギン、大丈夫?」


 一通りの魔法練習を終えたアクオスが思わずそう言ったのも無理はなかった。

と、言うのも目の前でギンが泥まみれになっていたから

ギン自身、困ったような表情ではたりとしっぽを下げていてその姿が本人からすれば不本意だということだけはアクオスも察していた。


「【シャワー】【洗浄】【熱風】……ついでに【ブラッシング】っと」


 何のことなしにアクオスはいくつかの複合魔法も表情を変えずに行使していく

水属性の【シャワー】、水と光属性の【洗浄】、火と風属性の【熱風】、そして風属性の【ブラッシング】

 魔法自体、その使用者のイメージ力が全てを決めると密かに言われている。

だからこそもし、魔法を行使する者らがアクオスの魔法を見たならばなんというのか、誰にも想像は付かなかった。


「アクオス様、ご飯の時間ですよー」

「うん、ありがとメイラ」

「はーい、ギンちゃんとシウちゃんにもご飯ですよー」


 両手に皿を持ったメイドのメイラが現れ、2匹にも食事を出してくれると2匹もまたありがとうとでも言うように一鳴きして皿に乗った食事を食べ始めた。

アクオスとメイラは少しの間その様子を眺めてから家の中へと戻る。


 その場には間違いなく彼女がいるだろうが、両親の計らいで義姉予定のサティとはテーブルの座席関係で言えば一番離れた場所になっていたのがある意味アクオスにとっての救いであった。


 多少の会話があってもアクオスは無意識に彼女に対して警戒心を持っていて、彼女の方から向けられているそのなんとも言えない視線に彼は嫌な予感を募らせていく




 ――その日の夜、アクオスが眠る部屋の扉がゆっくりと鈍い音を立てながら開かれていく

侵入者が足を踏み出すたびに軋む床、眠るアクオスは完全に熟睡をしていてまだ侵入者には気付いていない……


「……フフフ……ホント、私の理想の子ね……あぁ、どんな声で鳴くのかしら?楽しみだわ……」


 扉からベッドまでまっすぐ進み、丸まる様に眠るアクオスを見下ろして恍惚の笑みを浮かべるサティ……

ゆっくりと手を伸ばし、その指先がアクオスに触れそうになった瞬間


 ――それは、起こった……――

あえて一番大事なとこで切ってみる図。

ていうか、ちゃんと投稿できてるといいな!?これが読めてる時点で多分できてるんだろうけど!

どんどん出来あがりがギリギリに・・・・うん、気をつけよう。

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