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日苗市の人々  作者: きーち
最終章 日苗の日々
31/34

第一話

 日苗市から誰かがいなくなってから暫く。何時も通りのありきたりな日々が続いている様に見えて、街には変化が生まれていた。

 いや、変化するものは何時だってどこにでもある。日苗市以外だってそうなのだ。

 ただ、今の日苗市に起こっているそれは、厄介な方向への変化なのだと思う。少なくとも、ヒナエレインこと四雨会・天香はそう考えていた。

「一時休戦……ですの?」

 四雨会が主だって戦って来た相手、白夜の夜明け。今では別組織の下部組織となっているらしいが、その相手から、お互いの戦闘活動を中止しようと言う申し出が来た。

 相手は鳥型怪人であり、夕明商店街で突然現れたと思ったら、対処にやってきたヒナエツインズに対して、いきなり提案してきたのであった。

 ちなみに、今は一人新規参入者がいてヒナエトライアングルと名乗っている。その肝心の残り一人は、まだ非戦闘員として扱っているため、この場にはいないが。

 つまりここにおいては、未だヒナエツインズと言う事になるのかもしれない。

「既にヒナエソルジャーの方とも話を通しているドリィ。今はお互い、殴り合っている余裕は無い事を、そちらも分かっているはずドリィ?」

 どうにもあちらの方が物分かりの良いと言った様子であるが、相方のヒナエクインの方はむしろ癇に障ったらしく、喧嘩腰に返答し始めた。

「こっちだってねぇ! 問題なんて無ければ何もしないわよっ。けど、ほら、前に街のレストランが蛇みたいな両腕生やした女に襲われたって話あったじゃない。あれってあんた達の仲間の仕業じゃないの?」

 そう。その様な事件が先日起こっていた。怪我人も数人出ており、街が不穏な雰囲気に包まれる一因となっている。

「それは誤解ドリィ。確かに事件を起こしたのは、元白夜の夜明けの怪人だったドリィが、もうずっと前に抜けた奴ドリィよ。そっちが一度、組織を潰した時に孤立した怪人ドリィ」

「うっ……そうなの?」

 遠まわしに、ヒナエツインズにも原因があると言われた様なものだ。

 そちらの組織が潰れた後の事なんて知った事かと言えないのが、正義のヒロインの辛いところだろう。そこを無視してしまえば、正義などと恥ずかし気も無く名乗れない。

「けれど、あれで怪人の方々に対する当たりがとても強くなったと言うのは実際ですわ。その点についての休戦ですの?」

「うちの組織は、地元密着型だドリィ。ああいう風に、現場の気持ちも考えずに好き勝手動かれると、その後の調整が大変なんだドリィね。街への侵略行為は一旦中止ドリィ」

 言っている事はなんだか力が抜けそうな内容だったが、既に起こってしまった問題の解決をしたいと言うのなら、ヒナエツインズが答えるべき内容は一つだけだ。

「わかりましたわ。暫くはこちらも、活動を自粛させていただきますの」

「ちょっと、レイン!?」

「シャラップ、クイン。わたくし達は正義のヒロイン。どのような申し出であろうとも、その断りが無用な害をもたらすと言うのであれば受け入れざるを得ない立場ですのよ」

 なんだか納得のいかない気分なのは天香とて同じだ。それでも、今の日苗市にはこういう受け入れが必要なのである。

 今、話をしているレストランが襲われた事件だけではない。例えば中心街の方にあるモニュメントが、何時の間にか無くなっていると言う事件。空に人型の影が何度も目撃され、その影を見た人間が、数日の内に不幸に見舞われると言う噂。

 纏まりがなく、どれも些末事と言ってしまえばそれだけなのだが、そのどれもが、街の誰かに不安を抱かせる。そんな事件が続き、何時の間にか、日苗市は不穏な空気に包まれていた。

「街のこの空気をこれ以上悪化させない。もし正義と言うものがあるのでしたら、それに努める事こそが肝要だと思いますのよ、クイン」

「レインがそう言うのなら……わかったけどさ」

「その言い草……二人とも、この街を何とかしたいとは思っているドリィ?」

「いきなり鳥頭怪人が何言ってんのよ。当たり前でしょう? なんてたって、私達はこの街のヒロインなんだから」

 クインが言う通り、自分達は正義のヒロイン。街が暗い方向に進んでいるというのなら、なんとかしてみせるのが自分達である。

 でなければ、何のためにこの力を持っているのか分かったものでは無い。

「だったら、事件のあったレストランを尋ねてみると良いドリィよ」

「それは……どういう?」

「今頃、いろいろと話し合いがされてるはずドリィ。あそこは街をなんとかしたいって人間達の溜まり場になっているんだドリィ。誰だって、街が暗くなるのは嫌ドリィからね」

 それだけ告げて、鳥頭怪人は去って行った。残されたヒナエツインズの二人は、どうしたものかと顔を見合わせる。

「どうしようか? もしかしたら罠かもしれないけど」

「でしたら、まだあまり顔の知られていない3人目に様子を伺っていただくと言うのはどうでしょう。荒事と言う事にはなら無さそうですし」

「そっか。せっかう一人増えたんだしね」

 クインの肯定により、次の作戦が決まる。ヒナエツインズではなくヒナエトライアングル。そう名乗り始めた彼女らもまた、動き始めたのだ。




 ヒナエトライアングルのメンバーと言う事になっている緒方・秀美は、今回、自分用の衣装を着込まず行える仕事に、ほっと一安心をしていた。

(いえ、今後は着る機会がどんどんあるなんて言っていたし、不安は消えないわね……)

 だいたいからして、あのヒラヒラな衣装は年齢的にどうなのだ。小学生だって、高学年になる頃には恥ずかしいと思える服装ではないか。

(あっと、いけない。今は街の治安のため、街の平和のため)

 そう心中で繰り返しながら、目当てのレストランへとやってきた。以前に怪人の襲撃事件があったと聞くが、壁の一部がまだ修復されていないため、やや痛々しい。営業は再会されていない様子であるが、外から窓越しに中を見ると、何人か人がいる事は分かった。

(うえっ……や、ヤクザの方がいる)

 目付きの悪く、態度はもっと悪い、全方向どこから見てもヤクザらしいヤクザがそこにいた。誰かと話している様子だが、もしかしたらヤクザ仲間かもしれない。

(やだなぁ……やっぱり入らないとダメかしら……ああっ)

 そうして目が合った。ヤクザは突然に立ち上がり、こちらを指差している。次にレストランの出入口の方へと移動した様に見える。

「に、逃げないと」

 ヤクザに追われれば逃げ出す。当たり前の事であるし、秀美の常識でもそういうものだ。一旦はレストランに背中を向けて、走り出そうとするのであるが……。

「わっ!」

「おおっと、すまんの」

 振り向いた先に、小柄な老人がいた。気配を感じなかったが、老人特有の存在感の無さと言うやつだろうか。外見だけの判断では、悪い人間には見えない。

「あ、あの、お爺さん? 私、実は怖い人に追われてるみたいで」

「ふん? レストランの中のあいつじゃろう? 安心すると良い。さすがに少女を襲ったり脅したりする様な男ではないさ。それよりも……お嬢さんも、このレストランに集まった口かの?」

「集まったと言うか、様子を伺いにと言うか……その、どういう集まりなので?」

「そりゃあお前、街をなんとかしたいって怪しい奴らの集まりさ」

「ひえっ!」

 新しい声に振り向くと、そこに先ほどのヤクザがいた。追いつかれたヤクザは、きっと脅しつけてくるに違いあるまい。

「だからそう怯えるなって。なあ、平蔵からも何とか言ってくれよ」

「そうは言ってもの。お前さんが強面なのは昔からじゃし……ああ、そうじゃ。わしの顔の方は見覚えあるかの? 何度か顔くらいは店で見た事がある」

「店? 何の店で……あ、でも、お爺さんにはどこかでお会いしたような」

 平蔵と呼ばれた老人の顔には、確かに見覚えがあった。それがどこでだったか、どうしても思い出せないが、どうやらどこかの店であるらしい。

「ふむ。なら話が早い。わしの顔をどこで見たか、思い出せんじゃろう? 不思議とな?」

「ええっと……はい。正直なところ」

 本当に、老人の顔には見覚えがあるのだ。それはしっかりと記憶にあるのに、どこのどんな場所でかがさっぱり思い出せなかった。すべてをど忘れする事があっても、こんな事は初めてだった。

「それが仕掛けじゃ。お嬢さんも、色々と術を仕掛けられた側と言うことじゃなあ」

「術……あの、それはもしかして、最近の日苗市の状況に絡んだ?」

「なんだ。やっぱり嬢ちゃんも俺らの仲間みたいなもんなのか? 一応聞いとくが、奴らの仲間ってわけじゃないよな?」

「はい? その、仲間? 奴ら? 一体全体何なんです?」

 何も分からないと混乱していると、その反応が解答になったらしく、レストランの方へ手を向けられる。

「とりあえず、中で話そうぜ。メンバーが何かごちゃごちゃと集まってる。ところで、嬢ちゃんも力持ちだったりするのかい?」

「ち、力持ちと言うか……そのヒナエ……」

 正面から言うのは憚られたので言い淀む。力持ちを見知らぬ相手に明かすのは抵抗があるし、ヒナエトライアングルについては、色んな方面で明かす事をしたくない。

「おお、彼女はヒナエツインズとかなんとかいう集まりじゃよ」

「は!? い、いえ、ヒナエツインズではなくトライアングルで、集まりと申しますか、なんて表現すれば良いか……」

「まあまあ、自己紹介も中でやろう。だいたいからして、まとまりの無いもん達が集まって来ておるんじゃなから、全員の前で名乗ってくれんと困る」

 老人に促されるまま、秀美はレストランの中へと入って行った。

 外から見た通り、休業中らしいのに、人が多く集まっている。集まっている人間については、老人が言う通りに纏まりが無かった。

 先ほどのヤクザと老人、同年代らしき学生3人に、とても小柄な女性や、一方でとても大柄な中年男性もいた。他にも神経質そうな男だったり、大人しめな姿の女性―――この女性については、どうにも心当たりがある様に見えたが、あえて気にしない事にする―――などなど、いったい何の集まりかが分からない。

「案外、問題視している人間が多いらしいな」

 大柄の中年男性が、秀美を見て口を開いた。何か威厳のありそうな声質である。例えば、どこかの悪の組織のボスをしている様な……。

「あ、あなた。もしかして、ビョースター団の―――

「おおっと、正体についてはここで言いっこ無しだ。自分達の立場を明かすと、それぞれ思うところが生まれてしまうだろう?」

「あ……っと……はい」

 もし、彼が秀美の考える通りに、ビョースター団の大幹部、ビックビョースターだとしたら、ヒナエトライアングルの一員となっている秀美は、見て見ぬフリが出来なくなる。

 その近くに座っている女性に関しても、もっと心当たりがあるのだが、やはり、完全に気が付いてしまえば、話す事ができない状況になりそうなので、秀美はあえて考えない事にした。

「で、嬢ちゃん。もう一度確認なんだが、今の街の様子を、なんとかしたいと考えて来たって、こっちは思って良いのかい?」

 ヤクザが客席にドカリと座りながら、秀美を見つめて、もう一度尋ねて来た。

「それはもう、街を何とかしたいですけれど……他の皆さんも、それを思ってこのレストランに? 何かこう……愚連隊みたいな集まりということなのですか?」

「愚連隊とは……古い言い回しを使うのう。まあ、わしがこのレストランで起こった揉め事を調停させてもらった礼として、暫くは会議の場みたいに使わせて貰っとるよ。メニューから注文もできる。ナポリタンはおススメせんがの」

 どうにもこの老人が中心人物らしい。この場にいる全員が、新たに現れた秀美と言うよりも、秀美を案内してきた老人を見ている様だった。

「具体的には、どんな話をしているのです?」

「うむ。何と言うかの、消えてしまった奴を取り戻すための相談が主にかの。今の状況に一番必要な奴じゃが、いかんせん、ちょいと失敗しての。その挽回のために老骨が動いとる。奴もまだまだ未熟と言う事なんじゃろうな」

 その奴と言うのが誰なのだろう。思い出そうとして、まったく記憶に無いことを再確認する。

「まった、老人。私はあくまで、敵となる輩の街からの排除を目的としていると考えていたが?」

 神経質そうな男が挙手をしてから声を上げた。まとまりの無さそうな集団であるから、やはり意見もまとまっていないらしい。

「それを目的とできれば一番分かりやすくて助かるんじゃが、中々に難しい部分がある。まずその敵が把握できんじゃろ? 怪しい奴らなんぞ、街のどこにでもいるからの」

 今回の事件……怪しい人間が怪しい事をしているのは、この街において何時もの事でしかない。そういう怪しい人間も、街は受け入れて来た。

 けれど、何者かの意図があって街を混乱させているのだとしたら、それは今までとは違う部分もあるだろう。だからこそ悩ましいのかもしれない。

「とりあえず、奴を消したというのが具体的な奴らの行動である以上、それをなんとかするのが、奴らへの意趣返しになるとわしは考えとるわけじゃが、皆、そこに異論はあるかね?」

 老人がこの場にいる全員へ視線を向けてくる。秀美にもだ。

 他の人間は、老人の意見を理解して黙っているのだろうか。秀美は、やはりわけが分からないから黙っている事しかできない。

「あの……関係ないかもしれない話なんですけれど」

「何かな? お嬢さん」

「その……そもそもお爺さんは一体何者なんですか?」

 根本的な部分から尋ねなければ始まらない。そう考えた秀美は、老人に尋ねてみる事にした。




 七南・平蔵は老人だ。どこにでもいる老人で、今は消えてしまった店の常連でもあった。

 好物はナポリタンであり、また得意料理もナポリタン。同じく消えた店の主人も、平蔵がナポリタンの作り方を教えた。

 そもそもからして、あの店は平蔵のものである。平蔵が土地を買い、店を建て、そこの主人となって店を営業していた。

 そんな平蔵の後継者がやってきた時、店を継がせ、さらには副業として、平蔵の仕事の一部もまた引き継がせたのだ。

 先代の調定屋。平蔵を知る人間の一部は、そんな風に平蔵を呼ぶ時もある。

「要するに、諸君の記憶から消された店は、元々わしの物なのだ。故に、取り返さなければならぬ動機がそこにある」

「分かりましたけど……本当に、あなたが七南・平蔵氏……?」

 緒方と言う少女は、疑いと言うより驚きの感情を交えて、平蔵が本当に平蔵かどうかを尋ねてくる。実際、自分がそれなりに有名人である事を平蔵は理解していた。

「お嬢さんがどの七南・平蔵の事を指しているかは知らんがね。お嬢さんにとって関わりが深いとなれば、日苗女子にあるあの山小屋……御存知かな? あれを寄贈させてもらったのじゃが……」

「は、はい! はいっ。勿論良く……けど、だとすればあなたは……」

「街有数の富豪やら権力者やら言われとるがね、そういう立場の大半は捨てた。昔取った杵柄は、年を経たら誰かに渡すに限る。わしはね、お嬢さん。どこぞの店でナポリタンを啜るだけの爺なのじゃよ」

 様々な立場をかつては持っていたが、そのすべてを引退した身の上だ。街に異変が起こらなければ、いや、異変が起きたとしても、それを誰かに任せ続けていた。平蔵はそういう老人だった。

「はっ。良く言うよな。昔は酷く悪辣だったんだぜ? この爺。そりゃあ今の代の調定屋を越えるくらいに……っと、この記憶もあやふやになってやがる」

 ヤクザ男、間上が悪態を吐く。平蔵にとって彼は旧知の仲と言えた。まだ平蔵がずっと若い頃から、この男はヤクザであったと記憶している。

「その今代の調定屋。つまりわしの次の代の調定屋こそ、皆の記憶から消えてしまった男なのじゃよ。調定屋が消され、そうして、街のバランスが崩れ始めた。積極的に崩そうとすらしている。それが今の状況じゃ。分かるかな、諸君」

 レストラン内にいる全員に目を向けて行く。状況の理解こそが、共同作業を始める上での大切な事だ。やるべき事は別にバラバラでも良いが、それぞれの認識が違っていれば、何事も統一的にはならない。

「ちょっと待って欲しい、ご老人。そう聞くと、ご老人はあの魁峰・陶生の術が効いていらっしゃらないのか?」

 神経質な見た目の男……相神会の代表者として来ている水戸野・晃生が席に座ったまま、やや興味深そうな視線を向けてきた。

 平蔵はと言えば、ゆっくりと頷き、その問い掛けに対して明確に肯定する。

「正確には、忘れる物の対象を、皆とは違う形で捉えとる。敵は今代の調定屋個人とその店を消したのじゃろう。わしはそういう形で奴を記憶してはおらんかったから、奴を忘れる事は無かったんじゃな。間上。お前も、似た立場のはずじゃが、存外、記憶が個人寄りになっていたと言う事じゃのう」

「待った。待ってくれ……ああ、そうだ。そっちの方の記憶はある。確かに、そっちとしての印象は、最近は薄かったんだろうな……あんた程に、やっぱり記憶がはっきりしてねえよ」

 間上がまったく記憶を無くしていないだけでも上等だろう。彼は平蔵よりもさらに長く生きた神狼であり、長期的な記憶は余程重要で無い限りは捨て去る様な生き方をする。

「あの……その……消えてしまった方と店なんですが……別の記憶の仕方と言うのは何なんです? 私、そういう事ができなくて、本当に忘れてしまって……」

 レストラン内にいた見風・妙が、泣き出しそうな声を漏らす。恐らく、彼女が一番気落ちしている様に見えた。今代の調定屋に関して、彼女の記憶の中で重要な位置を占めていたのだろう。それが突然空虚になる。精神的なショックを大きいと見えた。

「違う見方……そこが、奴を真っ先に救出しなければならない理由にもなっておる。敵はそれを理解していたかどうかは分からぬがな。一応、情報は流出せぬ様に努めていたが、情報とは流水と同じ。どこぞから漏れたとしてもおかしくはない……」

 そうして、これからそれを明かすつもりだ。これ以上隠し立ては出来ない。今代の調定屋、漢条・竜太について、今、この場に集まっている人間へ明かし、助けを請わなければ、街そのものが危うくなってくるからだ。

「これから話す事は、味方と思える者には話しても構わないが、やはり、多くの者には決して話さぬ様に努めて欲しい。恐らく、この日苗市そのものにも関わる重要な話じゃ。広まれば、街に生きる住人の足元すらも危うくなる。そんな内容のな」

 それを他者に知らせるというのは悪い事ではあるだろう。混乱の中に、無理矢理に巻き込むのと同義だ。

 だが、平蔵は善人では無かった。今代の調定屋が動けない以上、その尻拭いとして、また街のバランスを保つために動き始めた調定屋。今の平蔵はそんな立場なのである。


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