いつもと違う日常
雪子に告白されてから一週間が過ぎた。
雪子はあれから変わった。
朝はいつものように迎えに来なくった。
それだけならば全然いい。寧ろ他の人からすると今まで迎えに来ていたほうが不思議である。
俺が話しかけようとしても去るように逃げていく。
でも、俺が見ていない時に雪子はよく俺の方を見るようになった。
色々考えては見たのだが俺は雪子の考えていることが全くわからなかった。
俺には雪子がいつもそばにいたからあまり感じなかったけど、今更ながら気付いたことがある。
俺は友達が少ない……
「はが○い」みたいに言ってしまったけれども本当にそうなのである。
まず話しかけてくれる人がなかなかいない。
いや、いないことはないのだが最低限の会話くらいだ。
用がない場合は全く話しかけられない。
クラスでは俺以外、グループが完成している。
つまり孤立しているというわけ。
中学のときは少し騒ぎすぎた。
だから後悔することもあり黒歴史もたくさん生まれた。
高校では落ち着いた行動を心がけようと決めていたのだがどうしてこうなったのだろうか。
もう今更青春しても遅い気がする。
俺は残りの高校生活はのんびりと過ごそうと心に決めた。
そんな感じで色々なことを考えていると四時間目が終わるチャイムが鳴り、昼休みとなる。
クラスの生徒は購買に走って数量限定のパンなんかを急いで買いにいく者もいれば友達と机を寄せあって弁当を食べたりする者もいる。
皆は何かするときにはほとんどの場合、誰かが一緒である。
雪子を除いてだが。
雪子は黙々と自分の弁当を食べていた。
教室にいるほとんどの人が誰かと一緒に昼休みを過ごしているから孤立している俺はあまり居心地は良くない。
妹が作ってくれた昨日の晩飯と冷凍食品の詰め合わせ弁当を持って何処か一人で食べられるいい場所がないか探す。
中庭は教室と同じ様な感じで
校舎裏と屋上はリア充達の場となっていた。
最終的にたどり着いたのは体育館の入り口付近にある階段だった。
そこからはグラウンドが綺麗に見渡せて心地よい風が吹く。
俺はここで食べることにした。
弁当を開けて食べようとしたときに俺はあることに気がついた。
距離は離れているが、望月さんが俺と同じ場所で弁当を食べていた。
メイド喫茶での一件を思いだして俺は少し気まずい気持ちになりながらも弁当を食べた。
すると望月さんは食べ終わったのか立ち上がって俺の方へ近づいてきた。
「ねぇ会田さん、あなた誰にも言ってないわよね?」
「ん?えー、なんのこと?」
急な質問だったので意味がわからなかった。
「その……私が秋葉原のメイド喫茶で働いていたことよ」
「あっ、その事なら大丈夫。誰にも言ってないから心配しなくていいよ」
「そう、ならいいわ。ありがとう」
望月さんは少しほっとしたような表情になった。
「ねぇ望月さん」
「なにかしら?」
「望月さんっていつもここで食べてるの?」
「ええ、高校の体育館前っていうのは意外と昼休み過ごす場所としてはあまり人気がないの。この学校はよく風が通るし、ここなんて綺麗な景色も見えてとても気持ちがいいの」
「そうだね、俺はいつも誰かと一緒に食べてたからこういう景色とか全然知らなかったな」
「あなたの誰かって言うのは牧野さん?」
「へぇ、よく知ってるね」
「あんなことがあったら絶対に覚えてるわよ。」
「そりゃそうか。あのときは迷惑かけてごめん」
「いえ、あなたに非はないわ。私が悪かったもの。」
「それでもごめん。困らせたことには変わりないから」
「そう……、あなたは優しいのね。私はクラスの話しかけられても態度が冷たいとか言われてすぐに影でいじめられるの。だから私には友達がいない。でも一人は嫌いではないからこうやって昼休みになったらここにくるの。」
「そっか、確かにこうやってあまり人がいない場所で食べるのもいいね」
「でも……、あなたとなら一緒にいてもいいかなって思える。私、あなたのことが好きかもしれないわ」
「俺も、望月さんと一緒にいて楽しいよ」
「ふふっ、あなたって鈍感なのね」
「ん?なんのこと?」
「別に、何でもないわ」
「なんだそれ…」
俺と望月さんが話している中、こちらをじっと見つめていた視線に俺達は気付かなかった。
おかしな部分があれば教えてください。




