攻殻機動隊の原作(01・02話)ネタバレあり
攻殻機動隊の漫画も、神山版のテレビアニメも、押井版の映画も、全部好きなのだが、これは漫画版の話。とかく不遇な扱いだけど何十年経っても良質な原作です。俺はテレビアニメ版が好きなので印象を引き摺られるかもしれないけど、とりあえず書いてみる。
まず、最初に警察とは犯罪が起きてからが仕事であり、被害者がいて成立する仕事です。基本的に手遅れということを念頭に置いてください。本編02話でも触れているけど、攻殻機動隊の『攻』とは攻性の意味であり、犯罪の芽を探し出して除去する組織です。なので強権を有しているため下手をすれば暴走を招く恐れがあります。となると、攻性の組織で必要不可欠なものは何か? 圧倒的な正義感です。
さてさて、最後まで書いて思ったけど、全般的に説明になっているので(ただ読みを外しているところはあると思うけど)、この説明は漫画を開きながら見ていただけると分かり易いと思います(特に02話)
01話。2029年3月5日
短いページですが、まずかいつまんで説明。
日本の伊東次官と某国の外交官の裏取引中です。これを公安が取り締まろうとしています。裏取引の現場を押さえて、外交官をペルソナノングラータで送還しようとしています。同時に伊東次官という日本の前首相の暗殺にかかわる情報漏洩をした疑いがあるのでおさえようとしています。
一方で素子たちも行動しています。(この時点で軍だからね)前首相が生きている間に素子達に暗殺命令をしていました。標的は外交官です。
荒巻が伊東次官をおさえようとすると、外交官との問答になります。
伊東次官はすでに亡命をしており、国際法に基づき保護されていると。
荒巻も負けずに国際テロ防止法をだすが、検討して返答するとかわされてしまう。
問答に法的に負けて、伊藤(元)次官に暗殺されるぞと言う。(伊東次官は裏取引の証拠、前首相の暗殺情報漏洩の証拠でもあるので口封じの可能性は当然高い)
次の瞬間、外交官は素子に暗殺される。
内務大臣のオフィスで暗殺命令書を持つ素子と再開して、荒巻の中で素子の能力の高さを知ることとなった。
感想:まあ導入編ですね。なんか感想と言うより、説明になっているなぁ。まあ、素子と言う能力の高さを知り、荒巻と素子が出会ったって言う話ですね。
※ペルソナノングラータ:外交官待遇拒否のこと。接受国(この場合日本)が某国の外交官が駐在するのに相応しくないと判断して行う唯一の拒否手段。
※内務省:内務省と外務省があり、かつて日本にもあった。内務大臣は副総理とも言っていい権力があり、地方行政・警察・土木・衛生・社会(労働)・神道(国家神道)などといった内政を取り扱っていた。(攻殻機動隊ではどれくらいの権限があったかは知らん)軍と公安も内務大臣の支配下にあるだろう。
02話。2029年4月10日
とりあえず、物語の説明。
内務大臣の下部組織である軍に所属する草薙素子は特殊部隊の設立を目指していた。素子は内務大臣へ申請するのに公安部の協力を得ようとしている。
単独では難しいと判断したのでしょうね。
24時間の花見中に公安部の荒巻から通信が入る。
「貴様が要求していた予算は通したぞ。仕事をしろ」
フチコマにて情報の確認。(情報の裏づけを取っている)
フチコマが調べている間に、盗聴が不可能な有線にてバトーと会話して、話し合いをする。これからの未来が掛かっているので、それぞれの意見があるが、公安部との取引を行うことになる。(素子の聴覚素子の接触不良が表現されているが、軍であっても最高級品の装備じゃないことを示唆。トグサを助けに行くときにもなっているし、イシカワの照準装置でも言及されている)
フチコマの情報の裏づけ確認後、全員がフチコマに乗り現場へと出動。移動している最中に無線にて状況説明。(最初の荒巻との会話から素子だけは状況を知っているような話し方なので、素子の中ではある程度事件を把握している模様)
先ほどの有線ではバトーとしか会話していないので無線にて情報周知、相手が超天才電脳技師の攻性防壁をつかう危険なやつ、荒巻が特殊部隊の設立の予算は通したなど(このページ読みづらい。他にも色々書いているが省く)を周知する。
目的地に到着。
聖庶民救済センターは戦災孤児を教育する福祉施設だが、施設内部に洗脳装置がある。つまり、色々な分野へと人材を送り込む施設ではあるが、誰かの都合の良い人物へと作りかえられている恐れがある危険な人材育成施設ということ。
この施設が怪しいとなったのは、とある研究所のHC・25の設計図がハッキングされ、そこの暗号鍵を作ったのがこの施設の出身者だから、プロのハッカーに潜らせても失敗に終わったので、ここが怪しいと踏んでいる。
話の最初からそうだが、素子は荒巻を信用していない。確かな証拠が無い限り、実際に動く素子達には不安が大き過ぎる。前話の暗殺の件もあるので、新巻が素子たちに対してどういう感情を抱いているかも分らない、もしかしたらはめようとしているかもしれない。
疑惑は残るが動かざるを得ない。
素子達は学習コースの映像を入手して、素子とバトー情報をみた。素子は学習装置が普通のものだったので怒るが、バトーは冷静だった。(バトーより素子のほうが上なので、素子は自分たちの未来が掛かっている入り組んだ状況にだいぶ熱くなっている。学習装置が普通のものだったら施設も普通のものだと思うから)
バトー「映像を入手するためにハッキングして脱走した少年は楽になりたい感覚があった」逃げた少年は自殺願望があると勘付き、すかさずバトーは脱走した少年に子グモ(盗聴装置)を仕掛ける。(普通の施設だったら死にたいと思わないだろうという推測)
部隊は素子がいれば存続する。そう考えて、バトーは自ら命令を下した(素子とバトーの横には公安部もいるので、公安部に対する説明にはなる)
バトーの指示のもと前線で動くイシカワとトグサ、協力し合って、トグサが脱走少年に子グモ(盗聴器。後のページでバトーが聞き耳をたてている)を仕掛ける。トグサの支援をしていたイシカワは、警備兵の装備が陸自の特注、光神経は官給品だと見破る。
この情報により、学習装置も普通そうだし、『政府の施設』と分かる。公安部の荒巻が素子達をはめようとしていたように思えていたが、突入すればその荒巻が逮捕されてしまうと言う展開になる。(正規の施設に突撃する意味は無い)
疑問は深まる。
バトーは素子が疑似体験をかまされたというが(この話では終止冷静ではない。もう少しで目標に到達できるから焦っている)、素子は否定する。
バトーの言葉「突入で火の粉をかぶるのは、政治家か、素子達か、センターの子どもたちか」で、
素子の決意は固まる。
「いつの時代も我々のような部隊は必要だ。だから失うものはない」
クソ野郎を一掃するために取引したのだ。
「そうしろとささやくのよ。私のゴーストが」
とある。(自分たちのことはどうでもいいという、悪を倒すと言う圧倒的な正義感が素子を動かしている)
話は脱走した少年に戻る。
警備員の一人が脱走した少年が気絶していたので何かされたのだと勘付き(憶測だけど)、排水路への蓋に草が挟まっているのでつい最近あけた痕跡だと気付く(後のページにもあるよ)、公安部のアンドロイドを焼くが手応えが無かったためAIと判断。AIを使う相手となると、プロと言うことを認識する。その警備員の一人がイシカワ、トグサと洗脳、あやうく素子も洗脳されかけるが自閉症モードで逃げ切り、フチコマに警備員が使ってきたゴースト侵入鍵を複製して、逆襲する。
(ここで警備員の独り言を素子が聞いている描写があるけどどうしてか分からん? 身代り装置が破壊されているから、攻性防壁も破壊したのかな。結果、素子が簡単に盗聴できるようになったということか)
素子は熱光学迷彩にて待ち伏せ、ダミーをしかけ無防備になったところを銃撃して制圧する。洗脳装置とゴースト侵入鍵素子を奪い、情報も収集する。
「五時間ほど前にハッカーを焼いたか」←(公安部が潜入させたハッカーのこと、事件の発覚のきっかけとなった出来事が実際にあったか確認している)
「それは知らん」←(曖昧だが、公安のハッカー侵入はなかったとようだ)
警備員は公安部だと知り驚く。(国家権力の前には公安部も意味をなさないのだろう)
そして会話、
少年「僕らを外へ解放しに来てくれたんですね!?」
素子「はあ?? 何が望みだ? 俗悪メディアに洗脳されながら種をまかずに実を食べることか? 興進国を犠牲にして」←良いご身分になりたいのかってことかな。
※興進国は後進国とは違う意味かな、多分発展中の国って意味。
少年「そっ そんな・・・」
素子「お前にだってゴーストがあるだろ 脳だってついてる 電脳にもアクセスできる。未来を創れ」←(応援してくれていますね)
少年「そんな事言われてもナ」という会話に繋がる。
で、荒巻のネタばらし。
あの施設は政府の洗脳施設であり、独走を始めたので見せしめにした。NATO(北大西洋条約機構。日本とNATOって繋がりが良く分からないけど、ソ連関連かな? あとあとソ連っぽいの出てくるし)のスパイは二人辞職。
で、内務大臣との話。おそらく内務大臣は公安部の使い走りにするつもりだったが、素子が内務大臣を操って殴って話を全部破談にさせる。(内務大臣の下部組織では目指している攻性の組織とは違うから)
トグサが落ち込んでいるが、草で枝(証拠)を残してしまった件だ。
酒場に荒巻が来る。
荒巻は素子を試していた。(正義感があるかどうかの確認)
荒巻は告げる。
荒巻「上は首相だけ 責任はわしがもつ…階級なしの実力主義…最優先ライン。犯罪の芽を捜し出しこれを除去する。お前やわしが心から臨んでいた攻性の組織だ。質はお前たち次第だが」
素子は驚くが、荒巻も素子の理想の組織を目指していた一員だった。ただ中途半端な連中では攻性の組織は危険なので、素子の実力を確かめると同時に、その正義感を試した話だ。
で、
「えへへっ」←素子の会心の笑みだ。悪を淘汰できる正義の組織を作ることが出来て、こんなに無邪気に喜ぶのは彼女の正義感の強さを示唆している。
最後のコマは脱走少年が仕事を頑張っているシーンで終わり。
感想:話を説明しながら感想書いてしまったが、正義の話なんですよー。バトーが素子を守ろうとしているので、素子の正義あっての攻機動隊なのだろう。