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エデンの向こうへ  作者: 懸時哀斗
1-6 全面戦争、そして
51/65

城5

1週間勘違い。


来週は忙しいので、再来週以降に。

行けるのかっ

「よろしいのですか?」


泉玲の問いに志穏は椅子に背を投げる。


「ボクじゃ強過ぎる。まだリスクを負う段階じゃない」

「かしこまりました」


彼方が立ち上がり、志穏へ斬りかかる。それを泉玲は〈茨の鞭〉で受け、衝撃をも吸収する。


「その名前は何というのですか?」

「彼方だって、先に聞いてますよねっ!」


鞭と剣の鍔迫り合い。それを弾かれ彼方は宙返りして距離をとり、体勢を立て直す。


「あなたじゃなく…その得物の名前なのですが……」


困ったような響きに、彼方は素で返す。


「名前、いると?」

「あったほうが愛着もわくし、実際の能力も上がりますね。ちなみにこれは〈茨の鞭〉といいます」

「ろーず、うぃっぷ。……そういえばれっすいとか、れんがとかいってたな…」

「でしょう?」

「んー、じゃ、こっちは〈ライ〉でいいか」

「いいんですか…〈雷神の槌〉とかつけてる人もいますけど……」


何のひねりもない名づけに泉玲は呆れる。だが彼方は頓着せず、


「トールハンマー。それもかっこよさそうですね。雷神のハンマーってとこですか。ハンマーって斧でしたっけ? これ斧じゃないしなー。まぁいいよ」

「ならいいですけど。〈ライ〉は雷のライですよね…っっと!」


泉玲は首筋を狙って振り払われた〈雷〉を上体のみで躱す。


「そう……そうですね」


躱しつつ伸ばされる〈茨の鞭〉が彼方を襲い、彼方は〈雷〉で斬り払う。斬られた鞭は即座に再生し、元の長さを取り戻す。


「へー、そういうのもあるんですね」


泉玲はすぐさま彼方の言葉を解する。


「これは斬られたりするのを前提に再生能力を付与してます。少しもろいのが難点ですがっ、ねっ!」


〈茨の鞭〉が伸び、〈雷〉が斬り払う。隙を見て彼方が飛び込もうとするが泉玲が牽制する。中距離での攻防が続く。

志穏は戦況を眺め、漏らした。


「予想より彼方が弱いな」


少なくとも彼方は半年前の耀介よりも強くなっていないといけない。そうでなければ確認だのなんだの言う意味すらない、はずなのに、明らかにそこまでの力がない。この結果がわかっていれば、各場所の状況をモニターできるようにしとくべきだったな、そう反省する。レベル2にすら達していない彼方。この様子だと他の3人も「まだ」なのだろうか。

志穏の見ている前で、泉玲の鞭で彼方の足がとられ、彼方が倒れる。それでも追撃の鞭を、起き上がりつつ斬り、あるいは弾く。


「んー。確かに能力は使ってないんだが」


その言葉通り、彼方はまだ能力を使っていない。まさか隠し玉ということもないだろう。こちらが能力の種類を把握していることも知っているだろうし、これで泉玲が能力を使っているのなら別だが、泉玲も能力を使っていない。泉玲がそういうタイプの能力でもないし。そして泉玲は志穏が許可を出すまで能力を使えないとしている。能力を使わない同士でこれだと、能力を使えたところで高が知れている。


「――ん?」


と、そこで。規則的な音を耳が拾う。左端の通路。そこから。


「未羽が来るまでの時間稼ぎか。…中途半端にしか持てないのは罪だな。被害を拡大しかしない」


言い終えたところで未羽が飛び込んでくる。すでに一戦交えているはずのその身体は、かすり傷を負っているものの、重傷を受けているようには見えない。その目は志穏、彼方、泉玲へと移り、即座に2人の間に介入する。


「泉玲、もういいぞ。ボクも出るっ!」


ここで、最強の能力者と謳われる志穏が参入した。







ハンマーだの、斧だのの件は彼方の勘違い。

泉玲も突っ込まず。


次回は別の戦場へ

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