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エデンの向こうへ  作者: 懸時哀斗
1-5 喪失
41/65

基地2

メリークリスマスなんて言わないっ


むかし行ったイルミネーション綺麗だったな。




みんな、砂丘にも雪は降るンダぜっっ

「ここが射撃練習場。ほら、よくありそうなやつでしょ」


未羽の視線をたどる。そこには区画分けされた先に的が、丸ではなく人の形をしている、しっかりと対人への狙撃を想定された的がある。

区画は十に分かれ、その数はこの基地にいる人数よりも多い。それだけでもともとはもっと多くの人数がここに滞在する予定で設計されていたのがうかがえる。それがかなわなかったのはいかなる理由だろうか。


「彼方?」

「ああ、うん。射撃練習場ね、わかった」

「もちろん、〈銃〉を創り出して能力を使った弾丸でもいいし、通常の拳銃を使っても大丈夫だよ。この基地全体がよくわかんないけど能力とかの全然効かない性質のものでできてるらしくて、穴とかも開かないから。まー、そういうのが知りたかったら未知に聞いてね」

「?」


彼方は言われた意味が理解できず未羽を見つめ、やがて視線に気づいた未羽と見つめ合う格好になり少しの間時間が止まる。と、


「あ、もしかして聞いてない?」

「なにが?」

「未知、頭いいから。もし能力とかそういうのが無かったらどっかの大学の先生とか研究所とかで働いてたんじゃないかな」

「へー」


それは初耳だった。


「今も能力の発生条件とか、どういうメカニズムで発生しているとか、能力者とか非能力者の違いがどこにあるかとかそういったことをいろいろ研究してたりするらしいよ。私にはよくわからないけど」

「それがわかれば――」

「ん?」

「いや、なんでもないよ」

「言いかけてやめるのってひどくない?」

「ほんとになんでもないから」

「ふーん」


なんでもないことはないけれど。

今更それを知ってどうしようというのだろう。

もう終わったことだし、知っていても変わらなかったに違いないのだから。

それでも、まだこれから変えられることもあるだろう。


彼方は部屋の入り口を確認し、


「ごめん。ちょっとここ使っていい? あと外しまくって恥ずかしいから一人でやりたいんだけど」

「うん。わかった。がんばって」

「頑張ってより頑張ろうのほうが嬉しいかな?」


軽口を交わし実質的には未羽を追い出す。

その部屋に入り口から鍵をかけて人心地つく。


「さて、やろうか」








「さて、始まるか」


携帯のボタンを押し、通話が切れたことを確認する。

そこは海にせり出した岸壁。打ち寄せるその波の向こう側、その先に先ほどまでの電話相手がいるのかいないのか。月明かりに照らされ志穏は一人たたずむ。

敢えて宣戦布告をした理由は何だっただろうか。戦いたくなったなどと言ってはみたがおそらく違うだろう。志穏は自分でも理解しきれない自分の気持ちを制御しようとする。


「菜摘はもういない。耀介は去った。〈ココロ〉も連れていかれた。〈シン〉もいない。未弥ももう何もしないだろう」


指折り数え、自嘲する。


「ボロボロじゃないか。ボクは。本当にこんなんで行けるのか。本当に困難だなこの道は」


そこで瞑目し、それでも。


「それでも進まなきゃならないだろう。行かなきゃならないだろう。知ってしまったんだ。できるかどうかなんて関係ない。それを知ってしまった。自分には出来る可能性が提示された。ボクはボクのために進まなきゃならない。三人がいなくなった。一人がいるだけになった。それでもまだゼロになったわけじゃないし、ボク一人でも行って見せるさ。エデンの向こうへ」




以前言っていた通り、年内最後の行進になります。

歩かないよっ


すみません。二重に。

次回更新未定。

一月中旬?くらい?


パワーアップしてきます。


みなさま、よいお年を。




追記

ごめんなさい。

今気づいた。

あとがきで未知の能力を

熱と言ったり炎と言ったり・・・


もう少し時間ください

どっちか決めときます・・・


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