決別3
「これって―――」
「地下室っていうよりは地下空洞?」
彼方の言葉を未知が引き継ぐ。
そこはとても広い空間で鍾乳石が幾重にも垂れ下がっている。どこかぼんやりと明るいのはどこからか光が入っているのか、それとも鍾乳石か何かが光を放っているのだろうか。
「おにぃちゃん、あっちに何かあるよ」
言われたとおりに未知の指した方角を眺める。確かにそっちには空洞が続いている。
「あっちにあるのかな?」
「行ってみればわかるんじゃない?」
「それもそうだね。じゃ行ってみようか」
「やめといたほうがいいな」
予期せぬ方向からの返事に二人が振り向く。
そこには二人の人が―――
「なんで………」
巫女装束の女性と、学生服の男性が。
その巫女姿のほうが彼方に返す。
「貴方にはわからないでしょうね。そしてわかる必要もありません」
彼方は次の言葉を継げず…
それを横目に学生服の男が促す。
「菜摘、この二人にこんなこと言っても意味ないんじゃねぇのか。そんなことこだわらずにさっさと仕事を済ませちまおうぜ」
そこにいたのは彼方が慕う、そしてつい先日気まずい別れ方をした―――
「あ……」
「まぁいいでしょう。とりあえずそこの二人、先ほど耀介が言った通り、ここから先へ進むのは由とはしませんし、今更帰ると言われてもそれを許すことはあり得ません。ここで排除させていただきます」
「菜摘さん?」
彼方の言葉に、
「ああ、心配せずとも私たちも〈能力者〉ですので、全力でかかってきてくださってかまいません。どちらにせよ叩き潰します」
応える声はなく。
「そうですね、勝負の形式は一対一の同時進行で、それぞれ干渉なしということにしましょう。それではそちらの……彼方さん、でしたっけ? いきますよ」
やっぱりこちらの弱点を突いてくる。おそらくあっちは菜摘とかいったほうが強いのだろう。それを武器も、能力すらまともに使えないおにぃちゃんに当てることによって確実につぶす気だ。
喋り出した瞬間に彼方に向かって走り出す菜摘。対照的に未知と正対したまま動かない耀介を見て未知は舌打ちする。
いくら私のほうが強いからといっても相手の能力が未知の状態で時間稼ぎに来られたらそう簡単には殺せないだろうしな。でもおにぃちゃんは能力をまともに使えないし、武器も…まだないし。
さて、どうしようか。
こんな時間に。
いろいろあって・・・
部屋掃除ができたのはいいことだけど、
これから2週間くらいは地獄だろうな