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エデンの向こうへ  作者: 懸時哀斗
1-3 流転
19/65

決別1

その日の講義は通常通り行われていた。

学校全体で何人かの休みがいたもののそこまでは知ったことではないし、とるに足りないことだ。いつも一人くらいは休みがいる。

が、その日常はある瞬間に終わった。


「何だ!? あれっ」


生徒の一人があげた声で抗議の静寂は失われる。


「そこのキミっ、私語は慎みなさい」


講師の言葉には耳を貸さず、その生徒は一心に外を見つめる。恐怖の目で。

不審に思った教師、ほかの生徒が生徒の視線の先を追う…と、


「なっ!?」

「えっ…」

「何…あれ……」


声をあげるもの。声すらあげず絶句するもの。

形は違えど抱く思いは同じ。

驚き、恐怖。

卒倒する女子生徒もいる。

慌てて教室から飛び出ようとする男子生徒も。


そこには別世界が広がっていた。


外はグラウンドがあるはずだ。部活や体育の授業で使われる。

グラウンドは土。つまり茶色……のはずなのだが、グラウンドの色は緑色になっていた。


「……は?」


遅れて外を見たものが声を漏らす。

正確にいえば、緑色なのではなく、緑色の物体に埋め尽くされているのだった。


緑色の物体―――それは正式な名称などまだ存在しなかった。しかし、それを見た人はのちに正式に決まる名称でそれを称することができた。

あれは、スライム、だ、と。


彼方、未羽、未知、塔矢の四人はその校舎の中にいた。正確にはその地下へ向おうとしていたところだったのだが、その惨劇の予感を目にして四人の脚は止まることになる。


「千尋さんの読み外れてんぞ。 …あの野郎、こんな姑息な手を」


正確には誰がしたのかはわかっていない。だが、わかりきっていたこと。彼方が能力に目覚めたのに焦ってこのような手段に及んだのだろう。

いずれ本格的な攻撃が開始されるはずだ。未羽たちと同じような能力者、あるいは同等の力を有するガニールのような機械。彼らは全校生徒を人質に攻撃を仕掛けられているのだ。


「馬鹿らしい」


吐き捨てる塔矢の言葉に彼方は振り返る。


「この学校にいるやつのことなんて俺らには関係ない。そうだろう? あいつらはあいつらで、俺らは俺らだ。自分の身くらい自分で守れよ」


彼方は……何も言えなかった。どんな反論の言葉も口にすることができなかった。

塔矢の言葉は間違っている。そう思っているはずなのに、会っているのではないかと思う自分がいる。何より、塔矢の言葉が間違っている、その理由がわからない。

それとも―――間違っていないのだろうか。塔矢の言葉は全て正しく、彼方がおかしいと思っていること自体がおかしいのだろうか。

さらに―――

彼方は考える。

この事件はおそらく自分たちのせいにされる。相手は自分たちより大きな組織。そんな存在に対してちっぽけな彼方に一体何ができるというのだろうか。


このとき、彼方の価値観は変わり始めていた。




もう一個。


これまでのやつ手直しするかも。

登場の順番の問題とか

人物紹介とか・・・

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