能力3
「じゃあ説明するわね」
未羽の一言により始まる。その場にいたのは未羽、未知、塔矢、千尋、そして、彼方。彼方に向けられる能力の説明。
これを聞いて彼方は前と同じでいられるのかどうか。未羽にはわからない。それでももう隠しておくことなどできない。
「まず、能力とは、だけど。これは私たちが考えうる限りの私たちが普段できるはずのないことが出来たらそれが能力で、能力者といえると思う。火を出したり、私のように水を操ったり、電気の制御をしたり、あるいは常識外れに身体能力が高かったり。2年前に世界大会で金メダルを総ナメにしたあの人も能力者という噂よ」
「………」
「能力者は一般にはまだ知られていない。知られるのも時間の問題とは思うけど。もしそれが世界に広がったら世界中が混乱するでしょうね。もうこれは人種の違いより大きな違いになるのだから」
「?」
「例えばの話、私一人が一国の軍隊と同じくらいといってもいいと思う。もちろんたいていの国は密かに能力者を確保しているということだからそこまではいかないだろうけど」
表情のをわずかに変えるだけで続きを促す彼方に未羽は目を伏せる。
そのことを察し、未知が続きを引き取る。
「だから能力者というのは大きな存在で重要な問題。ならそれを知っている人はどうする? これまで通りに接することができる? できないよね。できるひともいるけど全員じゃない。だから割れる。能力者の存在を是とする人と非とする人に。しかもそれが能力者でない人だけじゃない。能力者の中にも能力者というモノを認められない人もいる。こないだのタンカー事故だっけ? あれも能力者が起こしたのか、逆に能力者を狙ったものなのか。どっちにしても能力者を認められない人が少しでもいればこれからは争いの時代になる」
そこで未知は身体をブルっと震わせ、塔矢がその肩を抱く。
未知は塔矢を見あげて頷き、続ける。
「私たちは幸か不幸か能力者になった。能力者になる基準とか何時から能力者になるかも不明な点は多いけど、それでも能力者になった。そして死にたくない。だから戦うしかないでしょ。私たちを殺そうとする相手と。私たちを認めない人と」
「けど…それって」
「殺すよ。私たちは。さっきおにぃちゃんを狙ってきたガニールだって問答無用で襲ってきたでしょ。話し合いとかの段階じゃないの。中には自爆テロを起こす相手だっている。私たちも生き残るためには手段を選んでいられないの」
「ということで場所を移すわよ。彼方が狙われたということはこの場所が知られているという可能性が高い」
「えっ…」
「のまえに、アレがいるわね。明日とってきてもらうことにしましょうか。昨日の今日で襲ってくるなんてこともないでしょうし」
「そうだなっ……そうですね」
塔矢が一瞬苦しい表情になった後千尋に言い直す。
彼方は言いたいことを言えず、言わず、流れに従った。菜摘に会えなくなるという事実が彼方を叩き、そもそも自分は…と思い。
千尋も、彼方も勘違いをしていた。
能力の説明
ざっくり
一人につき能力は一つ
火とか水とか操るタイプ
身体能力の向上などのタイプ
精神感応などのタイプ
とりあえずはこのあたりまでしかこっちでは出てこない・・・はず
能力者の時点で通常の人よりは身体能力に向上が見られます
身体能力向上タイプはさらに凄いって形に。