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エデンの向こうへ  作者: 懸時哀斗
1-3 流転
14/65

行間



「やるんだな」

「ええ、ただ、彼方が能力者かどうか、それが気になります」

「能力者じゃなかったらやんねぇのか?」

「………」

「いいさ。試してやるよ。あいつが能力者かどうかだろ? とりあえず襲わせて様子見ようじゃねぇか」

「それ…は……」

「ああ、気にすんなよ。もう今頃襲ってる頃だ」

「っ!! っ…………」






河川敷に独り座り…

ただ、見つめる。


わからない


そもそも自分は…


わからない


あれ

いまみてるのは


わからない


ここはどこだ


わからない


自分は何だ


わからない




その時、背後で不自然な機械音が響いた。






「…ああ、いたの」


千尋はふと気配を感じ、振り返る。自室で一人、今後のことを考え、正直厳しいと思っていたとこに。


(始まるわね)

「そう、世界は動き始めた。私の望まないほうへ、あなたの望むほうへ。あなたはどっちにもつかないの? 私がいる以上、あちらは厳しくなるわよ」


それはただの見栄、なのに


(未弥と志穏がいるわ)

「!!っ あの子たちがいるの。確かにもうわからない」


勝つ負ける以上に、あの子たちと戦いたくはない。


「あなたは見てるんでしょ。なにもしない。見てるだけじゃ何も変わらないわよ」

(わかってる)

「―――人が……」


千尋は声を押し出す。


「人が…たくさん死ぬわ。次は…あの子たちかも……しれない。それでもあなたは動かないの?」


この戦いを止めるために。そのために動き出してほしいと思う。この人は一人で戦局を決めることができる。この不毛な戦いを止めることができる。

しかし返事はない。


「なんで能力者同士でつぶし合うの? そうであるものとそうでないもので争うのならまだわかるのに。なんで………」


それでも返事はなく、


「そう、わかったわ。あなたはいつもそう。でも世界はあなたの望むほうへ動いていく。正直うらやましいわね」

(あきらめれば?)

「そんなことできないわ。だって、私はあの子たちの母親よ。親が子供を守らないで誰があの子たちを守るというの?」

(さぁ?)


怒鳴ってしまいたかった。

あなただってあの子たちの…

だが、その言葉を飲み込む。


「まぁいいわ。どうせあなたは見ているだけなんでしょ。私は変えてみせる」

(実のところ、動くけどね)

「っ!!! あなたが!? いつ!?」


この人が動くはずがない。そのはずの人が動く。世界が大きく変わる?


(まだ動かない、動くのは世界が分かれた後)

「もう分かれてるわよ。そう思わないの?」

(序章、のちに世界は三つに、私はトップに立つ)

「これが…序章? あなたは何がしたいの?」


この世界は、何もしないのか?

この不毛なだけの戦いが、いつまでも続くというのか。

(世界の勘違いを正したいだけ)

「―――そう、………そう」


この人の言葉が「正しければ」、この人についていけば戦いは終わるのだろう。だけどそれでも千尋はこの人の言葉を信じることなどできない。なぜなら―――


(もう話すこともないわね。安らかな眠りを、千尋)

「―――私は死ぬ……と。それもあなたの想定。できればその未来は変わってほしいのだけれど…」


まぁいいわ、と千尋は嘆息する。


「それでは健やかな未来を、姉さん」


なぜならば、この人は自分の子供たちを見棄てているのだから。

自分の子供すら守らず、何が世界の勘違いを正すというのだろうか。

だから私はあの子たちを守る。




ようやく

「能力」のワードが出ました。


実際のチカラは次話に期待

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