楽しい就業生活!?
皆さんはニートというものを知っているだろうか
『ニート(若年無業者、NEET、英: not in education, employment or training[1])とは、教育、労働、職業訓練のいずれにも参加していない状態を指した造語である(Wikipediaより引用)』
つまり働ける能力は持ちながらも働かない。
そんな人たちのことです。
かくいう私もニート。
就業はしたがそこの上司があまりに無能すぎて1日で殴って退職になった。後悔はしてないがこの時の行動で人生が変わってたんだろうなぁとは思う。
それから毎日が日曜日であり毎日月曜日が来ることを怯え、それから逃避する為にネトゲに没頭する。
そうやってなんの生産性もない日をなんとなしに過ごしていた
はずなのだが…
「えっ…ここは」
目が覚めた。部屋は…監獄?1言で言うとそんな感じ。床はタイル張りで扉は鋼鉄製。扉には食べ物を入れるための隙間が空いている。
ゴツゴツしたタイルの嫌な感触のせいで目覚めは最悪だ。
自分の部屋で寝落ちしたはずなのになんで俺こんなところに居るんだ?
「ようやく目覚めたか…ここは煉獄でも天国でもない紛れもない地獄よ…」
目の前にいたのは何やらとにかく黒い服を着た男。
他にも明らかなコスプレ衣装の女性に、メガネをかけた小さい女の子。もう1人、軍服を着た男もいる
「あの…ここはドコナンデスカネ?」
「我にも分からん…ただこのようなことになってしまったのは…ぐっ!俺の責任だすまない!オレに近付くなッ!!力の制御が・・・ッ!!」
間違いなく中二病だなこの人
この人はダメそうだ。他の人に聞いてみるしかない。
まずは話しかけやすそうなコスプレの女の子に聞いてみるか
「私にも分からないぴょん☆」
前言撤回、話しかけやすくないこの人
「ブフォwwwリアル魔法少女ktkrwww」
このメガネっ娘もダメそう…
最後の期待をかけてこの人に!
嫌な予感がするが…この軍服の男性は…
「なんだ…この程度の危機。拷問されるよりマシだろうが!」
「やっぱりだー!!!」
予想通り癖が強い人だ!
ガターーーーン!!!急に扉が豪快に開かれる
入ってきたのはメガネをかけた女性。その後ろには4人のスーツを着た男性が立っている
「皆起きたようですね」
「は…はい」
皆がのそのそと起き上がる
俺は湧き上がる疑念を抑えきれずその女性に問いかけることにした
「あの…俺達は…なんでこんな所に連れてこられてるんですか?」
「ごめんなさいね。今の私にはそれを説明する権限がないの」
「権限…?」
「権限とは…この闇の王たるロード・ディアーチェにも言えないと申すか!」
「…中二病乙ww」
メガネをかけた女の子が小声で笑う
「そう私には話せないのよ。だから話せる権限を持っている人のところまで案内するわ」
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そして連れてこられた先にいるのは重々しい空気を纏った厳格そうな男性。
「ようこそ、ニートの諸君。君たちにはヒーローをやってもらうことになった。存分に喜ぶといい」
「は?」
さらにその男性は返答なんていらないとでも言うように言葉を続ける
「君たちはどれだけ疎まれている存在か知っているかね」
「…は、はい」
「う、うむ…」
5人が全く喋れなくなった。そりゃそうだ。一番言ってはいけないことをこの男は思いっきりド直球に言い放ったのだ。
「最近の日本はニート率が著しく上がっている。それも知っているね?」
「え…ええ…まぁ」
30年前の不況から日本の就職率は右肩下がり。そして就職率の低下による不況。そのループ、まさにデフレスパイラルの渦の中で踊らされているのが今の日本だ
「それを我たちに聞くとは完全な皮肉ではないのか…」
「自虐乙…」
「流石に日本政府もバカじゃない。日本政府が仕事を斡旋するのも当たり前だろう?ほらア○ノミクスアベノ○クス。そして作られた会社こそがこのMHRKなのだよ」
「そんで俺たちの斡旋された仕事がヒーローなのか?」
「そうだ。職業テストで君たちはヒーローと判定された。つまり君たちはニートだが正義感がある。保証してもいい」
初めて人に信用された…ちょっと感動する…
「やってくれるか…?」
俺でも、こんな俺でもだれかの役に立てるのなら…
「はい…俺でいいなら」
「我は拒否する。断固な」
「私もイヤにゃん♡」
「誰がやるかボケ…半年ROMってろ」
「ふん…」
「気持ちは一つだな!じゃあ行ってこい!」
「え?」
車に詰め込まれた。全く意見はあっていなかったのだけど…
「何で俺はこんな所にいるんだよーーーーーー!!!!!」
連れてこられた場所はどっかの採掘場
叫ぶ、でも助けなんて来ない
「ブフォwwwww何叫んでんのwwwワロリンww」
反応するのは隣にいる謎の女
そして目の前には見るからに不審者イズム漂う黒い全身タイツを履いた変態(?)
「お前らはここで死ぬのだよ」
黒タイツを履いた奴らの向こうにどぎついメイクをしたファラオみたいな顔の男女がテンプレみたいなセリフを吐いた
どうしよう…ものすごく怖い…
おどおどしていると無線で指令が飛んできた
「戦え。以上。」
「そんだけかよおい!武器は!?必勝法は!?」
「そんなものはない。武器ならホルダーにあるぞ」
ホルダーを見ると実銃が刺さっていた
「なんで実銃なんだよ!」
「現実感なさすぎだよ~☆」
「「お前が言うな!!」」
「と…とりあえず…誰か倒してくれお…」
少しずつ少しずつ変態達がにじり寄ってくる
もうだめだァ…おしまいだァ…こんなやつに勝てるわけがない…
ニートに何させようってんだよ…畜生!
「貸せ…!」
銃を取り上げられる。軍服野郎だ。
「この銃は、口径はデカイがリコイルが悪いな…整備をちゃんとしないからこうなるのだ…」
そしてなんの躊躇いもなく発砲。危ないなこいつ!
「レバッ!」「ニラッ!」「炒め!」
瞬く間に3人を沈めた。そして後ろにいたファラオまで
「残念だったな…慈悲はない!」
パンッ!閃光1発。ファラオが倒れる。
「ふふ…人を撃った…」
軍服野郎は手を震わせながら銃を落とす。
俺達は目の前で起こった惨状を信じられずボーッとした顔で見つめることしかできなかった。
回収のヘリが来て乗り込む。しかし会話は一切なくお通夜のようなムードが漂う
俺達は…ヒーローはこんなことをする職業なのかよ…!!
そりゃ軍服野郎は俺達を守ってくれたわけだし感謝はしているが…流石にこれはひどい。
ぐるぐる考えを巡らせている時、ヘリの中で中二病が話しかけてきた
「…おい…おい…貴様…」
「…なんだよ」
「ここから逃げないか…?あいつらは俺たちの自由を奪おうとしているんだぞ…?怪しいと思わないのか?」
確かに怪しい。職業判定にヒーローがあることも、そして何を持って判断しているのかも
「…nすまん…考えさせてくれ」
初めてなんだ。ここまで信用されたこと。そして俺にしかできないことがあるって。そう言われたら誰だって頑張ろうと思ってもいいんじゃないのか?
そう思ってたんだけどな。さっきまでは…今はもう…
そして皆無言のまま、どこかのヘリポートに到着した。
精一杯明るい顔をしてコスプレちゃんが話し出す
「ん?ここはどこにゃん?☆」
「ここが我らMHRK本部。スゴイタカイビルです」
ヘリを下りてヘリポートから下を眺めるなんて元気も余裕もなく、さっさと中に入ろうとすると予想外の人物からお出迎えを受けた
「「「おつかれさまーっす!」」」
さっきの変態たちだ。いや変態じゃないこいつらは…
「そうだ。こいつらはうちの社員たち。さっきはビビっていたなお前ら(ニヤニヤ」
「騙されたーーーーー!!ちくしょう!悲しんでた俺たちがバカみたいじゃないか!!」
「一緒にするではない。我は知っていた」
「冷や汗かきながら言っても説得力ねぇよ!」
「漏れもしっって、てて、たし…」
「私も知ってたニャン☆」
「お前らも目が泳いでるぞ」
「俺は知っていた。明らかに当たった音が違ったからな…」
「お前撃ったあと、震えながら銃落としてただろ」
たまらなく悔しい。すべてアイツの手のひらの上で踊らされていたなんて!
良い奴なんて1ミリでも思った俺がバカだった!こいつ間違いなく性格が悪い!
「まぁつまりそういうことだ。わかっただろう自分の弱さが。これからお前達には施設に入ってもらうそして1ヶ月で使い物になる人材になってもらう。それだけだ」
そして俺たちの望まない就職活動はここで苦しさの頂点を迎えることになる。
地獄の訓練編へ…続くかも…?