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後編 天然って逐一面白いよね

「どうしたらいいかな・・・?」

そう言って、ヤマダは俺の目を物凄く見てきた。

かなり視線を反らしたかった。というか反らした。

「どうしたら・・・、て・・・」

そもそも何で俺の家に来たのか解らない。

彼氏彼女の事情は是非各々で解決してくれよ。俺全く無関係じゃんよ。

とはいえ、もうここに来てしまっているのだからしかたがない。

俺は少し考えて、

「電話しろ」

と言った。

「もう一回話し合え。お前、何で別れたのか理由解ってるのか?」

「・・・いや」

「見当は?」

「・・・・・」

ヤマダは黙って首を振った。

それは嘘だろ、とも思ったが、まぁ、いいや。

「だったら電話して、もう一回話ししてみろよ」

俺が仲介に入るのもおかしな話しだし、そもそもそんな事したくない。

だったら話し合わせるのがいいだろう。コイツの場合直接話すとテンパりそうだし。

ヤマダは頷くと、ポケットの中から携帯を取り出した。

緊張した面持ちで、ボタンをカチカチ押している。

もう、俺は何もする事ない。成り行きを見送るだけだ。

そんな事を考えている内に、ヤマダが耳に携帯を当てた。

そして、


「・・・あ、もしもし?」


つながったらしい。

若干、本当に若干、俺にも多少緊張が走る。

目の前でこんな事が起きることはまずないからな。

何とか彼女の声が聞こえないかな、と耳を凝らしていると、


チラ  チラ


「?」

ヤマダがちょくちょく俺に目配せをしてくる。

何だ?と俺が小声で言うと、ヤマダは携帯を抑えながら小さい声で、

「ど、っどどうしたらうぃい?」

どうしたら「うぃい」って聞かれたのは初めてだ。多分「どうしたらいい?」を噛んだんだろう。天然で逐一面白い野郎だ。

ともかく、と、

「何でそう成ったか聞け」

と、俺も小さな声で答えてやった。

すると、ヤマダは首を縦に振って、

「な、何で、俺は振られたの・・・?」

何か他人事みたいに彼女に尋ねていた。

が、じきに、

「え・・・?あ・・・、え・・・?」

と、追い詰められているのか何なのか、言葉に詰まっているような感じだ。

「どうした?」

と聞くと、

「『何言ってるか解んない』って・・・」

との事。

何言ってるか解らない・・・?

「ど、どうしよう・・・?」

何を言ってるか解らない、っていう意味が解らない。

しかもどうしよう、って聞かれても・・・。

「・・・いいや、ちょっと電話変わってくれ」

一番手っ取り早い方法を取る事にした。

俺が聞いて、ヤマダに伝える。ソレが一番簡単だ。

俺が手を差し出すと、ヤマダは「あ、ちょっと変わるから」と、俺に携帯を差し出した。

俺はゴホン、と咳払いを一つ。

「あ〜、もしもし?」

少し緊張しながらも、相手の具合を確認しようとして、

『もしもし?』

向こうから帰ってきた声に耳を疑った。


ん?


あれ・・・?


・・・・男・・・?


俺が何を言っているか解るだろうか?

俺はあの時解らなかった。


ヤマダの彼女だと思って電話を受け取ったら、電話の相手は男だった。


俺の思考は一瞬スパーク。頭の中で一応考えていた言葉とか全部ふっとんだ。


俺は混乱しながらも携帯を耳から放して、ディスプレイを見――――


「渡・・・辺・・・」


ディスプレイには確かに“渡辺”の文字。

渡辺と言えば、俺以外の過去の事件(彼女事件等)で被害にあってるアイツだ。

声からしても間違いない。確かに“あの”渡辺だ。

・・・・・・・・・・。

お分かり頂けただろうか?


コイツ、テンパりすぎて彼女と間違って「渡辺」に電話したんスよ。


そりゃ何を言ってるかわからないだろうゼ。

っていうか気付けよ。


とりあえず渡辺には理解してもらい、電話を切った。

「え・・・、あ、何で切っちゃうんだぐふ!」

言い終わる前にとりあえず殴っておいた。で、もう一度彼女の掛けなおすように言う。


あ〜、本当に逐一オモシロイ野郎だ。


で、改めて電話をカチカチして、彼女に電話をかける。今度こそ間違いなくかけているだろう。

そして、

「あ・・・、もしもし・・・?」

ああ、今度こそ間違いないだろう。声が有り得ないくらい小さい。息だけで喋ってる感じだ。

「うん・・・、うん・・・、だから別れるとか・・・、え・・・?あ、うん・・・」

相手に見えもしないのに頷きながら話をしている。

が、何故か、しだいに声が明るくなっていき、

「え?あ、うん。そうそう。何だ、そっか。あはははは」


あはははは?


何でか知らないけど笑い声が聞こえてきてる。


「あ、うん、じゃあ来週の日曜日ね。うん、うん」


来週の日曜日に何が?


「はい、はーい、じゃあね〜」


ピッとな。


「じゃあな」

「は、え?」

電話を切るなり立ち上がるヤマダ。

「な、何だよ?結局なんで別れたんだよ?

「は?」

いや、「は?」って・・・?

何か腹立つ。

何やボケコラ。

何か顔が険しくなるのを感じる。

すると、


「あー、ゴメン」


ヤマダがとんでも無い事を言い出した。


「ごめん、勘違いだった」


「・・・・・・・・」


は?


「別に別れたわけじゃなかった。俺の勘違いだったんだよ。いやー、まいったまいっだっは!」


高速パンチをお見舞いしてやりました。


あー・・・・、


どないやねんッ!!!!

天然は逐一面白いです。

そういう事です。

楽しんで頂ければ幸いです。

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