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8-3 小屋を目指して

 

 俺のレベルが3上がった話を聞いて、亮は手に汗を握るように固く拳を握った。


「そうか、敵を倒せば早くレベルが上がるんだな!  

 この異世界はそういう仕組みなのか。俺も頑張るよ。次は倒せるように。俺は武闘家だし、みんなの盾になれねぇと。な、ポチ?」

「ワンッ」

「盾とかはいいよ、危ないから。協力して倒そう。……っと、まずはドロップアイテムを拾って、小屋を目指すか。どこかわからないけれど」


 俺はまたあるひを抱きかかえ、亮とポチとあてもなく歩き始めた。途中、何度も敵と遭遇(エンカウント)し、その度に闘う。


 探索魔法によると、イエローやグリーン、など淡く優しい色ほど弱い部類になるらしい。ぷるぷると揺れ動くその名のとおりのモンスター名『ぷるぷる』や、『メリーさん』っていう朗らかな名前の羊らしきモンスターと闘ったりとした。

 ここでちょっとした小ネタがある。

 『メリーさん』っていうくらいだから、当然羊のように「メエェ」と鳴くのかと思った。だけど実際は「メリイィィィィ」と鳴いたのだ。――あぁ、なるほどね、と2人で吹き出してしまったほどだ。しかも、戦闘に負けると判断するや否や、自分で羊毛を脱いで逃げていったのだ。もちろん羊毛は回収させてもらった。なんとも不思議なモンスターだった。

 メリーさんたちは、探索魔法による色が淡かったからか、倒すまでにそこまで苦労はしなかった。

 だとすると、最初に闘ったピギーウルフは相当強い部類だったんだろう。危険度パープルとは、そういうことか。


 ◇


 俺たちは、まさか夜通し闘うことになるとは思わなかった。

 それに、モンスターは夜行性なのか、森はどんどん重厚感を増してゆく。探索魔法からも、昼間より敵の数が増えていくのがわかった。

 亮のレベルも、俺のレベルも、闘えば闘うほど上がっていった。この世界の『普通』がわからないから、なんとも言えないけれど。

 それに、驚くべきことに、ポチも次第にモンスターを狩れるようになっていった。ポチのステータスは俺たちと違って簡素だが、それでもやはりレベルは上がっているようだ。


-----------------------------------------------

【名前】 鈴木(すずき) ポチ

【称号】万象の女神フレイヤの加護を受ける獣

【性別】犬 オス

【職業】Lv.3/番犬

【体力/HP】254/300

【魔力/MP】5/5

【戦闘スキル】

   噛みつき:Lv.3

   威嚇: Lv.3

固有スキル(ユニークスキル)

   森を統べる獣:Lv.1

   鈴木創太への忠誠心:Lv.10

-----------------------------------------------


 固有スキル(ユニークスキル)の忠誠心が何とも愛らしい。さすが俺のポチだ。


 ◇


 夜が明けた。

 これが、不老不死の効果なのか、と思う。

 身体は疲れていても、飲まず食わずでここまでやってこれた。


「腹減ったなぁ。創太」

「喉も渇いたな。なぁ、不思議な感覚じゃないか? 不老不死って、こういうことか?」

 お腹は空いているし、喉だってカラカラだ。

 だけど、大丈夫ではある。


 一晩異世界を経験して、わかったことは他にもある。


 ――最初は。

 敵を仕留めたほうがレベルが上がりやすいんだと思っていた。でも、そうじゃなかった。夜が明けた頃には、俺のレベルは相当上がっていた。


-----------------------------------------------

【名前】 鈴木(すずき) 創太(そうた)

【称号】万象の女神フレイヤの()()を受ける者

    はじまり(創世)の錬金術士

【性別】ヒューマン 男

【職業】Lv.1/錬金術士

    Lv.13/魔法使い

【体力/HP】1000/1500

【魔力/MP】3856/4000

【戦闘スキル】

   錬成アイテム:Lv.1 /♾️

   殴る: Lv.1 /♾

魔法(雷属性):Lv.1 /♾

     (風属性):Lv.1 /♾

     (炎属性):Lv.15/♾

     (水属性):Lv.1 /♾️

     (土属性):Lv.1 /♾️

     (闇属性):Lv.1 /♾

     (光属性):Lv.1 /♾

固有スキル(ユニークスキル)

   錬金術:Lv.1 /♾

   錬成知識:Lv.1 /♾

   テイマー:Lv.2 /♾

   鑑定:Lv.3 /♾

   探索魔法:Lv.6 /♾

   創作魔法:Lv.1/♾️

-----------------------------------------------


「なぁ、創太」

「ん?」

「変な意味で捉えないで欲しいんだけれど、やっぱり主人公とモブって違うんだな」

「どういう意味?」

「俺は、モンスターを倒してもなかなかレベルが上がらなくなってきた。でも、創太の闘いを見ればすぐわかるよ。上がってるんだろ? レベルが」

「あぁ、一応、な」


 ちょっぴり気まずい空気が流れる。

 

「ま、まぁ、俺に武術の(さい)があっただけラッキーだよな。な、ポチ?」


 一生懸命場を盛り上げようとしてくれる亮。なんとなくこんな雰囲気になる気がして、俺はステータスを亮に開示しないでいる。これからも開示する気はない。


「なぁ、小屋、あそこじゃないか?」


 川で囲われた小高い丘、その頂上に家が見える。

 こちら側の森と小高い丘の間を流れる川には、橋が通され、行き来できるようになっていた。


 ただ、橋を渡ればいい。

 それだけだったら良かったのに。

 小高い丘に見えるんだ。

 ――ピギーウルフが、3体も。


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