表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

8-2 異世界転移、再び〜新たなる世界へ〜


『では、主たちを新たな地へ転移させる。その小娘もの。小娘の件は、本当にすまなかった』

「「…………」」


 俺たちは、何も答えなかった。


『――我は万象の女神 フレイヤ。転移の門よ、この者共を新たな地へと、導きたまえ』


 再びピンク色の魔法陣が現れた。

 俺はあるひを抱き抱えながら、亮と目を合わせたのちに前を見据える。


 ――この異世界転移が俺のせいだというならば、俺がみんなを、守ってみせる。


「まず、小屋を目指すのじゃ。そこには、ささやかじゃが、妾から主らに用意したものがある。さぁ、行くが良い。武運を祈っておる」


 そして俺たちはピンク色の世界に包まれた――。


 ◇

 

 ◇


 ◇


 青臭い、だけれど涼やかな風を感じる。

 どうやら転移は無事に終わったようだ。


「亮、ポチ、無事かっ?」

「ああ、なんとか」

「ワンワンッ」


「こ、ここは――?」


 ――森の中?

 今は朝なのだろうか。雲の切れ間から覗く陽の光を手で遮って、澄んだ空気を肌で感じる。

 

 森の木々で視界が悪くよく見えないが、どうやら勾配のキツイ山陵に囲われた場所らしい。山稜からは所々剥き出しになった地層が見える。俺は、飲み込まれそうな圧倒的自然の気高さを感じていた。


「なぁ、創太。俺思うんだけど、ぐるっと角度のキツイ山陵に囲まれていて、この地に閉じ込められた感じがしないか?」

「どこかに抜け道があるかもしれない。……っと、その前に小屋を探せ、だったか」


 ――その時だった。


 ――ピコン!

『探索魔法により感知。危険度パープル。敵、1体。1分後に遭遇(エンカウント)します』

 俺の目の前に、薄水色の背景に白文字のポップアップが急に現れた。


「――敵⁉︎」

「――どうした創太、敵が来るのか?」


 ――そうか、これは俺の固有スキル(ユニースキル)だから亮には見えないのか。


「どうやらそうらしい。危険度パープルっていうのがよくわからないけど……。敵が1体くるらしい」

「なんだか、RPGの中にいるみたいだよ。まだ冒険は始まったばかりだし、定石で言えばスライムあたりじゃないか?」


 ――聞こえる。迫り来る気配。速い足音、そして殺気……!


 ――やばい、これは……こ、殺される……!


「亮、違うっ! かなりヤバいヤツが来るはずだ。臨戦体勢に入ってくれ」


 亮の額から、汗がポタリと滴り落ちた。


「あぁ、俺も(ようや)くわかった。……これはヤバイ! 創太、あるひを!」

「ああ。ポチ、あるひを頼んだぞ!」

「ワンッワンッ」


 亮は足でバキッと木の枝を鋭利に折り、敵との遭遇(エンカウント)に備えた。

 俺も同じく、枯れ枝を持つ。


 ――そもそも敵って、どんな奴なんだよ。人間だったら、かなりキツイぞ。人殺しはしたくない。


「グルルルルルルルル……」


 ――来た。

 森の中から、ピンク色の毛で鋭い牙をもち、1メートル程の体躯の狼が現れた。

 赤く光る鋭い眼光で、こちらを一点に見据え、ジリジリと間合いを図っている。


「なんだコイツは。ピンクの狼⁉︎」


 ――ピコン!

『 ●ピギーウルフ

 本来は子豚の姿をしている狼。怒るとピンク色の毛を逆立て、狼のような姿に変化し素早く襲ってくる。敵の首を狙って襲うのが特徴』


「亮! 首だ! コイツは首を狙って襲ってくるピギーウルフっていうらしい」

「素早そうだし、やべぇじゃん」


 ピギーウルフは唸り声を上げながら、こちらとの間合いを徐々に詰めている。

 ポチも必死だ。やられまいと、横たわるあるひの前で毛を逆立て、必死に唸っている。


 ーー来る!

 ピギーウルフは、亮目掛けて駆け出した。


「うおっ、俺か!」


 ――俺らの中から、何故亮が選ばれたんだ? まさか、亮の戦闘スキルの敵対心(ヘイト)のせいか?


 亮は枯れ枝を構えるも、ピギーウルフのあまりの素早さと獰猛さにたじろいで体勢を崩す。


「やべえっ……」

「亮!」


 俺は頭が真っ白になり駆け出していた。でもこのままじゃ間に合わない。亮が、――このままでは亮が、喰われてしまう……!


 ――ピコン!

『貴方は魔法が使えます』


 ――そうだ。俺は一応、魔法使いでもあったんだ。


 だが、使い方なんから知らない俺は、適当にRPGっぽい呪文を唱えてみる。


「ファイヤーボルト!」


 ピギーウルフ目掛けてかざした右手から、銃のように炎の塊が飛び出した。そして亮とピギーウルフが交わる前に、ピギーウルフを捉え、業火の如く焼いていく。


「ギャアアアアアア!」


 ピギーウルフは、背を反って力無くその場へ倒れた。……丸焦げになって。

 

 俺たちは、

《ドロップアイテム》

 ・ピギーウルフの肉

 ・ピギーウルフの毛

 を手に入れた。


「ありがとう、創太、助かったよ。死ぬかと思った。創太、それが錬金術か?」

「いや、たぶん違う。俺は魔法使いでもあるらしい」

「なんか魔法が使えるって聞くと……改めて思うよ。ここは、本当に異世界なんだなって」


 ――ピコン!

 ――ピコン!

 ――ピコン!

『――レベルが上がりました。

 ――レベルが上がりました。

 ――レベルが上がりました』

 俺のポップアップが、レベルアップを告げる。


「創太、俺、戦えてなかったけど、レベルが上がったみたいだ! ステータスオープン!」

「そうか、同じパーティーだと恩恵があるのかもしれないな」


-----------------------------------------------

【名前】 加賀(かが) (りょう)

【称号】万象の女神フレイヤの加護を受ける者

【性別】ヒューマン 男

【職業】Lv.2/武闘家

    Lv.1/魔法剣士

【体力/HP】10/15

【魔力/MP】20/20

【戦闘スキル】

  敵対心(ヘイト):Lv.1

   剣技: Lv.1

魔法剣(雷属性):Lv.1

固有スキル(ユニークスキル)

   多種多様な武器の使い手:Lv.1

   怒り:Lv.1

   大工:Lv.1

   解体:Lv.1

-----------------------------------------------


 申し訳ないが、亮のステータスは俺の固有スキル(ユニークスキル)で勝手に見えてしまう。


「ステータスオープン」

 俺は小声で言ってみた。


-----------------------------------------------

【名前】 鈴木(すずき) 創太(そうた)

【称号】万象の女神フレイヤの()()を受ける者

    はじまり(創世)の錬金術士

【性別】ヒューマン 男

【職業】Lv.1/錬金術士

    Lv.4/魔法使い

【体力/HP】1000/1000

【魔力/MP】1999/2500

【戦闘スキル】

   錬成アイテム:Lv.1 /♾️

   殴る: Lv.1 /♾

魔法(雷属性):Lv.1 /♾

     (風属性):Lv.1 /♾

     (炎属性):Lv.4 /♾

     (水属性):Lv.1 /♾️

     (土属性):Lv.1 /♾️

     (闇属性):Lv.1 /♾

     (光属性):Lv.1 /♾

固有スキル(ユニークスキル)

   錬金術:Lv.1 /♾

   錬成知識:Lv.1 /♾

   テイマー:Lv.1 /♾

   鑑定:Lv.2 /♾

   探索魔法:Lv.2 /♾

   解体:Lv.1 /♾

   創作魔法:Lv.1/♾️

-----------------------------------------------


 なんだか、亮に比べてレベルの上がり方が半端ない。


「なんだ……これ……。敵を仕留めるとレベルが早く上がるってことか」

「いくつあがったんだ?」

「3、だよ」


 亮の顔が、少しかげった。


 俺はなんだか、亮よりレベルの上がりが早いことに、負い目を感じていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ