8-27 ガウア三兄弟とステータス
石畳と、外壁用の石は全て用意してきた。
難しいかと思われたが、普段からレンガを造っている分、案外苦労しなかった。
俺は今、アザレアの森の中にいる。
亮に現場の指揮を任せて、ポチとくま、そしてガウアさん、ガウイさん、ガウウさん三兄弟とパーティーを組んで「湧き出る酒泉」を目指している。
ガウウさんは料理人のため、付き人という扱いだが、タンクであるガウアさんとアタッカーであるガウイさんがなんとも心強い。俺は錬金術士兼魔法使いだから、結局のところ接近戦にはめっぽう弱いのだ。
――ピコン!
『探索魔法により感知。危険度パープル。敵、2体、1分後に遭遇します』
「大変です! ピギーウルフ2体と1分後に遭遇します! ポチ、くま、ガウウさんを頼んだよ」
「あるじ、まかせて」
「くまも、まかせて」
ガウアさんたちの顔が一瞬にして真っ青になった。
「ピギーウルフ、それも2体だって? なんてこった。ガウイ、使徒様を何としてもお守りしなきゃいけねぇぞ」
「あ、あぁ……。ガウアもな。クソ、足が震えやがる」
「――来ます!」
獰猛なピギーウルフが2体。紅い目が特徴的な鋭い眼光。
「うおおおおおおー!」
ガウアさんは大楯を構えて敵対心を一身に集めている。その効果で、2体がいっぺんにガウアさんの元へ……!
――このままじゃ危ない!
「――しがらみの楔!」
「ギャアウウウウウウ!」
森の中という場所の利を活かし、木々から蔦を出してピギーウルフを網目に引っ掛けた。あとは、アタッカーに仕留めてもらうだけだ。
「ガウイさん!」
「おう! うおおおおお!」
ピギーウルフはガウイさんの一度や二度の攻撃ではびくともしない。
――かくなるうえは。
「ガウイさん、離れてください」
「――ウィンドカッター」
木のロッドから放たれる無数の刃で、ピギーウルフを容赦なく切り刻む。
「ギャアウウウウウウ!」
俺たちは、
《ドロップアイテム》
・ピギーウルフの肉
・ピギーウルフの毛
を手に入れた。
「なんて……こった……」
ガウイさんもガウアさんも、その場にへたり込んだ。そして俺を見て、苦笑いを浮かべる。
「使徒様っていうのは、伊達じゃねぇな」
「亮ってヤツも強いのか?」
2人とも、信じられないといった様子だ。街での2人への信頼度を見るに、かなりの手練れのはず。それでもやはり、ピギーウルフには苦戦するということなのか。この世界の基準がわからないので、俺はきっと感覚が麻痺しているんだろう。
「ええ、亮は一撃で仕留めますよ。剣に雷属性を帯剣させますから」
「そりゃ……すげえや」
――この反応を見るに、やはり堅牢な外壁の作成は急務である。亮に現場を任せてきて良かった。
俺はドロップアイテムを【マジックバッグ】にしまい、「先へ進みましょう」と声を掛ける。
「「あ、ああ……」」」
元気がないのが気掛かりだが、申し訳ないがこればかりはどうしようもない。
◇
しばらく歩いて、無事に「湧き出る酒泉」に着いた。目の色を変えて喜ぶガウウさん。一目散に酒の名水を汲みに行った。空の酒瓶をいっぱいリュックサックに詰めていたようだ。
俺もその脇で、【マジックバッグ】に直接酒の名水を汲んでいく。ガラスの砂を使って、もう少し入れ物を錬成する必要があるな……と考えながら。
「なぁ、ガウア」
「あん?」
「俺たちもっと鍛えねぇといけねぇな」
「ああ。今回の件で思い知らされたよ。井の中の蛙ってことをな」
俺は、聞こえないフリをした。
俺はただ、異世界転移の特典を貰ったにすぎないので、別に俺がすごいわけでもなんでもない。励ますことすら、お門違いというものだ。
「さぁ、充分汲めたぜ、兄ちゃん」
「じゃあ、帰りますか!」
アザレアまで、モンスターと遭遇せずに帰ってこられた俺たち。町長から道案内のお礼をいただく俺と、労いの言葉を掛けられるガウアさん兄弟。ガウアさんたちの顔は晴れない。
こういうとき、ステータスが人に見えなくて良かった、と心から思う。今はもう、初期と比べてチートすぎる状態になっているから。
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【名前】 鈴木 創太
(スズツリー=ソウタ)
【称号】万象の女神フレイヤの寵愛を受ける者
はじまりの錬金術士
世界を創りし者
女神フロレンスの使徒
【性別】ヒューマン 男
【職業】Lv.36/錬金術士
Lv.42/魔法使い
Lv.12/創世士
【体力/HP】5000/5000
【魔力/MP】10000/10000
【戦闘スキル】
錬成アイテム:Lv.36 /♾️
殴る: Lv.5 /♾
魔法(雷属性):Lv.22/♾
(風属性):Lv.41/♾
(炎属性):Lv.28/♾
(水属性):Lv.55/♾️
(土属性):Lv.102/♾️
(闇属性):Lv.10/♾
(光属性):Lv.30/♾
【固有スキル】
錬金術:Lv.36 /♾
錬成知識:Lv.36 /♾
テイマー:Lv.42 /♾
鑑定:Lv.48/♾
探索魔法:Lv.52/♾
支援魔法:Lv.25/♾
創世の錬金術:Lv.45/♾️
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「おおーい! 創太〜!」
見上げて見れば、高い外壁から亮が手を振っていた。手で陽を遮りながらでないと見えない高さに、亮はいた。
「すごいな! もうこんなに進んだのかー!」
「みんなでやってるからさ! 早いもんだよ〜!」
「兄ちゃんたちって、本当に凄かったんだな。そういえば、家も出し入れできるもんな」
と、ガウアさん。
「ガウア、腐ってちゃいられねぇな。俺たちも、鍛錬しねぇとな」
「おうよ。落ち込むだけだなんて、ガラにあわねぇ。ただ、鍛えて鍛えて鍛えまくりゃあいいだけだ」
俺はガウアさんたちにニコリと微笑む。
「そういうガッツがある考え方、ものすごく好きです」
ガウアさんたちも、ニコリと微笑み返してくれた。
「大変だ! 大変だー!」
なにかと思えば、今度はガウウさんだった。酒瓶を開けて、大声を上げている。
「酒の品質が、落ちてやがる……」
新たな問題が、再び浮上した。




