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8-0(序章)異世界転移と幼馴染の死


 できることは全てやった。

 俺は、あるひの身体を揺すり起こし、呼吸と鼓動を確かめて、人工呼吸もした。大好きな子だからこそ、恥ずかしがってなんかいられない。幼馴染の亮と交代しながら心臓マッサージもした。


 急に放り込まれたこの真っ白な世界ーー。

 AEDもなければ、大した蘇生の知識もない俺たちにできることは、もう、全てやったんだ。

 ーーなのにーー!


「嘘だろ、嘘だって言ってくれ。あるひ、あるひ……あるひーー!」

「あ、あるひっ……」


 これが異世界転移ってヤツかよ?

 なんで俺たちが、なんで、あるひがこんな目に遭わなきゃいけないんだよ⁉︎

 こんなにも、自分勝手で無慈悲な異世界転移ってなんなんだよ。


「返事してくれ! あるひーっっ!」


 ーー時は少し前に遡る。


 ◇


「退院おめでとう。あるひ。少し外に出てもよくなったんだってな。よかったら亮と3人で、ポチの散歩に行かないか?」

「うんっ! 行く! 迎えに来てくれてありがとう。創ちゃん、亮ちゃん、それに、ポチ」


 ポチはあるひの顔を舐め回す。


「あはははっ、やめてよもー!」

「こーら、ポチ、あるひが困ってるだろ」


 ーー少し元気がありそうで良かった。

 俺は本当にほっとしている。

 大好きなあるひが、少し元気になってくれて。


 俺たちは横並び近所の幼馴染。

 真ん中の家に住むのが俺、鈴木創太(すずきそうた)、そして両隣に住んでいるのが加賀亮(かがりょう)、そして俺()()の大好きな、北村(きたむら)あるひ。俺たちは高校1年生だ。


 あるひは、幼い頃から体が弱い。だから入退院をよく繰り返している。病院で過ごす時間が多く、外に出る機会があまりなかったからこそ、か弱い印象があって可憐だ。陶器のような白い肌に、薄茶の目。目と同じ色をしたシルクのようなロングヘアの髪を左耳にかけている。

 俺は黒髪短髪で身長はそこそこ高い180㎝。黙っていればカッコいい、とか言われたりもするけど、俺は根が明るいからペラペラ喋っちゃうんだよな。

 亮は170cmくらいの身長で、いい筋肉をもっている。いわゆる細マッチョってヤツだ。亮は少し恥ずかしがり屋で、口数は少ない。でも、天然の茶髪で亮こそ俺はイケメンだと思う。


「さぁ、行こうか」


 まだ日が高く、湿度も高い暑い夏の夕方。

 空からの日が、俺の肌をジリジリと焼く。

 あるひは日傘を差しながら、俺はポチのリードを持ちながら、亮は俺たちの一歩後ろを歩きながら。あるひの速度に合わせて、ゆっくり歩いて行く。


 ちょうど、横断歩道に着いたところだった。

 変な声が、聞こえたのは。


  ーー『見つけた……見つけた……』


「ん? 何か言ったか? あるひ」

「え? 私何も言ってないよ」

「じゃあ、亮……にしては女の子っぽい声だったけど……」

「いや、俺も何も言ってないけど。てか聞こえないけど」


 ――『見つけた、やっと見つけた……』


「え? 2人とも何も聞こえないのか?」

「「うん」」

「ええっ」


 ――その時だった。


 ――『転移の門よ、開きたまえ』

 呪文のような言葉が聞こえたのは。


 急に視界が一面ピンク色になる。


 ――「ワンッワンッ」

 警戒して吠えるポチ。


 薄いピンク色が次第に濃くなっていき、俺たちの足元に魔法陣のようなものが浮かび上がった。そうか、この視界一面のピンクは、魔法陣から浮かび上がったものだったのか。


 ――『転移の門よ、招致したまえ』


 ピンクから一転、視界全てがホワイトアウトする。


「こわいっ! 何?」

「あるひっ! こっちへ!」


 俺は思わず、アルヒを抱きしめる。

 そして亮の手を掴み、


「みんな俺から離れるな!」


 と言って一箇所に集合した。

 それが、()()()()()()()()()()()()


 ――これが異世界転移とは知らずに、関係ない2人とポチを、()()巻き込んだんだ。


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