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スエット姿の召喚者  作者: こんぺき
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扉の前に控えていたメイドさんが扉を開き3人揃って入室した。

ここまで来たら如何すれば良いのか理解しているので

手伝ってもらいながらシャツやらトラウザーからドレスに着替える。

胸のあたりに違和感が無い事はスルーする。


一日に何度も着替えるのは面倒だけれど私も一応お年頃の娘だ。

綺麗に着飾る事に不満は無い・・・むしろ異世界のお姫様仕様のドレスに

興味津々だ。

あちらの世界ではウエディングドレスだって着る機会は無いかも知れない。


着替えが終わってドレッサーの前に座るといつもより念入りに

メイクアップされていく。


「そういえばヒナタ、目の色が変えられるのですってね」

「そうなの?」

「ええ、ミカエル子爵がそうおしゃっていたましたわ」

お二人の会話に

ミカエルさん余計な事を・・・と思ったが自分にも非が無いとは言えない。


「それならこのカツラを着けてから合いそうな色に変えてみて」

と先ほどメイドさんに持たせた箱の中身を取り出した。

どうやらジェフェルさんが子供の頃に使っていたカツラの様だ。

絶妙な色合いのブロンドのカツラに合わせてリクエストされた菫色の瞳で

運ばれてきた姿見の前に立つ。

本人が見ても別人としか言いようがない。暫し鏡に見入ってしまった。


「まあ、馬子にも衣裳ね。ジェフェルは美少女だったけれどヒナタは

キュートな感じね」

「でも何かパッとしないわね」

「ええ。何か物足りない気がします」

お二人の会話に我に返る。


自分ではうっとりする程の出来栄えだけれどやはり目の肥えたお二人には

いまいち納得がいかないのだろう。そう思っているとアンナさんが

私の手を取った。


「今から宝飾店へ出かけましょう。

さすがに宝石類は全部嫁ぎ先に持って行ってしまってこの屋敷に置いてないから

何かこの子に似合いそうなものを見繕いましょう」

「そうですわね。それが良いですわ。せっかくここまで着付けたのですから

最後の仕上げを怠る手は有りませんわ。」


いやいや、ジェフさんに街中に連れ出すなって注意されてますよね?

とは言えない・・・

そのまま手を引かれ数十分後には車中?の人となっていた。


馬車の中から街並みに見入る。

ここへ来た時は徒歩だった上に旅の終盤の疲れでで周りの景色など

ゆっくり見る暇などなかった。


敏腕ぞろいのロケ隊が撮影した番組で見るような古き良き時代の

ヨーロッパを象徴する様な街並み。

海が近い所為もあって温暖な気候なのだろう。

オリーブやミモザの庭木、ジャスミンやバラの植え込みが似合いそうな

蔦の絡まった壁に木枠窓の建物

うっとりと眺めているとガラガラと音を立てて石畳の通りへと進んで行く。


先ほどまでとは違って道の両脇に並木の植わった商店が並ぶ街路に入ったようだ。

やがて一軒の立派な建物の前で馬車が停まった。

店舗の前に立っていた男性が馬車に近寄り扉を開いて手を差し伸べる。

差し出された手を取ってアンナさんから順番に馬車を下り

店の中へと案内された。


不味い。こんな高級店で品物を買えるほど持ち合わせがない事に

今更ながら気付いた。

すぐ前を歩くジェシカさんに声を潜めてお伺いを立てる。

「ここは私には不釣り合いな様なので他のお店に案内して頂けませんか?」

「何言ってるの。ウォルツ伯爵家と古くからのお付き合いある老舗なのですから

装飾品は此処で購入すると決まっているのよ。費用の心配なら要らないわよ。

どうせジェフェルは稼ぐばかりで使い方なんて知らないんですから」


それでいいのだろうか?私はいわば居候。

二人のお姉さんも私が言うのもおかしいが既に家を出ておいでだ。

本人のいない所で本人が知らないうちに散財しても良いのだろうか・・・

罪悪感に苛まれながらも口にする事無く奥へと進んで行く。


ショーケースの中にはお高そうで美しいアクセサリーが所狭しと並んでいる。

カウンターの奥にいた如何にも紳士と言った風貌の男性がアンナさんを接客する。


「これはようこそお越しくださいました。本日はいか様なお品物を

お探しでしょうか?」

「こちら遠縁のお嬢さんなのですけれど装飾品を忘れてしまったらしいの。

普段使いにする様なアクセサリーを数点見繕って頂きたいのだけれど」


「なるほど。チャーミングなお嬢様でいらっしゃいますね。

しかし今現在のこの店舗の手持ちですとお若い方が身につけるデザインの物は

品薄となっておりますので他店舗からの取り寄せという事になります。

申し訳ございませんが至急手配いたしますので少々お時間を頂いても

よろしいでしょうか?」


「そうなのね。お時間はいかほどかかりそうかしら?」

「一時間ほど頂ければよろしいかと存じます。

お待ちになって頂く間にこの程入手致しました新しいデザインの

奥様方の為のお品をご覧になられては如何でしょう」


「まあ、最新のデザイン?ヒナタ暫く待っていてもらって構わないかしら?」

「それなら向かいのカフェに行ってみても良いですか?」


馬車が停まった時に見つけた雰囲気の良さそうなカフェらしい建物が気になる。


「貴方、一人でお店に入った事が有るの?」

ジェシカさんの問い掛けに応対している紳士が気を利かせてくれる。


「それでしたら私共の店の者を一人お付けいたしましょう」

そう言って先ほど外に立っていた若い男性に目で合図した。


「それではお嬢様、私がご案内致します。」

アンナさんとジェシカさんに許可を得て先に歩き出した男性に付いて店を出た。



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