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昨日は散々な目にあったとベッドで目を覚ます。
この世界へ来てから一番寝心地の良いベッドだ、と思いながら
なんだかんだ言っても落ち着けそうな場所にたどり着けた安心感が
そうさせているのかもしれない。
そんな事をベッドの上で考えていると
「お召し替えのお手伝いに参りました。」
と扉の向こうで声がした。
着替えは一人で出来そうだけれどコルセットは必要だろうか?
そう思い「どうぞ」と返事した。
昨日のメイドさん二人が入室して来て慣れた手つきで
着替えを手伝ってくれる。
最後にドレッサーの前に座らされ昨日と同じように
化粧水やらなんやら塗られて仕上げに髪を整えてくれた。
朝食の為ダイニングに向かうとすでに二人が着席していた。
「遅くなってしまってすみません。」と挨拶を交わして席に着く。
朝食を摂りながらお二人が今日の予定を話し出した。
昨日の夕食時は色々せわしなくて?それどころではでは無かったらしい・・・
「ジェフェルは今日は登城してあれこれ報告をするのでしょ?」
「報告はミカエルが済ませていますので今日一日は
屋敷でゆっくり過ごそうと思っています。」
「そんな事では出世できなくてよ。良いから今日は登城なさいな」
有無を言わせない威圧感有る微笑みを向ける。
ジェフさんがここにいると不味い事でもあるのだろうか?
と思った所ではたと気付いた。
「私が口を挟むのもなんですが、ジェフさんも疲れているでしょうし
今日の所はのんびりさせてあげて下さい。」
「・・・そうねえ、ヒナタの言う事も尤もだわ。
それじゃあジェフェルが寛げるようにヒナタは私とお出かけしましょう」
えっ、それもなんとなく良くない事が起こりそうな気がする・・・
「姉上、昨日ミカエルも言っておりましたがヒナタは当分この屋敷で
大人しくしていた方が良いのです。外へ連れ出すなど以ての外です。」
「私が一緒なのだから心配は要らないわ。ちゃんと面倒くらい見られます。」
「姉上はまだ付き合いが浅いからヒナタの事を良く分かっておられないのです。
ちょっとでも目を離したら何をしでかすか分かった物ではありません。」
酷い言われようの気がするが、心当たりが無いとは言い切れない。
ここは黙って成り行きを見守る事にする。
「まあ、随分と過保護だこと。そんなに気になるのなら貴方も一緒に来たらどう?」
「それでは私が登城せず屋敷に居るという意味がありません。」
「それなら貴方はお仕事に行くという事で決まりね。」
「・・・」
なんやかんやで上手く丸め込まれて登城するジェフさんを
エントランスで見送る。
ジェシカさんと二人・・・残される事に不安しかない。
ご主人が出かけるときに玄関で見送るワンちゃん達も
きっとこんな心情なのだろう。
気が進まない様子で出仕するジェフさんを
「心配しなくても多分大丈夫だから・・・」
と言いながら不安な気持ちを隠しきれない表情で見上げた。
「、、っ!」
ジェフさんは慌てた様に口元に手を当てて斜め下を向いたまま
「行ってくる」
とだけ言い残して出かけて行った。
これからジェシカさんにしごかれる私を想像して
不憫に思ったに違いない。




