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スエット姿の召喚者  作者: こんぺき
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にんまりと微笑んだジェシカさんが傍観者と化したジェフさんに

視線を移した。


「ねえ、ヒナタも何時までここに滞在する事になるか分からないでしょ?

客間を長期塞がったままにしておく訳にもいかないから貴方の昔のお部屋

ヒナタに使って貰っても構わないわよね。」

有無を言わさない圧のある問い掛けにジェフさんが一瞬怯んだ。


「そ、それは困ります。姉上たちの指示であの部屋は

ほぼ手付かずのままにしてあります。

ヒナタが使うには色々支障があると思います。

客間は幾つかあるのですから一部屋くらい使っても問題ありません。」


えー、私が使うのに支障ってどんな状態の部屋なんだろう?

あの焦り具合からすると黒歴史を思い起こさせるような状態なのかもしれない。


「ダメよ。いつ国の賓客をお預かりするか分からないのだから。

貴方は学園に通い始める12歳まで使っていたのですもの。

12歳も14歳もそんなに変わらなくてよ。

そういう事で決まりね。さあヒナタ、長旅で疲れているでしょ。

お部屋に案内するわね。」


長旅の一か月よりむしろここへ到着してからの数時間の方が

圧倒的に疲れた気がするけどそれは黙っておくのが無難だろう。

そう思ってジェシカさんに付いて歩き出した。

お暇の挨拶をしようとジェフさんを振り返ったが

頭を抱えて俯く姿を目にした途端何とも言えない複雑な思いがこみ上げてきた。


そのまま応接室を後にして案内された部屋は

やはり二人のお姉さんの趣味なのだろう。

ピンクと白を基調とした家具や装飾品で溢れていた。


しかしそこは何といっても伯爵家だ。コテコテした感じは無くて

品よく纏められていて居心地は良さそうだ・・・

ただ、普段スエットで胡坐をかいてポテチを頬張っていた

私に見合った部屋かと問われると”否”としか言えない。


「こんな素敵なお部屋は私には勿体ないので使用人部屋か何か

相応なお部屋は無いですか?」

「何を言っているの。ここはジェフェルが10歳から二年間使っただけだから

勿体なくてそのままにしてたんだけど

貴方が使ってくれたらいろいろ揃えた甲斐も有ったというものだわ。」


「一応少年として滞在するのに支障が有るのでは?」

「あら、そんな事は全然ないわ。さあ中に入って。

夕食時になったら誰かをよこすからそれまでゆっくりしていて頂戴。」


そういうとジェシカさんはどこかへ行ってしまった。

閉められた扉を少し見ていたが廊下が静かになったので

あらためて部屋を見回す。


薄いピンクの応接セット

ベッドは勿論薄いピンクの天蓋付き

寝具は白地に淡いピンクの縁取り刺繍

家具やドレッサーは白基調

カーテンはクリーム色に複雑な織り込み模様が入っている

レースのカーテンはこれもまた同色の刺繍入り

小物類は主張しない淡い色で纏められている。


お姫様の部屋じゃん・・・


溜息をついていると誰かが扉をノックした音で我に返った。

「どうぞ」と返事をしたら「お茶をお持ち致しました。」

とメイドさんがティーセットを乗せたワゴンを押して入って来た。


ティーカップが2客有るのを不思議に思っていると扉がノックされ

「ヒナタ、少しいいか?」とジェフさんの声がした。

「どうぞ。」と返事をするときまり悪そうな顔のジェフさんが入室して来た。

立ち上がってソファーを勧める。

メイドさんは着席したジェフさんと私に紅茶を注ぐと退出し

ドアを閉めた。


その様子を見ていて男同士という事で密室でもいいのか?と思ったが

今更である事に気付きジェフさんに向き直った。


ジェフさんは顔色が悪いし目が泳いでいる様にも見える。

私が黒歴史の事を知っているとは思ってもいないので気まずいのだろう。


「兄さん、大丈夫だよ。カルディスにいた時にミカエルさんから聞いてる。」

ジェフさんがハッとした様に顔を上げた。


「それに…ほら、僕は魔法で髪の毛や目も好きな色に変えられるんだから

この部屋だってやろうと思えば好きに変えられるんだ。

だから僕の事だったら気にしないで。」


「そ、そうなのか?ミカエルから姉たちの悪い趣味の事も?」

「ええ、悪ふざけが過ぎますよね。でもよくありそうな事です・・・

僕が今まで見てきた兄さんはとても親切で思いやりがあって

自分も泳ぎが得意でないのに溺れいている子供を

躊躇いなく助けたり出来るとても尊敬できる人です。

そんな男らしい兄さんが僕は大好きです。」


大好きと言うのに照れくさくて俯きながら言ってしまった。

ジェフさんはどんな顔をしているだろうと上目遣いに見上げると

真っ赤になって横を向いてしまった・・・


ちょっと褒め過ぎだったのかもしれない。




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