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「道中色々とやらかして来た様だな」
正体を知らない時はイケメンの笑顔にうっとりした事もありました・・・
しかし腹黒策士と知った今となってはこの微笑みは危険だ。
「な、何もやらかした覚えは無いですが・・・」
「ほほう、例えば泳ぎが得意でないジェフェルが溺れた子供を助けたとか
死にかけた子供を謎の行動で蘇生させたとか、普通は手に入らない薬材を
ギルドに持ち込んだりとか、偶然大きな獣を一撃で倒して皆に振舞ったりとか
おまけに温泉施設では謎の「あーっ!ミカエルさん&%$#:$?¥・・・
えへへ、どこでそんな情報を仕入れてきたんですか?」
慌てて両手をバタバタ振ってミカエルさんの前に出る。
ジェフさんがすっごくいぶかし気な表情になって
私とミカエルさんを交互に見ている。
「私の仕事は情報収集だよ。旅の間のちょっとした噂も聞き逃さない。
その噂が君たちの旅程と一致するとなると噂の大本も
自ずと知れるというものだろ?」
やはりただの腹黒ではない。この人は敵に回さない方が賢明だ。
「あはは、でも旅の恥は搔き捨てって言うくらいだから
ちょっとくらいやらかしても何も問題なかったよね?」
「ヒナタは自分の立場が分かっているのかな?
カルディス王国は君がいなくなったから追及の手を逃れたけれど
”召喚は行われた”というのが今回集まっていた国々の暗黙の見解だ。
君がいろいろ目立つ事をやらかせば軌跡を辿られないとも限らない。
暫くは此処で大人しくしていた方が良いだろう。
そういう事で良いよなジェフェル?」
「そうだな。ヒナタは目を離すと何をやらかすか分からない。
暫くは此処でこの国の常識をしっかり学んでくれ。」
黙ってミカエルさんの話に聞き入っていたジェフさんがそう返事を返した。
ジェフさんが私を心から心配してくれている事は身に染みて理解している。
「・・・はい。わかりました。大人しくしています」
そう答えると先ほどまで静かに話に聞き入っていたジェシカさんの目が
輝きだした。
ミカエルさんとは違う危険な感じがする・・・
「そういう事なら私に任せて頂戴。クロード家では何もする事が無くて
持て余していたのよ。
ヒナタにこの国の事をみっちりと叩き込んであげるわ」
「義姉さん、それは良い考えです。兄上には私から伝えておきますよ」
「ええ、お願いね。さあ、そうと決まったら先ずはヒナタのお部屋の準備ね」
ミカエルさんとジェシカさんはとても気が合いそうだ、という事は理解できたが
なんか到着早々慌ただしくて何が何だか分からなくなってきた。
ジェフさんに助けを求めようと目をやったが
この二人相手ではジェフさんも蚊帳の外がお望みらしい。
現実逃避を決め込んだ目をしていた・・・




