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ジェシカさんにされるがまま手を引かれ一つの部屋に通された。
中にはメイドらしい人が二名控えていた。
「あなた達、先ほど指示した通りこの子の事をお願いね。」
そう言って私から手を放し肩を軽く押した。
「畏まりました。お任せください。」
メイドさんはにこやかに私を入り口とは違う扉へといざなった。
ジェシカさんを振り返ると”拒否は認めません”という微笑みが帰って来た。
観念して扉を潜るとそこはロマンチック映画に出てくるような素敵な浴室だったが
うっとり眺める暇もなくメイドさんに旅装束をひん剥かれ
お湯を掛けられ、ゴシゴシ洗いまくられ、湯船につけられ、拭き上げられ・・・
情緒なんてものは全く感じる間もなく肌着を着せられ
コルセットで締め上げられた。
そしてジェシカさんが待つ部屋へと放り出された。
「まあジェフェルが鈍感でなくても男の子として通せるくらいだから
コルセットは必要なさそうだけどミカエル子爵の少年期の服が
本当に丁度よさそうね」
そう言って部屋に置かれている何着かの衣装と私を見比べている。
「これくらいが似合いそうだわ」
そう言って指さした衣装をメイドさんが私に着付けてくれた。
「まあ、なんて可愛いのかしら。良く似合っていてよ。上衣は丁度良いけど
トラウザーの裾が大分長い様ね。すぐに仮留めして後で直すようにして頂戴。」
ジェシカさんがそう命じたのでメイドさんが道具を持って来た。
私は何も言い返す事が出来ずトラウザーを仮留めする間じっと立ちながら
ジェシカさんの話に聞き入った。
「事情はミカエル子爵から伺っているわ。当面は男の子として滞在した方が
追い出される心配が無くていいでしょ?
協力してあげるから貴方も私のお願いを聞いて下さるかしら?」
最初から私に拒否権がない事は分かっているのでここは素直に頷く事にする。
「ふふ、素直な良い子ね。大丈夫よ取って食ったりはしないから。
ジェフェルが女嫌いになってしまった事には少なからず責任を感じているのよ。
その事についてちょっと協力をお願いできないかしらと思っていてね」
どうやらジェフさんが女嫌いである事と理由については
ミカエルさんが話してくれた事は本当だったらしい。
「協力ですか?」
「大丈夫よ。常識外の事はさせないし特別な事もする必要ないわ。
普通に生活するだけで多分いける筈・・・
ってミカエル子爵が言ってたから」
ミカエル子爵?!それが一番不安になるワードなんですけど・・・




